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これは簡単な話だ
だけど語るのは難しい
寓話のように悲しみがあって
寓話のように
驚きと幸せに充ちている
すべてを歌おう
「帰ってきました」
と僕は混沌に言った
「あなたの奴隷です」
「よろしい」と彼は答えた
「それから?」
僕は言った
至福が訪れたときに
僕は終わりを感じた
抱擁に何の喜びがある?
帰ってきた 準備はできた
汽車は行ってしまった
ブレーキはきかない
もう逆らうことはできない 行こう
愛しのバッカス 連れてってくれ
ブレーキがきかないんだ!
聞いてるよ
- 違う 本当に壊れたんだ!
- ブレーキを踏めよ!
まだ詩を歌ってるのか?
きかないんだ!
ブレーキ!
死んでしまうよ!
森だ!
王様が来たぞ!
彼だ!
あそこは人が一杯だ
曲がるところがない
ブレーキがきかない!
ブレーキがきかない!
どいてくれ!
もう歩こうぜ
それだと 着くのは明日だな
ねじ回しをみつけた
あとは何が欲しい?
なにもない
10分間放っておいてくれ
わかった
1人にしてやるよ
ずっとねじ回しが欲しかったんだろ?
いいから放っておいてくれ
ねじ回しを投げてたら
見つけられたかな?
10分間1人にしてくれ
手を洗ってくるよ
可愛いお嬢さん!
どうしたんだい?
何してるんだい?
お母さんがこれを置いたのか?
ううん 大家のおかみさん
お店かい? きれいだね
これはいくら?
君はいくつ?
- 名前は?
- エレノーラ
会えてうれしいよ
ぼくはグイドー王子だ
- 王子?
- そうさ 王子だ
すべて僕のものだ
ここは王子の領土になる
この場所はアジス・アベバと呼ぼう
すべてを変えてあげる
牛を追い出し ラクダを呼ぶんだ
ラクダ?
カバでもいいぞ
では行かなければ
お姫様と約束があるんだ
- いつ?
- いまさ
おはよう お姫様
怖かったわ 死ぬかと思った
怪我はありませんか?
これまでは良くなかったです
いつもこんなふうに
家から出てくるんですか?
スズメバチの巣を燃やそうとしたけど
刺されてしまったんです
ハチに刺されたんですか?
お許しください
じっとしてて お姫さま
スズメバチの毒はとても危険です
すぐ吸い出さなければなりません
- 横になって 私がやりましょう
- けっこうですわ
- 他にも刺されませんでしたか?
- けっこうですわ
なんて場所だ!
素晴らしい!
鳩が飛び 女性が窓から落ちる
ここに引っ越してきますよ!
すべて彼のものなの!
ラクダを連れて来る王子様なのよ!
そのとおり
グイドー王子がお仕えします 姫様
いま行くよ!
それでは さようなら
- どうやってお礼をしたら?
- そんな必要ありません
もし本当に感謝してるなら
卵をいくつかいただきます
地主たちにオムレツを作ってやろう
お好きなだけお持ちください
すべてあなたのものです
ありがとう
それでは二つ…六つ
いいですか 美味しいオムレツができる
さようなら エレノーラ
王女様によろしく
さようなら
戻ったぞ ヌヴォラーリ!
今夜はオムレツ料理だ!
これがラクダだよ!
- 家の場所はどこなんだ?
- 左だ もうほとんど着いてる
君の叔父さんも一緒に寝るのかい?
叔父さんはホテルに30年暮してるんだ
給仕のチーフだよ
彼が家を貸してくれるのさ
いつもは倉庫に使ってる
そこだ 着いたよ
ロビンフッドと叔父の家だ
叔父の馬車なんだ
家の中に叔父さんがいる
叔父さん! いま着いたよ!
もう遅いから急ごう
いま着いたよ
車が故障したんだ!
叔父さん!
- 野蛮人どもめ
- あれは誰です?
- 野蛮人だ
- なぜ叫ばないんです?
沈黙はもっとも力強い叫びだ
君が詩の仲間か?
僕はフェルッチオ
内装業です
ようこそ ここはガラクタばかりの
古い倉庫だが
古風な情熱は
それ自体ガラクタなんだ!
これが全部ですか?
好きなだけ住んで構わんよ
ウェイターになるのは簡単ではない
ベッドはそこだ
ガリバルディが寝てたという伝説がある
不必要なものばかりで
必要なものは何もない
野蛮人ども
これはヴィア・センスターニの市役所の
柱廊の真後ろにあったものだ
備えつけの浴室は
ビデット氏の発明だ
本が何冊かあるが どれも
ペトラッキの伝記だ
そこがキッチン これはペロチーペード
普通は自転車と呼ばれてる
私はホテルに戻らなきゃならん
鍵はこれだけだ なくすなよ
会えてよかったよ
行くぞ ロビンフッド!
なんて叔父さんだ!
これを見ろよ!
僕らは街にいるんだ!
やりたいことは何でもできるぞ
何かやりたければすればいい
何かしたいことはないか
叫びたいなら叫べばいい!
やめてくれ!
何をするんだ 狂ったか?
無茶はするなよ
田舎にいたときと同じでいい
キチガイみたいに ずっと
叫んでたなら叫んでもいいよ
マリア! 鍵だ!
いいかい?
叫ぶんじゃないぞ
わかったか?
詩作を少し控えれば
おまえの父親も喜ぶ
彼より金持ちになれるぞ
そのとおり オレステ!
僕も言ってるんです
君は落ち着くべきだ!
素敵な帽子ですね
似合うかな?
- どう見えます?
- 私の帽子だ
いつ仕事を始めれば?
すでに遅刻してるぞ
いますぐにだ!
そこの椅子を仕事場に持って行け
- これですか?
- それだ 注意しろよ!
わかりました 役所に行きます
それでは
さようなら
行儀よくふるまえよ
厳しい仕事だからな
ものすごく厳しいぞ!
厳しいんですか?
ところであなたの支持政党は?
ベニート! アドルフ!
いい子にしてろ!
何か言ったか?
わたしは…うまくいってるかと
それでは 失礼します
気をつけろ!
脚が折れるだろ!
さようなら!
やってくれたな 俺の帽子を
必ず見つけてやる
ベニート
引っぱたいてやるからな
本屋を開くために必要な
許可手続きをしたいのです
- どれくらいかかりますか?
- 1年です
なら すぐファイルを
開いてください
まず 応募を受け付けてから
部門の責任者が署名します
ここに卵を入れてたんだ
昨日のうちに
これのことを忘れてた
神さま 割れてなくてよかった
では書いてください
「グイドー・オレフィスの」
- 「申請を許可する…」
- まだ署名できません
どうしたんだ?
本屋を開くために
許可が欲しいんです
- どういうことだ?
- 説明はしたんです
- ひとつ署名するだけです
- いや できないね
代わりの者が1時間で来る
彼にたずねてくれ
- 署名が欲しいだけです
- 受付は1時までだ
10時から1時まで
不満は書面で提出しろ
ひどいやつだな
署名のために書類を開く
ただそれだけなのに
おかげで1時間も
待たなければならない
抗議するぞ いいか
「私 オレフィス…」
こりゃひどい
怪我しましたか?
お助けします
こっちへ
わざとじゃないんです
私に触るな!
おまえの本屋のことは
あきらめるんだな
だめ! 卵が
この野郎!
殺してやる!
どいてくれ!
こんにちは お姫さま
僕たちは 立っていると
ぶつからる運命なんですね
ごめんなさい
僕は急いでるんです
さようなら お姫様
- チキン
- 簡単です
すべてお出しできます
お皿の真ん中に置いて
「切り分けてくれるか?」
「もちろんです」
羽の下にナイフを差し入れ
脚をむしり取ります
胸の下まで肉を切り取ります
- 羽と胸肉 そして皮に分けます
- ロブスター
簡単ですよ 叔父さん
ロブスターは
脚の下に翼を持って行き
まず脚を取ります
ロブスターを切り分けて…ええと
ロブスターは甲殻類でしたね…
甲殻類は…
甲殻類は…
殻を取ります
殻と触覚を取ります
誰が触覚を食べます?
触覚を取ると…
ロブスターです
もう取るものがありません
ロブスターはやめにしましょう
チキンが美味しいですよ
- ロブスターが覚えられない
- それはもういいんだ
ロブスターはここでは出ない
すごく簡単なのに
だから覚えられないのか
- 続けろ
- ウェイター動作!
待機状態
しばらくこのまま
「ウェイター?」
「はい?」
また待機
「ウェイター!」
なぜ僕だけ呼ばれる!
他にもウェイターはいるでしょ?
次はお辞儀!
簡単ですよ
深くお辞儀します
こんな感じ 45度の角度で
シャンパン瓶のように
足りない? 50…55度
では90度で…
いえもっと…180度
どこまで曲げればいいんです?
180度は…こんな感じ?
ひまわりを考えろ
太陽にお辞儀をするように
おまえがやったのは
どれも曲げすぎだ
花がみんな枯れてしまう!
給仕は召使いではない
給仕は最高の芸術なんだ
最高の給仕は神だ
神は人に奉仕するが
人の召使いではない
- そこはボタンがないんです
- かけ間違えてるんだ 馬鹿が
父に車を返さないといけない
返すのを待ってるんだ
1ヶ月くらいで返しにいかないとな
俺はすぐ返しに行くつもりだ
なぜだかわかるか?
なんで?
フェルッチオ?
- え? いま何時だ?
- 眠ってたのか?
もちろんだ
おまえは僕としゃべりながら
眠ってたのか!
- どうしたっていうんだ?
- ショーペンハウエル
誰?
ショーペンハウエルは意志の力で
何事も可能になると言った
「そうしようと思えばそうなる」
いま俺は眠りたい
だから自分自身に言うんだ
「俺は眠りたい…だから眠る」
それで眠れる
驚いた
とても簡単だな
俺もやってみよう
「俺は眠る 眠る…」
手を動かすなよ
ジャグラーじゃあるまいし
これは心の問題なんだ
真面目にやれよ
そのことは明日話そう
驚いたな しかし
起きろ
起きろ
今度はなんだ?
何してるんだ?
- 完全に使えるな!
- 何が使えるって?
ショーペンハウエルだ
「起きろ」と念じたんだ
おまえは起きた
この理論は恐ろしいな
- どういう仕組みなんだ?
- おまえが耳もとで騒いだから
俺は起きたんだよ
- なら静かにやってみるべきだな
- もう何も言うんじゃない
深い話なんだ
よく考えろ
なぜ走る?
ゆっくり行こう
急がないと遅刻だ!
マリア 鍵だ!
毎朝 彼女は鍵を投げる
見ろ!
あの先生だ
とてもきれいだろ
彼女を夢にさえ見たんだ
さあ 紹介してやる
- おい じっとしてろ!
- なんだ?
動くんじゃない!
車の男だ
あいつを卵まみれにしたんだ
見つかったら殺される
そのままでいてくれ
- 何をしてる?
- 話してる
- 何て言ってる?
- 俺にわかるかよ
- 奴は何をしてる
- 別れを告げてるみたいだ
俺が欲しがってた車だよ
こっちに来る!
動くなよ
見つかったら殺される
まだじっとしてろ
おはよう お姫様
またあなたね
今度はどうしたの?
このお姫様は空から
僕の腕に落ちてきたんだ
この人があなたの太腿から
ハチの毒を吸った人?
いつもあなたはこんなふうに
突然目の前に現れるのね
出会う約束もできますよね
- 今夜の8時はいかがですか?
- いえ こんなふうがいいのよ
行きましょう ドーラ
遅れちゃうわ
また突然会えることを期待してます
さようなら お姫様!
見ただろ きれいだろ?
彼女は突然のほうがいいのか
信じられないよ
「闇」
君は天才だ!
「多ければ多いほど見えなくなるもの」
答えは「闇」です
素晴らしい
あなたが作ったんですか?
他の人だが 君は5分で解いた
私は8日かかったのに
闇!
鮭とサラダ
白ワインのグラスです
これを聞いてくれ グイドー
今度は僕の番ですよ
小さい頃 父にこれを教わりました
「白雪姫と次の料理を
待ってる小人たちがいます」
「彼女は料理を何分で出すのか?」
難しそうだな
いますぐ解いてやろう
- 冷める前にどうぞ
- この時間じゃ胃にもたれる
サラダ 鮭と白ワイン
あっさりしてますよ
白雪姫と
小人たち…
- グイドー
- はい?
- 調理場はもう終わりか?
- 皆帰りましたよ なぜ?
ローマからのお客様が来た
お役人で食事をしたがってる
調理場は閉まってます
彼はきっとチップを弾んでくれるぞ
いま開けましょう
こちらへどうぞ
- どうぞ
- ありがとう
本当に食べないんですか?
こんばんは
調理場は閉まってるだろうな
冷たい食事しかないか?
- 何なりとご注文を
- 軽いものを頼む
肉料理では こってりした
ステーキがおすすめです
子羊の腎臓
脂がのったレバー
- 他は魚料理です
- 魚を
いまあるのは
脂肪分の多いヒラメと
ぎとぎとしたウナギ料理に
リキュールをお付けできます
その他は
あっさりした鮭の…
鮭だ それをくれ
- 副菜は?
- 副菜もあるのか?
もちろんです
油で揚げたマッシュルームに
こってりしたソースと
バターを塗ったポテト
小さな軽めのサラダがいい
他はいらないよ
軽めのサラダ? 残念です
よく揚げたマッシュルームが…
そのことは忘れましょう
小さなサラダですね
それと鮭料理
白ワインのグラスもおつけします
完璧だ
なるべく早く頼む
やってみましょう
どうぞ
「彼女が料理を何分で出すのか?」
そうです
- 「白雪姫と小人たち」
- おやすみなさい ドクター
おやすみ 天才君
彼は何を言ってた?
酔っぱらってるのか?
謎かけなんですよ
「7分後」
それが答えなんです
「白雪姫と七人の小人」
七人の小人が料理を待っていて
彼女は何分で料理を出すか?
「7人分(7分後)」
お医者さまのレッシング先生は
とても真面目な方なんですが
なぞなぞに夢中なんです
寝るのを忘れるほどに
フランチェスコ・ペトランカ学校を
知ってるかな
小学校ですか?
知り合いがそこで教えてます
ここからは近いです
どうして?
よかった 少しは眠れそうだ
明日の朝 学校に行く
ご予定がおありで?
8時半に視察する予定だ
皆さん お静かに
よくお聞きなさい
ローマからの視察官が
もうすぐ参られます
いい印象を与えるようにしましょう
いいですか 静かにして
お話しをよく聞くように
お国についてのいいお話を
してくれるはずです
視察官が参られました
もういらっしゃったの?
早すぎるわ!
お座りなさい ロベルト!
起立!
おはよう お姫様
おはようございます 閣下
私が校長です
こちらはうちの教師です
よろしい
それでは…
この学区で何年くらい
教えてらっしゃるのです?
16年です
この学校で進行中の学科について
十分な知識をお持ちですね?
はい
子供たちの衛生状態に関する
報告は読みましたか?
もちろんです
日曜日のご予定は?
つまり…日曜日は聖マリアの日です
何をするつもりですか?
劇場に行きます
- 何を観ますか?
- オッフェンバッハです
なるほど
たしかにそれを上演してる
よろしい では…
ありがとう では失礼して
私はこれから…
わかっております
ご存じのとおり 視察官は
イタリアの優秀な科学者たちが
認めた人種法案について
お話しするためにいらっしゃいました
我々の人種の優秀性が
証明されたのは
とても誇らしいことです
私たちは他の何よりも
優れた人種なのです
お座りなさい
どうぞ 視察官閣下
- 我らの人種は…
- 特別です
もちろんです!
我らの人種は特別です
私がローマから来たのは
子供たちに 我らの人種が
特別であることを
伝えろと命令されたからです
私は…
差別主義者のイタリア人科学者によって
我らがいかに特別かを
誇示するために選ばれました
どうしてだと思います 皆さん?
言ってもいいですか?
私よりハンサムな人が
いるのでしょうか?
沈黙がその答えですね
そう 私こそが「特別な人種」です
純粋なアーリア人です
皆さん
こう言うことから始めましょう
「何がそんなに偉大なのか?」
この耳を見てください
完璧な耳です
左の耳に
ペンダントと小さな鈴を
つけるといいですね
耳の外側の軟骨を調べてください
曲がります
この二つの耳が誰より美しいのを
わかってくれればけっこうです
けど皆さんは恥ずかしがらずに
自分の耳を見せないといけない
人種は存在します
それは認めるべきです
けれど 考えてみてください
どこに違いがあるのかを
よく聞きなさい
視察官と名乗ったのか?
ローマからの?
おへそです!
このおへそを見てください
すごいでしょう!
けれど 歯で噛みつくことはできない!
差別主義の科学者が試みましたが
不可能でした!
これがイタリア人のへそです
これも人種の一部なんです!
この体型を見てください!
この筋肉も…
単頭筋、二頭筋、三頭筋!
美しいでしょう!
このお尻を称えてください!
この動きをよく見て!
皆さん!
もうお別れの時間です
行かなくては
約束があるんです
アーリア人は退場して
別れを告げます
さようなら!
おへそ!
お姫様
ヴェネチアでお会いしましょう
こっちの耳しか聞こえないんです
僕を見てくれ お姫様
さあ 僕はここにいるよ
僕を見てくれ お姫様
こっちを向いて お姫様
こっちを向くんだ…
- チョコレートアイスでもいかが?
- いいね でも急がないと
どうして?
8時に長官と会わなきゃならない
ディナーに招待されてるんだ
- どこで?
- 長官のお宅だ
神よ 憐れみたまえ
真実でありませんように
- 他の店で食べない?
- 君のママも来るんだ
まったく!
ディナーを一緒にするだけだ
それから長官とお茶を飲む
行かないわ!
わかったよ 言うとおりにする
行かないと伝えるよ
僕は君といられればいいんだ
- こんばんは ロドルフォ!
- こんばんは 長官閣下
後で家で会おう
時間は8時だったな
8時ちょうどにお伺いします
彼女はどこだ?
おまえにはわからないか?
- 彼女がいるはずなんだ
- 来てたのか?
明日は遅刻するなよ?
あの品物を車から出したか?
あれはシルクだ 汚すなよ
注意して扱うんだ
- オペラはどうでした?
- 素晴らしかったよ!
あれもあなたのカーテンですか?
いや 同僚の仕事だろう
また帽子を盗られた!
- 行こう
- 雨が降ってるのよ?
近くまで車を持ってきてちょうだい
いいとも
君はここで待っててくれ
近くに来たら警笛を鳴らすよ
鍵をよこせ!
家の鍵じゃない!
車のだ!
車の鍵?
気でも狂ったか?
あいつを止めといてくれ
卵をかぶせた男だ
できるだけ足止めするんだぞ
じゃあな
車の中には…
ゆっくり走れよ!
傘を持って迎えに来て
くれてもいいいでしょ
まったく無神経な人ね
本当に我慢できない
それに 長官宅の
ディナーの件も怒ってるわ!
わかってるわわよ
ひゃっくりが出たみたい
あの人たちはいつも私に
したくないことをさせる
私を幸せにするには
ちょっとしたことでいいのよ?
チョコレートアイスで
十分なの!
素敵な散歩のあとになら
起こることは何でも起こるのに
かわりにあなたは…
こんばんは お姫様
考えられない
どういうことか説明して
いえ 説明するのは
君のほうですよ!
僕が窓の下に立ち止まったら
君が腕の中に落ちてきた
僕は自転車から
君の腕の中に落ちた
学校を視察に行ったら
そこにも君がいた!
僕の夢の中にまで出てくる
僕を放っておいてくれないか?
本当に僕はメチャクチャだ
文句を言ってるわけじゃない
だけど…
わかったよ
この点では君の勝ちだ
どこに行こうか お姫様?
海へ! 海は好きかい?
劇場に人を待たせてるの
戻ってちょうだい
どうしたの?
ワイパーを動かすには
どうしたらいいかわかる?
ブレーキを踏んで!
怖くないよ!
僕につかまって!
壊れちゃった!
いつ運転を習ったの?
- 10分前かな
- もっと短いかと思ったわ
- 屋根が閉まらない
- ドアが開かないわ
待って 僕らは動けない!
外に出よう
僕に任せて
大事なことは君を濡らさないこと
これをさしてくれ
持ってて
外に出してあげるよ
すべて僕に任せてくれ
こっちだ
乗り越えて お姫様
こっちだ
乗り越えるんだ
水たまりがある!
足が濡れちゃうよ 待って!
これだ!
- 行きましょう お姫様
- ここはどこなの?
前にも来たはずだよ
- 私とあなたが? いつ?
- 覚えてないのかい?
あの夜も雨が降ってた
僕は枕で雨から君を守った
美しい夜だったね
ぼくは肩にハンドルを担いで
ワルツを踊ったんだ
君の前に立ち止まったとき
君はキスしてくれた
お姫様
後ろが風に飛ばされてる
人は皆それぞれ
パパはそういう考えだったわ
パパは誰にでも合わせられた
私を理解してくれて
どう扱えばいいかを知ってた
パパにはまったく逆らえなかったの
いつも…いつも私は
「はい」と答えてた
なら 君が宝物を隠した箱を…
開いて 君に「はい」と
言わせる方法があるんだね
あなたが思ってるより簡単よ
鍵さえ見つかれば
どこにあるんだい?
天国だけが知ってる
もうなくなっちゃったの
つまり 君が言ってるのは
君に「はい」と言わせる鍵は
天国にあるってことだね?
そうよ
試させてくれ
もし聖母マリアが鍵を渡して
くれたら どうなるかな?
マリア 鍵を!
これでどう?
本当に家に帰らなきゃいけない?
チョコレートアイスはどうだい?
- すぐ買いにいくよ
- いいえ いまはだめ
- いつならいいの?
- わからないわ
それも天国が決めるの?
違うわ 聖母マリアをアイスのことで
困らせないであげてちょうだい!
いや それは重要だよ
いつなのか決めておかないと
聖母マリアに尋ねないといけなくなる
マリア!
僕らがいつアイスを食べられるか
教えてくれるよう誰かを
寄こしてください!
7分後だ
- 私の家よ
- 何千回もここを通ったよ
いつも考えてたんだ
どんな人が住んでるんだろうと
自分の店をあそこに
出したいんだ
- 本屋さんを?
- 君に毎日会えるように
それじゃ さよなら
あなたはとても素敵だったわ
いまは熱いお風呂に入りたいだけ
言い忘れてた
どうぞ
僕がどれほど恋い焦がれてるか
君には想像もできないだろう
誰にもそんなこと言ったことはない
君は特別なんだ
拷問されないかぎり
そんなこと誰にも言えない
続けて
僕の望みは君と愛し合うこと
1度だけでなく
何度もくり返して
とても言い尽くせない
君にこれを言っただけでも
僕は人生の残りすべてを
狂ったように過ごすようになるだろう
すぐ行ったほうがいいわ
また雨が降ってくる
お姫様
- すっかり濡れちゃったわね
- 僕のスーツは安物だ
心配なのは帽子だよ
乾かさないといけないのに
どこで乾かせばいいか?
どうやったら?
そうだわ 簡単よ!
マリア! 誰か帽子を
乾かしてくれる人を寄こしてください
おやすみ お姫様
さようなら
- すまんが 洗面所はどこだね?
- まっすぐ行って左です
すぐに起きなければ
父親の墓の前であなたを罵るわ
二度と口をきいてあげない
残りの一生ずっとよ!
いまから三つ数えるわ
それで起きなかったら
無理やり起こしてあげる
1…2…
3
いい子ね
誰が結婚するか知ってるか?
教えてやろうか?
あの卵をかぶった男だ!
- 誰と結婚するんだ?
- 僕は知らないよ
彼女はまだ姿を見せないんだ
みんな待ってるのに
あちこち探し回ったぞ!
- 君の叔父さんだ
- 叔父が?
何かあったようだ
一緒に来てくれ
外だよ! 馬だ!
どうしたんだ?
あなたの馬が?
なんてことだ!
何を書いたんだ?
「気をつけろ ユダヤ人の馬だ」
いつもの野蛮人どもの仕業だ
悲しいよ 意味のないことだ
「ユダヤ人の馬」
がっかりしないでください
ちょっとしたイタズラです
これはイタズラではない
本気でこうしたんだ
おまえはこれに慣れなきゃいけない
グイドー
- 奴らはおまえにもするだろう
- 僕に?
僕に何をするっていうんです?
起こりうる最悪のことは
僕を裸にしてこう書くことです
「気をつけろ ユダヤ人のウェイターだ」
この馬がユダヤ人とは
知りませんでしたよ
行きましょう 僕が朝までに
馬をきれいにしてあげます
裏に連れてってあげてくれ
見ろよ あの正面にいる子を!
ドーラ
待てよ 彼女を驚かせよう
ドーラ
一緒においで 君を
フィド・ジオバナルディに紹介する
- グイドー!
- やあ!
レッシング先生!
どちらに行かれるんです?
緊急電報だ
すぐにベルリンに行かねばならん
- その花はなんだね?
- あなたへの餞別です
1本だけもらおう
妻に渡したい
グイドーからの花を
君と会えて本当に楽しかった
君はいままで会った中で
もっとも独創的なウェイターだ
あなたこそ私が給仕した中で
もっとも文化的なお客さまです
ありがとう
さようなら レッシング先生
それでは
「私の名前を呼んでも」
「私はそこにはいない
私は誰でしょう?」
「私の名前を呼んでも
私はそこにはいない」
何だ?
彼は何を言ったんだ?
「沈黙」!
美しい! その言葉を言っても
そこには誰もいない それは「沈黙」
ここでは 誰もベルリンの状況を
知らないの 想像してみて!
3年生よ
この問題を聞いてきたのは
このことを考えるたびにショックだわ
精神異常者にかかるコストは
1日4マルク
障害者には
4マルク半
癲癇患者には
3マルク半
平均で4マルク
かかると考えたら
30万の患者がいて 国が
負担する費用はいくらになるか
その人たちを処分すればどうなるか
そんなこと信じられません!
私も最初はそう思ったわ
驚いたのは 7歳の子供が
この問題を
解決しなければならないと思ってること
難しい計算なのよ
規模 そしてパーセンテージ
少なくとも代数の知識が必要ね
方程式を使わないと
これは高校で教える内容だわ
必要なのは掛け算ですよ
30万の患者がいると言いましたね?
30万x4
全員を殺すならば
1日120万マルクの節約になります
- 簡単ですよ
- たしかに!
けどあなたは成人です ドイツでは
7歳の子供にこれを教えてるわ
本当に違う人種ね
「こんばんは お姫様」
- 何て言ったの?
- これだよ ケーキに書いてある
何でこんなところにいる?
行こう!
踊ろうよ
少しだけお話しさせてください
皆さんすでに知ってのとおり
皆さんが ここ何年かで
知ったとおり
ドーラと私は
同じ通りで生まれました
同じ学校に通い
同じ友達を持ちました
ドーラは生涯の女性です
したがって 私は
彼女の生涯の男です
私たちは今年中に
結婚することにしました
皆さん全員を4月9日に
ペルグリーノの
サンタマリア教会にご招待します
そこで盛大に
夜明けまで祝ってください
私たちの幸せを
彼女にキスを!
- 何かあったのか?
- なんでもない?
- 大丈夫か?
- もちろん
誰がこの椅子を置いたんだ?
グイドー 平気か?
- 平気さ
- すまない
- 怪我なんかしてないよ
- いや 僕が教えたから
- 君は楽しんでるか?
- 俺は大丈夫だ
テーブルに戻ってくれ
これは僕が片づける
- グイドー
- はい?
大丈夫かね?
なぜみんな同じことを聞くんです?
何かまずいことでもありますか?
いや 何も間違ってないよ
しかし…
調理場に行ってくれ
- グイドー!
- はい?
調理場だ
今夜はどこもかしこも忙しいですね
調理場でどうすればいいか聞いてきます
誰だかわかるか?
俺だよ
なんだよ 普通がよかったか?
お嬢さん
とうとうお会いできましたね ドーラ
こいつは絶対紹介してくれないんだ
怖かったんだ そうだろ?
もう俺たちと売春宿に
通う必要はないな
歓談を邪魔したのをお詫びします
皆さんの幸せをお祈りします
このずる賢い犬め!
楽しい人ね
問題ありませんよ
自分で片づけますから
申し訳ありません
お姫様
君もここに?
連れ出して
それでは 紳士淑女の皆さま
グランドホテルからの
驚くべき贈り物は
エチオピア・ケーキです!
音楽をありがとう マエストロ!
- おめでとうございます
- ありがとう
こちらへどうぞ お姫様
おい おまえは…
お急ぎを お姫様.
あいつは…
卵を仕掛けた野郎だ!
ドーラ!
フェルッチオ!
あいつが鍵をもってる
なんとかしなきゃ!
針金があれば開けられる
僕は針金を扱うのが上手いんだ
父に教わったんだ
子供の頃はよく
針金でおもちゃを作った
開いたよ
ジョスエ!
行くよ
ママが遅刻しちゃう
戦車がないよ
心配するな
探してあげるから
戦車はどこに置いたんだ?
- 階段の上
- 取ってこよう
自転車を押さえてて
僕が取ってくる
これだ
行こう
- 行こう パパ!
- ゆっくりお願い
学校に遅れちゃうよ
馬がいるぞ! 二頭いる!
ベルをとめて!
頭がおかしくなりそう!
- 僕じゃないよ ジョスエだ
- 僕じゃない パパだよ
止めて! 降ろしてちょうだい!
着いたよ
また今夜ね
チャオ! ドーラ
急いで パパ!
1…2の3!
これをママに買っていく?
- いくらだ?
- 15リラ
偽物だよ たぶん偽物のケーキだ
戦車と同じだ
行こう ジョスエ
「ユダヤ人と犬は」
「入るべからず」
どうしてユダヤ人と犬は入れないの?
彼らはただ ユダヤ人と犬に
入ってきてほしくないんだ
誰もが望むとおりにできるのさ
あそこに道具屋がある
あの店はスペイン人と馬は
入っちゃいけないんだ
あの先には薬屋がある
中国人の友人と僕で
昨日カンガルーを連れて行った
僕は言った「入ってよろしいですか?」
「中国人とカンガルーはお断りです」
彼らはただ嫌いなんだ
おまえにはわからないだろうが
うちの本屋には誰でも入れるよ
いや いまからは
うちも張り紙をしよう
- おまえは何が嫌いなんだ?
- 蜘蛛…パパは?
西ゴート人は好きじゃないな
明日からはこう書こう
「蜘蛛と西ゴート人は入るべからず」
西ゴート人にはもうこりごりだ
こんにちは
すべて半額ですよ
- グイドー・オレフィスか?
- 僕です
- 長官のところに出頭してくれ
- またですか?
- もう行ったよ
- 来るんだ
どうして?
- あなたのお連れさんかな?
- そうだ 行くぞ
わかったよ
- 僕も一緒に行く
- だめだ
おまえはここにいなさい
長くはかかりませんよね?
時間は取らせない
ジョスエ お客さんの面倒を
しっかり見るんだぞ
すぐに戻るからな
こんにちは
- こんにちは
- こんにちは
- これをくださいな
- 5リラになります
いえ 10リラと書いてあるわ
すべて半額です
これをママに渡して
おばあちゃんからだと伝えてちょうだい
僕はおばあちゃんに
会ったことないんだ
- 会ってみたい?
- うん
明日会えるわよ
- 明日?
- そうよ
だって明日はあなたの誕生日だから
おばあちゃんがプレゼントを持って
来てくれるわ
新しい戦車?
いえ 驚くわよ
お母さんに手紙を渡してね
じゃあね ジョスエ
お釣りがまだです
おばあちゃん
ありがとう
- あなたはいつ頃来られる?
- 1時間くらいだな
叔父が残り物を持ってこれるかどうか
確かめに行ってくる
- おばあちゃんはなんて言ってたの?
- 明日来るって
やっとだ
『ユダヤ人の店』
- お風呂の時間よ
- お風呂はいやだ
- お風呂に行くわよ
- 金曜に入ったよ
彼の言うとおりだよ
あなたは服を着替えて
- 木曜日に変えたよ!
- 花を忘れるなよ!
外にある そこに置いたんだ
- 一緒に行く パパと!
- あなたはお風呂よ きかない子ね!
お風呂はいやだ!
急いでよ
おばあちゃんを迎えに行かないと
- 花はどこに飾る?
- 置いておいて 自分でやるわ
金曜に入ったんだ
ジョスエ!
ジョスエ!
ジョスエはどこに行ったの?
きっとあっちだよ
あれを片づけてくれる?
花は見せてくれないの?
きっときれいだわ
あそこだ 僕が持ってくる…
花が見たいんだったよな?
ぼくがこっちに来させてみよう
来い 花たち!
来るんだ 戸棚!
ショーペンハウエルが力をくれる
戸棚をここに
戸棚 来い
止まれ 戸棚
戸棚はとても
汚れてると思うわ
こんにちは お姫様!
もう読み書きができるの?
- 1年前からよ
- 本当にがんばったわね
着いたわ
手を貸すわ
自分で降りるわ
ドーラ 何があったの?
どこかに着いたの?
いや 交差点だ
どこに行くか教えてくれる?
どういう意味だ どこ?
もう1000回も聞いてるぞ
僕らはいま…
ある場所に…
なんて言ったっけ?
私たちは…
どこに行くの?
今日は何の日だ?
おまえの誕生日だぞ!
おまえはずっと
旅行に行きたいと言ってたろ!
これを計画するのに
何ヵ月もかけたんだ
どこに行くのか知りたいか?
言えないんだ
言わないってママと約束した
あいつのことを知ってるだろ
狂ったようになるぞ
笑っちゃうな
パパが小さかった頃にも
父さんがいろいろ計画してくれたんだ
それは そう…
とても面白かったな!
おまえには教えないよ
それを自分で気づいて欲しいから
びっくりするぞ
わかるか 本物の…
まったく笑っちゃうな
疲れちゃった
眠りなさい
僕らはどこにいくんですか?
彼らはどこだと言ってました?
いま何時だね?
僕らはぴったり出発するのか
実に組織的だね!
- 汽車のことは聞いてないね?
- よくないの?
本当に素晴らしい!
内側に木が張ってあって
みんな立つんだ 椅子はない
- 椅子が1つもないの?
- 何だって? 汽車に椅子?
そうだったな!
おまえは乗ったことがなかった
皆着くまで一緒に立ってるものだよ
この列がわかるかい?
最後の切符をぎりぎりで手に入れたんだ
急いで エリセオ叔父さん
「遅刻です」
「もう満員ですからお帰りください」
なんて言われたくないよ
待ってくれ 予約したんだ
場所を残しておいてくれよ
すごい列だ!
さあ 着いた
予約してあったんだ!
ありがとう
- 何かご用ですか?
- これは間違いです
何が間違いですか?
夫と息子が汽車に乗ってます
旦那さんのお名前は?
グイドー・オレフィス
ジョスエ・オレフィスと
それに エリセオ・オレフィスが
列車に乗ってます
間違いありませんよ
私も汽車に乗ります
- 準備できました
- 送り出せ
行け 出発だ!
お帰りなさい 奥さん
私も汽車に乗ります
私を乗せなさい!
ママだ!
ママを乗せるために
止めてくれたんだね
エリセオ叔父さん
ドーラ!
ドーラ!
ジョスエ 楽しいか?
疲れてないか?
- 汽車は好きじゃない
- パパもだよ
帰りはバスにしよう
帰りはバスを使うよ!
座席のあるやつだ!
- 言っておいた
- よかった
わかるかい?
決まってることだ
この列がみえるか?
一列で中に入るんだ!
- みんな中に入りたがってる!
- どんなゲームをするの?
それだよ!
ここで行なわれるゲームは…
そのゲームは…
全員参加だ
ルールがあるんだ
そのゲームは…
ここにいる人みんなでやる
ここの女性も全員でだ
それから 兵隊さんたちは
予定を教えてくれる
厳しいぞ わかるだろ
簡単じゃない
もし間違いをしたら
すぐ家に帰らせられる
つまりおまえはとても
注意しなければならない
だけど もしおまえが勝てば
1等賞をもらえる!
賞品はなに?
1等賞だよ!
- 戦車だよ
- もう持ってるよ
本物の戦車だぞ!
最新式だ!
本物の?
そうだ!
教えたくなかったな
エリセオ叔父さんはどこへ行くの?
叔父さんは別のチームなんだ
みんな決まってるんだ
チャオ 叔父さん!
本物の戦車
なんて言ったらいいかな?
素晴らしいね!
なんて場所だ!
急がないと場所をとられるぞ
予約してあるんだ 二人分だ!
通してください!
僕らの場所だ!
僕らのベッドだよ
一緒に眠れるんだ
汚くて臭いよ
ママと一緒にいたい
そのうちにね!
- お腹がすいた
- 食べられるよ
それにみんな意地悪だ
怒鳴るんだ!
怒鳴るのはみんな1等賞が欲しいからさ
厳しくなきゃいけないからね
- ママに会える?
- ゲームが終わればね
いつ終わるの?
1000点取らないといけない
誰でも1000点取れば
戦車がもらえる
信じられない
お菓子はないの?
お菓子か
聞いてみよう
ここではみんな友達だから
- そこの君 名前は?
- バルトロメオ
少したずねてもいいかな
彼らはパンとジャムを
もう配り終わったかな?
しくじった!
すんでのとこで逃したんだ!
またもらえるさ
そうだろ?
またもらえる
- なんて言ってるんだ?
- ドイツ語がわかる奴はいるかと
これからキャンプの規則を
説明するそうだ
- わかるのか?
- いや
これからゲームをはじめる
全員参加だ!
最初に1000点を獲得すれば勝ちだ
賞品に戦車をもらえる
幸運な男だ!
毎日 スピーカーで
その日の1番を発表する
獲得点が最低の者は
「まぬけ」と書かれたゼッケンを
背中につけなければならない
ゲームでも本気で怒鳴るが
それを怖がったら減点だ
減点される条件は
次の三つだ
一つ
泣いたとき
二つ
ママに会いたがったとき
三つ お腹がすいて
お菓子を欲しがったとき
忘れるんじゃないぞ
食事に文句を言っても
減点になる
昨日 私は40点失った
ジャム・サンドを
食べることになったのに
アプリコット・ジャムだった!
ストロベリーが好きなんだ
キャンディーをねだってはならない
何も手に入らない
我々が全部食べてしまう!
昨日は20個も食べたぞ!
腹が痛かった
美味しかったぞ
一度試してみろ
早口すぎてすまないが
私はかくれんぼをしていて
すぐ行かなければ
見つかってしまう
僕にはわからん
バルトロメオに聞け
あとで僕にも教えてくれよ
1000点?
みんな楽しんでるだろ!
あいつらは狂ってる!
重さが100キロもあるのに
それが3000個だぞ
ヴィットリーノ
もう無理だ!
- ひとつ運んだだけだろ?
- なぜこんなにあるんだ?
夜中までやるからだよ!
バルトロメオ どうした?
どこに行くんだ?
病院だ 腕を怪我した
ここで死ぬんだ!
これ以上運べない!
倒れてしまう
できないと彼らに言えば
運ばなくても済むだろ?
殺されるぞ!
- どこに運べば?
- あっちだよ
神さま!
絶対無理です!
これが3000個も
あるんだぞ!
パパ!
見てみろ! わかる?
悪くないだろ?
登録してきたよ
パパが登録しようとしたら
審判の人がこう言ったんだ
「あなたと息子さんは
リストに載ってません」
「参加申し込みをしてません」
倒れそうになったよ
「家に帰っていいですよ」
と言うからパパは答えた
「帰るなら君が帰れ
申し込みはしてある」
「登録してくれ!」
それで番号をもらった
念のためにここにも番号を付けた
パパが連れて来られたのは
なんて場所だと思うだろ?
他の子供たちとは
遊ばなかったのか?
みんなルールを知らないんだ
戦車がもらえるなんて
嘘だって言うんだ
どうやってポイントを取るかも
知らないんだよ
引っかかったのか?
ズル賢い連中だ
おまえを蹴落としたいんだ
冗談だと思うか?
戦車なんてない?
あるに決まってるだろ
今日 僕たちは何点とったの?
50点
でも48点だった
石けり遊びをするとき
パパはつまずいてしまって
2ポイント引かれたんだ
僕らは…
今日は狂ったように笑った
笑い死ぬかと思ったよ!
パパは楽しかった!
明日もできるかと思うと
待ち遠しくてしかたない!
石蹴り遊び…綱引き…
それから 輪になって歌った
どのゲームも忘れられそうにない
「おまえらやりすぎだぞ!」
と言ったくらいだ
そうだよ
- 何か食べたかい?
- お菓子はねだらなかったよ
いい子だ!
おまえは12点獲得した!
パパが48点
おまえが12点
あわせて60点
これは60点とった
おまえへのご褒美だ
ただのパン ジャムなし
食べなさい
ありがとう
- 60点は多いの?
- 冗談言うな!
すごいんだぞ!
誰かと思ったら
バルトロメオ!
どうだった?
たいしたことない
20かそこらは片づけた
僕らのほうが多いね
リードしてることは教えるなよ
言ったはずです!
子供と年寄りはいらないと!
中に戻りなさい!
おまえは働けない!
残りは下に!
早く行きなさい 女たち.
さあ こっちです!
あれは新人ね
物覚えが早いわ
ドアのところの女
最初の頃は優しかったのよ
いまじゃ最悪になったわ!
少なくともお年寄りや子供を
働かせたりはしてないわ
年寄りと子供を働かせないのは
彼らを処分するからよ!
数日のうちに 呼びだされて
シャワーを浴びるように言われる
「子供たち シャワーの時間だぞ!」
そのシャワー室からは
ガスが出てくるの
降りなさい!
これはどうすればいいんだ?
ヴィットリノ!
どこでこんなに
金床を使うんだ?
パパ!
何でここにいる?
来ちゃだめだと言ったろ!
出て行きなさい!
なぜ他の子供と一緒にいない?
こう言うんだよ
子供は皆シャワーの日なんだって
僕は入りたくない
- シャワーを浴びなさい!
- いやだ!
行かないよ
シャワーを浴びなさい!
ここで何してるの?
パパたちは…
戦車を作ってる
戦車を作ろうとして
いまは車輪を作ってる
時間がかかるんだ
ここにいたらだめだよ
シャワーを浴びてきなさい!
浴びたくない
頑固だな お母さんに言うぞ!
おまえは減点10だ
そこに隠れてなさい
終わったら一緒に帰ろう
誰にも見つかるなよ!
まったく楽しいぞ!
全員聞け!
服を全部脱いて
そこにかけろ!
シャワーが終わったら返す
進め!
衣服をかけた場所の番号を忘れずに!
女性は子供は一緒に浴びます!
大丈夫かね?
ありがとう バルトロメオ
ジョスエ これからは
1日中ここに隠れてるんだ
見つかったら終わりだ
僕らは失格になる
何をすればいいの?
ここにいるんだ
ヴィットリノ 手を貸してくれ
おまえはずっとここに隠れるんだ
誰にも見つかるなよ
とくに怒鳴る連中には
わかったな
隠れてるんだ!
ここが最大の難関だ
うまくやりとげたら戦車がもらえる
1日120ポイントになるぞ
パパがおまえを隠す
おまえは見つからない
誰がおまえに気づく?
おまえはどこにいる?
わかったか?
ジョスエ?
見つけた!
いい子だ!
『放送室』
どなたかいますか?
入りますよ?
ジョスエ!
こっちだ!
急いで!
おはよう お姫様
昨夜 君の夢を見た
僕らは映画を見に行った
君はピンクのスーツを着ていて
僕はその服が好きだった
君は僕のすべてだ お姫様
僕はいつでも君を想ってる
いまも…
ママ!
パパは手押し車を押したけど
使い方がわからなかった!
僕たち死ぬほど笑ったよ!
僕らがリードしてる!
今日で何点たまったかな?
走れ! 怒鳴る奴が
追いかけてくるぞ!
- どこに?
- こっちだ さあ!
乾いてる?
乾いたよ
受けとれ
着るんだ
ヴィットリーノはどうした?
アルフォンソと他の奴らは?
ノルマ不足
「私の名前を呼んでも
そこには誰もいない」
「沈黙」
素晴らしいホテルだった
グイドー
グイドー よかった!
心配してたんだぞ どうした?
狂ってない人もいたよ
僕らを検査してたあの大尉は…
ウェイターをしてた頃に
出会った友人なんだ
彼が言うには 士官は全員
奥さんと一緒に夕食をとるそうだ
その夕食の給仕を
やらないかと言われた
僕らを出してくれるにちがいない
ジョスエ?
ジョスエを見なかったか?
どういうことだ いない?
ジョスエ!
ジョスエ!
何してるんだ?
こっちに来い!
- いやだ
- 来いと言っただろ
いいから出てきなさい
出るんだ こっちへ
すっかり汚れちゃったな
どこに行ってたの?
トランプをしてたんだ
僕らから ボタンと石鹸を作るって
- 何を言ってるんだ?
- みんな燃やしちゃうんだって
誰がそんなこと言った?
叫んでたんだ
ボタンと石鹸にされるって
だまされたのか?
またか?
おまえはもっと
賢い子だと思ってたよ
人からボタンと石鹸を作る?
ありえないだろ!
おまえは信じたのか?
明日の朝 パパは
バルトロメオで手を洗う
さぞきれいになるだろうな
そしてフランチェスコをボタンにする
しまった!
ジョルジョをなくしたぞ!
これが人に見えるのか?
からかわれたんだよ!
そして引っかかった!
他に何を言われた?
オーブンで料理されちゃうって
オーブンで焼かれるんだって
また引っかかったな!
おまえは本当にだまされやすい!
木で焚くオーブンは知ってるよ
でも人で焚くオーブンなんて
見たこともない
「僕は木でできてるんです」
「この弁護士をくべてやれ」
「この弁護士は燃えづらい
まだ乾いてないんだな」
「ひどい煙だぞ!」
ジョスエ ボタンに石鹸
オーブンで焼かれる…
少しは真面目に考えろ
パパは明日 悪者たちと
ミノ虫競争をする
もういい
家に帰りたい
- いま?
- すぐに
雨が降ってる
熱を出しちゃうぞ!
かまわない 行こうよ
わかったよ
おまえがそう言うなら…
手に入れたものをすべて
失うことになるけど
- 帰れるの?
- 当たり前だろ
人を無理やり閉じ込めるなんて
できるわけがないだろ?
馬鹿を言うんじゃない
そんなことになったらひどいと思うだろ?
さあ 荷物をまとめて
ここから出ていこう
しかし残念だ せっかくリードしてたのに
すべてを投げ捨てるなんて
他の子が本物の戦車を
もらうんだろうな
他の子供なんていない
残ってるのは僕だけだ
他に子供がいない?
あちこちにたくさんいるよ
じゃあ どこにいるの?
隠れてるんだよ
誰にも見つからないように
- これは真面目なゲームだからね
- わからないよ
僕らは何点取ってるの?
だいたい687点
1000点が必要だと言ったろ
さあ これを着て
- うちが勝ってる けどおまえが…
- 僕らが勝ってるの?
いま1番だと言ったろ
けどおまえが望むならやめるよ
昨日得点表を見たけど…
どっちにせよ 出ていくんだ
じゃあな バルトロメオ
ジョスエと僕は行くよ
ここにはうんざりだ
そうだ 戦車は完成した
準備はできてるが
発進の前には点火プラグを磨くんだぞ
アクセルをふかすんだ
さもないと大砲が道をふさいじまう
あの大砲を見たか?
すごく格好良かったよな!
動かす前にブレーキを外すんだぞ
じゃあ行くよ
ジョスエがやめたがってる
すぐに戦車で家に帰れるのに
バスを使わなきゃならなくなった
ジョスエと僕は行くよ!
さようなら みんな!
この場所には疲れたよ
急がないとバスに遅れるぞ
ジョスエ 行くぞ
雨が降ってる
熱を出すのはいやだよ
ジョスエ?
僕だ パパだよ
見せたいものがある
こっちに来い!
あのチビは朝からずっと逃げてたんだ
- 本当に子供がいるの?
- 2000人はいるだろう
ネズミのようにいたるところに
隠れているんだ!
みんな戦車を狙ってるんだ
そのまま!
待ってろ
パパが1人見つけたようだ
近くにいそうだ
さあ 隠れてるかどうか見てこい
ここで待っててやる
パパが見張っててやる
いたよ パパ!
- どんな子だった 金髪か?
- うん
それは彼だ
名前は…シュワンツ
三週間ずっとここに隠れてたんだ
僕らに迫ってたが
蹴落としてやった!
そのうち 他の子も見つかるよ
- どのくらいいるの?
- 大勢いると言ったろ
みんな隠れてるんだ
- 見て パパ!
- 出てきたな!
見つけた あれもこれも!
逃げるぞ さあ
こっちへ来て!
- 見つかってしまった!
- もう終わりなの?
こっちに来るぞ
これからは「沈黙ゲーム」だ
しゃべっちゃだめだよ
誓ってくれ
- 誓うんだ!
- 誓うよ
皆が何を言ってるかは
わからないだろうが
ここを切り抜けられれば
1等賞は僕らのものだ!
誰もが集められる
それが「沈黙ゲーム」だ
ひと言も漏らすなよ?
なぜ子供と一緒にいるの?
黙りなさい!
何も言っちゃいけません
誓います
話がある
とても大事なことだ
- どこで? いつ?
- 後で合図するよ
ありがとう
- 「ありがとう」
- 「ありがとう」だよ
- 「ありがとう」だ
- 「ありがとう」
子供たちとは話すなと
言ったはずです
先生 僕の妻もここにいるんです
ゆっくり
ゆっくり食べるんだ
そんなに食べたらよくないぞ
僕らはリードしてる
もうすぐ出て行けるぞ
ゲームはじきに終わる
ミスはするなよ
いまリードしてるんだから
ゆっくりとだ
よく聞いてくれ
「とても太ってて とても醜くく
全体は黄色い」
「それに何かと尋ねたら」
「ピーピーと鳴く」
「歩いていきます ポッポーと」
「それはなんでしょう?」
本気で答えてくれ
アヒルの子か?
アヒルの子なのか?
そうじゃない!
獣医の友人がヴェネチアから
これを送ってきた
これに答えられないと
自分からは出題できない
私は…
カモノハシだと思うんだが
それは「ピーピー」とは鳴かないんだ
カモノハシはこんなふうに鳴く…
昨夜これをイタリア語に
翻訳してみたんだ
さあ どう答える?
どう見てもアヒルだ
助けてくれ
お願いだから
助けて
夜も眠れないんだ
アヒルなんだ!
こっちだ!
- 疲れちゃった
- さあ
ここはどこだ?
僕は道を間違えたようだ
いい子だ 眠りなさい
いい夢を見るんだよ
きっとこれはただの夢だ
夢を見てるんだ ジョスエ
朝になったら
ママが起こしにきてくれる
そしてミルクとクッキーを出してくれる
まず 食べよう
それから僕は彼女にキスする
二度も三度も…
できるかぎり
失礼…
バルトロメオ?
二人の士官をずっと探してる
きっと逃げたんだ
- 何が起こってるんだ?
- 間違いない
戦争は終わった
ここから逃げだそうとしてるんだ
あのトラックはどこへ向かうんだ?
大事なことはあのトラックに乗らないことだ
一杯に乗せていって
帰るときは空だ
あれがどこに行くか知ってるか?
女性たちはどうなるんだ?
どこへ行かされる?
とっととこのゴミためから
おさらばしよう
僕らは荷物をまとめてさえいないぞ!
ずっと犬の鳴き声と機関銃の音が聞こえる
- すべてを処分したいんだろう
- 僕は出ていく
じゃあな ヴィアレッジオ
金床工場を始めようぜ!
さようなら みんな
僕は行くよ
ジョスエ わかるか
あいつらは怒っている
激怒してる!
わかるか?
おまえを探してるんだ
おまえだけを
すべておまえを探してる
最後の1人だからな
それを見つけようとしてる!
石の下ですら探すぞ!
ゲームは明日終わる
その後に審査がある
もしおまえが見つからなければ
60点になるんだ!
いま何点取ってるの?
940点だ
60点足すと?
- 1000点だ!
- 1等賞 僕らの勝ちだ!
みんなおまえを探してる
今夜はミスできないぞ
勝負時だ!!
- 急いであの箱に隠れろ!
- あそこにはシュワンツがいるよ
誰?
金髪の子
昨日つかまったよ
彼は退場させられた
隠れるにはもってこいの場所だ
誰も探しに来ない
できるだけ急げ
さあ!
中に!
毛布をかぶってろ
そこは寒いからな
パパはすぐ戻る
奴らを迷わせてやる
あっちで見たと思うんだ!
パパ びっくりさせないで!
毛布をよこせ
寒いか?
セーターも貸してくれ
これを木の上に投げて
奴らをごまかしてやる
みんなおまえを探してるんだ!
全員が叫んでる
「ジョスエはどこだ?」
罵ってさえいる
本当におかしくなってる!
誰にも見つからないさ
待ってろ 後で戻るから
いいか
もしパパがずっと戻らなくても
そこを動くんじゃない
出るんじゃないぞ
完全に静かになるまで…
誰もいなくなって
安全になるまでは…
外に出ちゃだめだぞ
くり返してみて
誰もいなくなるまで
外に出ない
いい子だ
じゃあね
立ち去れ!
行くんだ 犬よ!
犬よ去れ!
立ち去るんだ!
いいぞ フェルッチオ
使えるじゃないか
ドーラ? 誰かドーラという
名前の女を知らないか?
ドーラ?
ドーラ?
ドーラ ここにいるのか?
グイドーだ
隠れてるのは知ってる
ここにドーラはいないか?
いないわ
ここにドーラはいないか?
イタリア人で僕の妻だ
ええ ドーラはいるわよ
僕だよ ドーラ!
彼女じゃない!
他のドーラは?
できるだけ早く
トラックから飛び降りるんだ!
降りろ! 飛び降りるんだ!
本物だ!
やあ 坊や
ひとりかい?
名前は?
言葉がわからないんだな?
乗せてあげよう
おいで!
さあ
上がっておいで!
こっちにおいで!
こっちだよ
ママ!
止めてくれ!
ママ!
これが僕の話だ
父は自らを犠牲にして
僕に贈り物をしてくれた
僕の勝ちだ!
そうよ…私たちの勝ち
ジョスエ
たくさん笑って10000点貯めた
僕が1番だったから
戦車に乗って帰ってきた!
僕の勝ちだ!
『英語字幕より翻訳:なんもさん』