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帝国海軍 勝利乃記録 永野修身書
(製作)日本映画社 (監修)大本営海軍報道部
(撮影)海軍航空隊、海軍特設写真班、海軍報道班、日本映画社
本映画は、大東亜戦争勃発以来の強勢を誇る、 米英をして顔色なからしめた帝国海軍の作戦記録を、 日本ニュースより再録改編し、輝く戦果を讃えんとするものである。
第一篇 海軍省検閲第190号
歴史の日
昭和16年12月8日 宣戦の大詔渙発
米英撃滅へ 帝国遂に起つ
大本営陸海軍部発表 12月8日6時
帝国陸海軍は、今8日未明、西太平洋に於て、米英軍と戦闘状態に入れり。
歴史的大発表は、新聞、通信社を通じて、世界の隅々にまで電撃的に行き渡った。
帝国の隆替、東亜の興廃、正に此の一戦に在り。
一億国民が一切を挙げて、国に報い、国に殉ずるの時は今であります。
八紘を宇と為す皇謨の下に、此の尽忠報国の大精神ある限り、 英米と雖も、何等惧るるに足らないのであります。
勝利は常に、御稜威の下にありと確信致すものであります。
東條首相、陣頭に立って、聖戦完遂の決意を闡明すれば、
陛下の赤子は宮城の前に、盛時万歳、皇軍必勝の祈願を捧げるのでありました。
開戦劈頭、帝国海軍は、西太平洋に於て、忽ち果敢な行動を開始。
ミッドウェイを強襲し、ハワイを猛襲。アメリカ太平洋艦隊を壊滅せしめ、 ウェーキ、ガムを爆撃。フィリッピンを襲い、 シンガポールに夜間爆撃を加え、陸軍と共にマレー奇襲上陸を敢行。 香港を空襲。上海、広東両租界を敏速に接収。 驚異的大戦果を獲得しました。
ハワイ大空襲
矢は遂に弦を離れた。 見よ、逆巻く怒涛をついて堂々ハワイ攻略に向かう帝国海軍の威容。
此の日のため、骨を削り、亦肉を削いで、 黙々として鍛えた海軍将兵の決意飽く迄固く、 全員一丸火の玉となって驀進する。
今、歴史始まって以来の一大決戦、将に開かれんとして、 一億国民の信頼を緊と胸に抱いて、ハワイへと向かう。
我が皇国の興廃、正に此の一戦に在り。
隠忍雌伏20年、日夜を分かたず訓練を励みしは何が為ぞ。 兵士固より省みる所に非ず。
時は良し。一斉進撃の命下る。
発連合艦隊司令長官 「皇国の興廃、繋りて此の征戦に在り、粉骨砕身、各員其の任を完うせよ」(終)
眦を決して甲板を離れる空襲部隊。 一機、復一機。征くも送るも心は一つ。
尽忠報国の誓いに燃えて、遙かなる空に眼を凝らす。
爆撃機、雷撃機、 其々鉄火の玉を抱き、上空に編隊を整え、〇〇へ、敵陣の真只中へ。
将兵等しく〇〇し、オアフ島、眼下にあり。 一隊は飛行場へ、敵航空力覆滅の巨弾を見舞う。
〇〇は真珠湾内深く突入、我が奇襲見事成功せり。
彼我の海軍勢力は、一瞬にして逆転した。
租界接収
我が空襲部隊、ハワイに悽絶なる一大決戦を挑み、
上海においては、陸海軍部隊協力の下に、 逸早く戦車、トラックを連ねて、堂々共同租界進駐が断行された。
此の共同租界こそは、香港と共に隠然たる敵性地域を形成し、 〇〇政権を傀儡に、目に余る、抗日、反日の〇〇ではあった。
而も皇軍、厳然たる威武を見せて進駐を開始するや、 一切を挙げて我が軍に下る。
金融機関を初め、敵性資産処理は極めて平穏理に進捗。
永劫に輝く歴史の日。軍艦旗、上海を風靡す。
此の間、イギリス砲艦ペトレールのみは、 僅かに抵抗を試みて、瞬時に撃沈され、〇〇はアメリカ砲艦ウェーキを......
緒戦の大勝の蔭に、特別攻撃隊の尽忠がある
海軍中佐 正六位 勲六等 岩佐直治
海軍少佐 従六位 横山正治
海軍少佐 従六位 古野繁実
海軍大尉 正七位 広尾彰
海軍特務少尉 正八位 勲七等 佐々木直吉
海軍特務少尉 正八位 勲八等 横山薫範
海軍兵曹長 勲八等 片山義雄
海軍兵曹長 勲八等 稲垣清
海軍兵曹長 上田定
「尽忠報国」 海軍大尉 岩佐直治 「断じて行えば鬼神も之を避く」 海軍中尉 横山正治 「沈勇果断」 海軍中尉 古野繁実 「七生報国」 海軍中尉 広尾彰
「真珠湾頭 望敵艦隊 就大快挙 明日亦朗」 海軍中尉 横山正治 昭和16年12月8日
「福岡県遠賀郡遠賀村 古野彦一様 古野繁実」 「君のため 何か惜しまむ 若桜 散って甲斐ある 命なりせば いざ行かむ 網も機雷も 乗り越えて 撃ちて真珠の 玉と砕けむ 靖国に 会ふ嬉しさや 今朝の空」
「皇国非常の秋に際し、死処を得たる小官の栄誉、之に過ぎたるは無し。謹しみて、天皇陛下の万歳を奉唱し奉る。 弐十有余年の間、亡き父上、母上様始め、家族御一同様の御恩、小学校、中学校の諸先生、並、海軍に於て御指導を賜りたる教官、上官、先輩の御高恩に対し、喪心より御礼申し上げ候。 同乗の上田兵曹の遺族に対しては、気の毒に堪えず。 最后に高恩の万分の一にも酬いる事なく死する身を深く愧ずるものに有之候。」 海軍中尉 横山正治
支那方面 香港攻略
イギリスが支那侵略の牙城を構えて一百年。
伝統さながら、一つの要塞を組み立てる香港島へ、 陸軍部隊に呼応して、我が海軍部隊も亦猛攻を開始。
新見最高指揮官の激励を受けて、 一死報国、敵前上陸決行の時は来ました。
空からは、敵軍事拠点を虱潰しに必中の巨弾を浴びせかける。
我が荒鷲陣の急追に、 敵船団も亦、或いは沈没し、或いは擱座し、一隻として○○なし。
脆くも崩れ行かんとするイギリス軍。
昔日の勢威を呼び戻すに術もなく、 僅かに機雷を敷設して、我が軍の上陸を阻まんと図りましたが、
決死掃海艇隊の活躍は功を奏し、 海軍陸戦隊は見事敵前上陸に成功しました。
我が肉薄攻撃を支えるに落ちなく、 難攻不落を豪語して、香港島要塞に寄った敵は次第に崩壊。
宛ら落城の運命を物語るかの如く、 石油タンク、軍需倉庫は永遠として燃え上がり、
潰え去るイギリス帝国侵略の夢を弔うが如し。
香港の運命、此処に極まり。 12月25日午後5時50分、遂に我に降伏。
香港の陥落は世界に告げている。新秩序建設の黎明を。
陥落した一大要塞を前にして、 新見海軍最高指揮官は、我が将兵、力戦の痕を、静かに辿って行きました。
東洋民族の幸福を奪い去って、 自らの幸福を築き上げたイギリスが暴虐の痕は、其処此処に印され、
捕えて尚、恥を知らぬ夥しい潰兵の姿に、 東亜から退いて行くアングロサクソンの挽歌が偲ばれるのでありました。