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第三章 シャネルとダイヤモンド
「私がダイヤモンドを 選んだのは
小さくても最も高い 価値を持つものだから」
好奇心から
1932年 シャネルは
コスチュームジュエリーで 愛用したパールや宝石から
最も貴重な石 ダイヤモンドに心を向けます
思いがけなく
1929年の 大恐慌の影響が残る中
ダイヤモンド商人は 有名な大手宝石店ではなく
シャネルを選びます
最も短く最も伝説的な コレクションの始まりです
シンプルに
彼女は宝石をシンプルな セッティングにすることで
今までのスタイルを 時代遅れのものとしました
石自体ではなく
大切にするのは ラインやデザインです
ダイヤモンドを自由に操り
ウェストミンスター公爵に 贈られた宝石さえも
新しいジュエリーに 作り変えました
断固として
柔軟さを信条 自由を美徳とします
留め金を取り払い ネックレスを長くして
肩に彗星を 胸元に星を輝かせます
「女性の指を ジュエリーで リボンのように飾りたい」
詩のように
パリの空から 星を摘み取ります
「女性を星で 包みたかったのです
星! 髪にきらめく 様々な大きさの星」
象徴的に
コレクションには 5つのテーマがあります
5は彼女のラッキーナンバー
彼女のスタイルの鍵は 星の魔法
太陽の光 リボンのしなやかさ
フリンジの無頓着さ 羽の軽快さ
密かに
ダイヤモンドで 星 三日月 太陽
マルタ十字を作り 暗い少女時代を輝かせます
孤児だったシャネルが 毎日ミサに通った
オバジーヌ修道院の 敷石のモチーフです
大胆にも
カンボン通りの ブティックではなく
フォーブル•サントノーレの 彼女の自宅で発表します
展示ケースや 黒いヴェルヴェットは使わず
髪を整え メークアップを施した
マネキンに身に着けさせます
猛烈に
ヴァンドーム広場の 男性社会から
宝石を分解するよう求める声に
美しい物は広めるべきだと シャネルは答えます
最後に
これが彼女の最初で唯一の ハイ ジュエリーコレクション
時代を超えるスタイルを 創り出しています
華美を超える創造性 誇張を超える軽快さ
クチュリエの革新は 瞬く間に広がり
ジュエリー界を 目覚めさせます
鮮やかに
現代のコレクションは 過去の作品から影響を受け
星やフリンジや リボンを再解釈し
シャネルの世界を象徴する カメリアの花
ライオンやパールに 新しい息吹を感じさせます
傲慢に
今 Tシャツに身に着けた ダイヤモンドのネックレスは
優雅に感じられます
美は 義務でも習慣でもなく 魅力的であるための手段
シャネルへの 無言の賛辞です
自由に
シャネルの ダイヤモンドを選ぶ女性達
その宝石はトロフィーではなく 自由のシンボルです
ジャケットや肌 髪に飾った
ダイヤモンドは輝き 強さ きらめきを放ちます
永遠に シャネルとダイヤモンド