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【ダフトパンク】
名曲というのは 心の奥底から生まれる
作曲家が胸に秘める〝本物〟を うまく引き出すのさ
【ランダム・アクセス・メモリーズ】
【ザ・コラボレーターズ ポール・ウィリアムス】
ダフトパンクは『ファントム・ オブ・パラダイス』を見てー
被り物をして演奏する スタイルを確立したんだろう
世間の注目を浴びるにつれー
私はどんどん図に乗っていった
多くの番組に出演したよ
いい年して まだ チヤホヤされたいなんて哀れだろ?
その点 素顔を隠す彼らには 好感が持てる
目立とうと必死にならずにー
アートを世に送り出す人間は 本当に尊敬するよ
彼らが素性を隠すのはー
作品そのものを 楽しんでもらうためだ
私の仕事はー
国連で働く翻訳者みたいなものだよ
音楽の言葉に耳を傾けるのさ
ミュージシャンから 作詞を頼まれることが多い
ワクワクするような旅を している感覚だ
毎回 新しい曲に出会えて 驚きの連続だよ
今回のアルバムは特別だ
ヘンソン・スタジオで 収録したからね
A&Mレコードと契約しー
アルバムを制作してた
どれも大事な作品だ
ある日 スタジオにー
ジョニ・ミッチェルなど 大物アーティスト数名が来てー
私の曲に参加してくれた
『マペットのクリスマス・ キャロル』の音楽もそこで手がけた
思い出の場所だ
【いつの日か 虹の架け橋を見つけるだろう】
【愛し合う者たちと 夢見る人たちと そしてボクとの】
ささやきが聞こえたんだよ
彼らとのコラボはー
宇宙からのお告げだね
脳を刺激してー
ある空間に案内するのさ
そこは日常から かけ離れている
ミカンを食べていた妻が 「目を閉じて」と言ってー
1粒 差し出すんだ
「地球では味わえない果物よ」 とか言いながらね
一口もらって食べるとー
別世界へ いざなわれる
今まで味わったことのない食べ物を 初めて食すようなー
新感覚のアルバムさ
2人と話し合った結果ー
〝正体不明の人物〟に 曲を書くことにした
宇宙人かもしれないし
眠りから目を覚ました 謎の生き物かもしれない
とにかく人物像の特定を避けー
かわりに感情を意識した
美しいメロディーを聞くと 自然と歌詞が浮かんできたよ
彼らはテクノポップ専門だが 実にエレガントな曲なんだ
感動したよ
その瞬間 自分がー
小さくて 弱い存在に感じた
一人のちっぽけな男さ
私は肩書に頼るような 虚栄心の強い人間なんだ
常にー
「オレは」「オレが」ってね
清い自分になれたのはー
弱い自分を正直に認めた時だけだ
そんな機会を 彼らに与えてもらえたんだ
感謝してるよ
今 ダフトパンク以上にー
大胆に最先端を行く アーティストはいない
私みたいなオジサンがー
突然 そんなクールな連中に 声をかけられたんだ
自分がちっぽけに 感じる瞬間さえもー
ありがたいよ
23年前のある日 私の人生は大きく変わった
毎日が天からの贈り物だと 気づいたんだよ
曲にもそれを込めたつもりだ
この曲には人生の不思議やー
奇跡の雰囲気があると思う
私は〝生まれ変わった男〟だ
クスリが原因で 多くの友人を亡くなった
しかしある日 人生がー
エレガントな... 驚きの連続に変わったんだ
何だかやたらと 「エレガント」と言ってるな
きっと彼らの作品がー
洗練されてるからだ
曲の雰囲気は 今の私の人生観は似てる
だからこそ「タッチ」は 私の感情をー
揺さぶるんだろう
他の人もそうだと願うよ
今回の作品はまさにー
聴き手の心を揺さぶりたいという アーティストの夢を体現してるんだ
[ランダム・アクセス・メモリーズ ザ・コラボレーターズ]