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民主主義、力強い公教育、保健医療、幅広い経済的機会なんであれ、それらを通じて
不平等を減らすことが人類最大の進歩です。
私は、この国において何百万人もの若者が教育機会を奪われていることを、ほとんど知らずに大学を去りました。
また、発展途上国で何百万もの人々が言い表せないほどの貧困と病気の中で生活していることについても、何も知りませんでした。
これに気付くのに何十年もかかりました。
卒業生の皆さんは、違う時代にハーバードへやってきました。
以前のハーバードの学生よりも、世界の不平等についてより多くのことを知っています。
皆さんが在学期間中に考える機会があったことを願っています。
このテクノロジーが進歩している時代に、いかに不平等問題に対処し解決できるかについてです。
議論目的で想像してみて下さい。
1週間に数時間、月に数ドル、大義のための寄付をするとします。人々を助け、その生活を向上させるために、その時間やお金を最も効果的に使うとしたら、
どこに使いますか?
(妻の)メリンダと私にとっても課題は同じです。
いかにして私達のリソースを、出来るだけ多くの人々のために最も効果的に使えるか、ということです。
この問題について話し合っている間に、メリンダと私はある記事を読みました。
貧しい国々では、毎年何百万人もの子供達が、アメリカではかなり前から無害になった病気で亡くなっている、という記事でした。
はしか、マラリア、肺炎、B型肝炎、黄熱病です。
今まで聞いた事も無かったロタウイルスという病気で、毎年約50万人もの子供が亡くなっています。
アメリカではこの病気で1人の子供も亡くなっていません。
ショックでした。というのも、もし何百万人もの子供達が亡くなっていて、しかも本当は救うことが可能なら、
世界は、彼らを救うような薬を見つけて提供することを優先する、と思っていたのにそうではなかったからです。
1ドル足らずで命を救える治療があるにも関わらず、提供されませんでした。
もし全ての命に同じ価値があると信じるならば、
救う価値がある命とそうでない命とに区別されること、を知るのは実に嫌なものです。
「これが真実のわけがない。でももし真実ならば、私達の援助の最優先事項にするべきだ。」と自分達に言い聞かせました。
そこで私達は、ここにお集まりの皆様が取り得る同じ方法で、この問題に取り組み始めました。
「どうして世界は、これらの子供達を死なせることが出来るのか?」と自問自答しました。
この答えはシンプルで厳しいものです。市場は子供達の命を救うことに報酬を与えなかったし、政府は援助しなかったのです。
ですから子供達は死にました。彼らの両親が市場での力も、社会制度の中での発言権も、持っていなかったからです。
しかし私達は両方を持っています。
私達は、市場の力が貧しい人々により良く機能するようにすることが出来ます。もしより創造的な資本主義を作ればー
ーより多くの人々が利益をあげられるように、あるいは少なくとも生計がたてられるように、大きな不平等に苦しんでいる人々を救えるように、もし市場の範囲を広げればーそれが可能です。
また世界中の政府に対し、納税者の意向をより反映する形で税金を使うことを強く求めることも出来ます。
貧しい人々のニーズに合ったアプローチを見つければ、そしてそれが、ビジネスには利益を生み出し、政治家にとっては票集めにつながるようなものであったら、世界中の不平等を減らす、持続可能な方法が見つかるでしょう。