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始まりは何だったのでしょうか
アーティストやスポーツマン…
多彩な文化が様々な 自己表現の舞台となっています
感情を表現するには 思考や映像―
音楽 彫刻などの 方法がありますが―
数字で表現する場合は どうなるでしょう
1980年代 世界は変わりました
コモドール64の登場により コンピュータ技術が普及し―
デジタルアートが 身近になりました
コンピュータは既存の 芸術の再現だけでなく―
全く新しい形式の芸術も 生み出しました
コンピューター技術を 利用して作りだす―
"究極の視聴覚体験"です
数理言語とコードだけを 使用します
これが"デモ"や "デモシーン"文化の原点です
デモは数分間の アニメーションビデオですが
従来のビデオとは異なります
動画や音楽ファイルのこと?
違う 実行プログラムだよ
ゲームソフトみたいな
テレビゲームにも “デモ”はありますが
デモシーンで“デモ”と 呼ばれるものとは別物です
ゲームの"デモ"って いうのは―
宣伝用にいくつか抜粋した ゲームが入ってるんだ
デモシーンの“デモ”は作品で ゲームとは関係ない
ただし この2つのデモには 同じ技術が使われ―
実行プログラムであることが 共通しています
もちろん 違いもあります
仕事でも趣味でも ゲームを作るときには―
守らなければならない ルールがあるけど
デモは"何でもあり"なんだ
アメリカから来たコーダー "Sir Garbagetruck"
デモの仕上げに苦心しています
抽象的でもいいし 設計図を書いてもいい
創造力を使って―
何でも自由に表現できるのさ
制作中に問題に直面すると―
独創性が刺激されるんだ
もっと効率的な方法は 何だろうって
デモの目的は 映像と音楽を使って―
ミュージックビデオみたいに 楽しめる作品を作ることさ
コーダーとグラフィッカー 作曲家の友達が集まって―
何かを作ろうとする
楽しんで作ったら それを誰かに見せようとする
それがコンセプトさ 達成感が得られる趣味なんだよ
どこかで習ってきた人なんて 誰もいないと思うよ
プログラムもグラフィックも 作曲もみんな独学だよ
原始的な芸術なんだ
自己表現のための方法としては 使えるけど―
今のデモシーンには それ以上の意味はないよ
Conspiracyのコーダー “BoyC“
彼のデモ「Chaos Theory」は CGの国際会議である―
「SIGGRAPH」で公開されました
デモは遊びで作るものなんだ
昔は“こんなの作ったぜ”って 自慢し合ったりしたよ
90年代にデモを 真剣にやり始めた頃は―
驚きの連続だったよ
不可能だと思ったことが 画面に現れたからね
ビックリだよ "これが出来るのか?"ってね
画像の新しい表現方法を 考えるのは―
本当に楽しくて刺激的なんです
共通点はまだあります
デモの誕生の背景には コピーガードが解除された―
ゲームソフトの流通があります
C64でゲームのクラッキングが 始まったのは―
30年ぐらい前のことかな
クラッキングに成功した人が 喜びを表現しようと―
得点リストやグラフィックに 署名を残したんだ
署名の次は―
ゲームの前に 画像を表示させるようにした
そこにテキストスクロールや
グリーティングが入って 複雑化したんだ
"グラフィティアート" みたいだね
そう 似てるね
デモシーンは "デジタルグラフィティ"だよ
ゲームを クラッキングしたら―
ゲームの前に "イントロ"を入れるんだ
"すごいだろう"って グループを自慢するためにね
グループを結成すると―
ゲームの クラッキングだけじゃなく
格好いいイントロを 作ることも目標になった
そのうちにイントロだけを見る 人達がでてきたんだ
俺もその一人さ
音楽もフォントも好きだったし スゴイことをやってたんだ
技術的にゲームを超えてた イントロもあったよ
そのうちイントロを作るほうが 楽しくなってきて―
ゲームはもう要らなくなった
デモシーンの誕生さ
当時はコンピューターを 持ってる人が少なかったから
持ってる人達で会ったりしたよ
コンピューターで 何か作るのが楽しかったんだ
だからデモシーンが 生まれたのさ
United Forceの作曲家 “Slyspy”
数多くの音楽を 作曲しています
最近はソロで活動し 海外からも人気を得ています
コミュニティハウスの “Csoki”で出会ったんだ
そこがハンガリーの コンピューター文化の中心でね
そこでデモを初めて見たんだ すぐに興味を持ったよ
最初の数年は見てただけで グループが結成されてから―
少しずつ作るほうに 参加するようになったんだ
コンピューターの進化に伴って 過去30年の間に―
デモシーンは 大きく変化しました
ツールや制限 目的も変わったのです
昔はハードウェアの限界に挑む コードが中心だった
8ビットのC64とか Amigaとかを使ってね
当時は “一番になってやる”って感じ
コンピューターの性能が どれも同じだったから
曲線ドットや ウェーブスクロールの数で―
簡単に世界記録が測れたんだよ
一番になったと思っても すぐに破られる
破られたら徹夜して 勝てる方法を探すんだ
今は技術というより デザインの勝負だね
デモは芸術的な方向に 向かってるけど
今でも一番称賛されるのは―
限界にチャレンジする 優れたコードで
かつ芸術的なデモだね
作品を人に公開するからには―
驚かせたいんだよ
観客がコンピューター技術の 限界を知っていれば―
簡単に驚いてくれますが
一般の人に 立方体の回転を見せても
技術的に優れた作品であるとは 理解してもらえません
性能が上がり 技術的な知識がなくても―
楽しめるデモが 作れるようになり―
表現にも変化が生じました
最近は役割が分散されていて
プロデューサーとか 監督みたいなのがいるんだ
デモやイントロの最終形が 見えてるやつが―
作業の流れを管理するのさ
監督がいるの?
そう
技術に焦点を絞った すごいエフェクトのもあるし
新しい技術をほとんど使わない デモもあるよ
表現で勝負してるんだ
それから メッセージを 伝えようとしてる―
デモも見かけるよ
火曜日 不用品を売る 手助けをしていると気付いた
昼休みの出来事だった
どんどん難しくなってるよ
立方体や3Dだけじゃ 驚かなくなったしね
見た目が良くても コンセプトがないとダメなんだ
Conspiracyのコーダーで 作曲家の”Gargaj”
デモパーティー「Function」の 主催者です
アメリカでは知られてないけど デモシーンはとても―
ソーシャルなんだ
デモシーンの存続には コミュニティが欠かせません
"デモパーティー"と呼ばれる イベントは―
技術や意見を交換できる―
ファン同士の交流の場です
様々なデモが発表され投票が 行われるこのパーティーが
デモシーンの原動力です
趣味のデモを ウェブで公開する人は―
本当にごくわずかだね
普通は"コンポ"に出場して―
大型スクリーンで公開するんだ
観客が気に入るかはともかく 影響は与えられる
人の作品を見るのが好きな 頑固者の集まりなのさ
大画面で作品を公開して 数百人から拍手をもらうんだ
最高の気分さ!
他のチームに勝つために デモを出すやつもいれば
ただ競争が好きなやつもいる
観客に嫌われると分かってる デモを出すやつもいるよ
パーティーの始まりは80年代
クラッキングされたゲームが ルーツです
最初はコピーのための パーティーだったんだよ
盗むんじゃないんだ?
当時はインターネットも なかったから―
仲間の家に寄って コピーしてたんだ
仲間が増えれば場所を借りてね
集まってコピーしてるうちに デモが登場したのさ
イントロを作ることしか 興味のない人もいたしね
今ハンガリーでは マルチプラットフォームだと
1つしかパーティーがないんだ
賞品も大したものは 出ないから―
達成感とか経験のためかな
「Function」は 2003年から毎年開催され―
約200人が集まる ハンガリー最大のパーティーです
来場者の25%が コンポに参加します
熱心に取り組んでいた人が 200人ぐらいいたんだけど―
今は50人ぐらいまで減ったから みんな知り合いさ
何が楽しみなの?
良いデモを見るとか 仲間に会うとか
何か目的があるの?
皆に会って 楽しんで 良いデモを見るのが楽しみだよ
俺ははっきりしないんだ
だけど…
パーティーが終わって 参加した200人の顔を見ると…
ハンガリーの パーティーの規模ではね
"来年も絶対やらなきゃ"って 直感で分かるんだ
説明はできないけど
嬉しそうな皆の顔を 見るのがいいんだ
すごいデモを見られたからとか
隣の席の奴と 知り合いになったからとか
後で使えるソースコードを 交換できたとかさ
あとは雰囲気を 体験できたからとか
コンポの開始が告げられて―
暗闇の中に最初のデモが映ると 鳥肌が立つよ
パーティーに行くと そう感じるんだ
どれが目的かなんて言えない
初めてパーティーに 行った時―
"もっと参加しなくちゃ"って 思ったんだよ
商品の販売もないのに パーティーから利益は出るの?
趣味と出会いのためだけに 開催してるんでしょう?
金銭面の得はないね
芸術として見なされないから 国から資金も出ないし…
でも利益のためじゃないんだ
"やらなきゃいけない"って 使命感で動いてるんだ
海外からの参加も多いよ
一度参加して楽しんだ人が―
リピーターになるんだよ
マルセイユにほど近い小さな町 "アルル"
地中海の町として 観光客に人気ですが―
10月は別の理由でにぎわいます
ハンガリー人も主催に関わる 「MAIN」が開催されるのです
パーティーをストリーミングで 見てた外国人に―
パーティーを主催する手伝いを 頼まれたんだ
Rebelsのコーダーで主催者の "Pasy"
相当な数のデモを 作成しています
MAINでは技術面を指揮します
最初は1人で行ったんだけど 人を集めていたら―
技術チームの全員が ハンガリー人になったんだ
フランス人は金銭面や 政治的な部分が得意なんだよ
ハンガリーのパーティーと 異なる点の1つに―
巨大なディスプレイがあります
ここで作品が公開されるのです
ハンガリーの予算額は フランスのパーティーだと
2人分だもんね
団体のトップが スポンサー探しが得意なのと
フランスはどんな種類でも 芸術を支援するからね
デモシーンでは全員が 1つの集合体に属します
複数のコミュニティや 表現形式は存在せず
別の場所で作品を 公開することもありません
パーティーがなければ デモは終わりだ
デモを作ってる人達と 実際に会わなきゃダメなんだ
年に1度でもいいから 会って話さなくちゃ
会話の中にデモを感じるよ
自分の音楽が入ったデモが 公開されたとき―
どんな楽器を使ってるのかって 話しかけられたんだ
それで話してるうちに 友達になったんだ
ライバルは親友でもあるんだ 嬉しいよ
パーティーはコンポだけでなく 楽しむ場でもあります
技術的な講演以外に ライブも行われます
公開されたデモだけでなく パーティー自体が―
思い出になるのです
ポーランドのデモパーティーで 会場に着いたら―
主催者が 酔っ払ってたことがあった
フィンランド人はボトルから ウォッカを飲んで―
誰かの自転車に小便かけてたな
でも死人は出てないんだ
デモシーンに参加してるのは 男ばっかりだけど―
女の子はどう思ってるのかな 友達を作るのは難しい?
そうでもないわ
どう思っているかは 人それぞれだと思うけど
女の子の参加者も何人かいたの
ヨーロッパでもハンガリーでも
音楽とかグラフィックとか コーダーの子も―
ボーイフレンドと一緒に 来てたから
比率は分からないけど 9対1ぐらいかしら
どう思う? 8対2ぐらい?
8対2かな
パーティーでは デモだけでなく―
絵や音楽 独立型のコード 写真などのコンポもあります
共通するのは 締め切りとの戦いです
時間がとれないから ギリギリで仕上げるんだ
いつも最後の数日間は 徹夜でデモに集中するのさ
締め切りの数分前に 完成したりしてるから―
完璧じゃない部分もあるけど
このスリルを楽しんでるんだよ
ある意味 精神的な極限スポーツかもね
パーティー会場で 仕上げることもあるよ
ギリギリだって聞きましたよ
デモが完成して…
違うよ 完璧じゃないのさ
家を出る時に クラッシュしてた部分を
修正する必要があるんだよ
コンポに参加するか どうかで―
パーティーが 全く違うものになるの
会場で修正しなきゃと思うと また違った気分になるよ
そうね 私も経験したわ
でも それが魅力でもあるの 作業してると誰かが来るし―
他の人の作業も見られる
他のコーダーから アドバイスももらえるしね
"ちょっと手伝ってよ"って 呼ぶんだ
3人で修正したりね
デモを作るのに必要な時間は 最短でどのくらいなの?
90分かな
90分から数年かかるのもあるし いろいろだよ
コンピューターの性能が 進化すると―
制限が必要になりました
サイズ制限付きデモの誕生です
このデモでは―
4KBなどの指定のサイズに 実行ファイルを収めます
友達がフロッピーディスクを 持ってきて―
"これで64KBだぜ?"って 言ったんだ
実行してみたら 4分間の動画だからね
本当にビックリするよ
サウンドもね
そうそう!
クオリティの高い 映像を見て―
これは4KBだって言われても
4KBがどのくらいなのか 分からないよな
ワードパッドで何か書くと 4KBなんてすぐ超えるよ
ワード形式の 履歴書だったら―
イントロの3倍のサイズだね
半角の1文字が1バイトです
4KBでは4096半角文字となり 約1ページに相当します
これが4KBデモの データ量です
しかし 実行すると―
5分間の映像と音楽が HDで生成されるのです
こんな感じです
4KBや64KBのサイズで
デモを作ろうとする時には
普通とは違った 方法を使って―
映像や音楽を 出す必要があるんだよ
64KBのデモには 4KBの16倍の量が入りますが
それでも一般的には 小さなサイズです
64KBで保存できるのは MP3では約4秒間
動画では0.5秒です
5分間の動画で驚くのは 作品のスゴさと―
ファイルの大きさだね そうだな…
CDだったら1万個入る
動画に変換したら 3個しか入らないよ
4KBでも 大きい人のために―
256や128バイト制限の コンポも開かれています
このサイズのデモは―
アニメーションのみの構成です
128バイトで出来てる 3D映像を見たんだ
皆が口をあんぐりと開けてたよ
割れるような拍手も起きてね
その後バイナリエディタで コードを画面に映したんだ
たったこれだけ
コードに拍手したよ
あんなことが出来るなんて 信じられなかったね
制限が設定されていると…
創造性が高まるんだ
現代のマシンで サイズ制限に挑むように―
レトロなマシンのデモでは 技術的な限界に挑みます
C64やPlus/4
ZX SpectrumやAmigaは
30年前の性能を持った コンピューターですが―
今でも素晴らしい作品を 生み出しています
人気は作品数にも表れています
PC作品の1万4000点に対して
C64のデモ作品は 1万8000点です
そういうコンピューターの 愛好家グループがいるんだ
他のマシンには 興味がないと思うよ だって…
得意分野はそれぞれだから
もっと活気があった頃は―
対立関係みたいなのが あったんだよ
ちょっと大げさかな
特にPCユーザーと Amigaユーザーが張り合ってた
デペッシュ・モードと キュアーのファンみたいにね
作曲家からコーダーに転向した "Reptile"
Astroideaのメンバーです
Amigaはすごく 進歩的なマシンだったんだ
本当に良く出来てたし 想像的だった
PCが嫌われたのは いろんな面で後退してたからさ
Amigaは大衆向けじゃないんだ
ハーレーのバイクみたいに 品があったのさ
PCはクズみたいな 大衆市場向けマシンだからね
ビジネス面では 良かったんだろうけど
Amigaの気品は 厳格な文化を生み出したんだ
Amigaを守るためなら 何でもするだろうね
”アイカ”
ハンガリー西部にある 静かで小さな町ですが―
1年に1度 その姿を変えます
夏に行われる 「Arok」パーティーに―
8ビットコンピューターの ファンが押し寄せるのです
Arokパーティーは―
8ビットコンピューターと C64用のパーティーなんだ
最初はデモだけの はずだったんだけど
他の分野に興味を持ってる 参加者が増えてきたんだよ
ハードウェアを作る人とか ゲームが好きな人とかね
Singular Crewのメンバー "Poison"
Arokパーティーの 主催者の1人です
参加者に共通の趣味はあるけど
親交がテーマの パーティーの1つかしら
毎年ベテランの人達が たくさん遊びに来てるの
参加者が 100人近い年もあったよ
いろんな国から来てたんだ
8ビット以外のマシンは 持ち込み禁止だったんだ
でも主催者がエミュレーターを 使い出したからね
電話もダメだったよな
そう 電話も禁止されてた
携帯電話のほうが C64よりも1000倍は速いからね
グラフィックや音楽や デモ以外に―
コンポを拡大しようとしたけど
他のイベントでは やってないことを―
考えてやってみようかなと 思ったんだ
今年はリアルタイムの 冒険ゲームにしたんだよ
マシンを使わず 地図を持って 町の中を探検するんだ
難しいな…
プラズマ・エフェクトだろ
サブカルのパーティーさ
C64の文化は 様々な方面で続いています
C64の音楽の人気も 止まりません
現在では C64の音楽が オーケストラや―
アカペラで演奏されています
作品からヒントを得た プロデューサーもいます
"SIDRip Alliance"は C64音楽のロックバンドです
中学2年の時 C64でよくゲームしてたんだ
テレビから録音したんだよな
C64のゲーム音楽を録音して 聞いてたんだ
ゲーム音楽を聞いてたの?
ゲームとデモの音楽さ
楽譜はないから 自分で考えるんだ
0と1からじゃ難しいよね
6つの楽器を 3つのチャンネルに分けるんだ
ライブ演奏向けに 作られてない曲が多くて大変さ
手法があるんだろうけど キーがはっきりしないんだ
"よし メジャースケールだ" とはいかない
実際の楽器向けに 編曲するのが困難なのは―
コンピューターでの 音の出し方が
実際の楽器とは異なるからです
弦や鍵盤は使いません
今のシンセサイザーと 共通点もあるよ
サンプルじゃなくて 正弦波や三角波から始めるんだ
マイクで録音するだけじゃ マシンには入らない
基本的な波形を 少しずつ調整していくんだ
"この音をここまで調整"って コマンドを出すの?
そう 例えば正弦波に―
1キロヘルツの周波数を 設定して
ローパスフィルターをかける そして―
2000ヘルツで切るとかね
Conspiracyなどの作曲家 "Vincenzo"
どんなビット数のマシンでも 作曲できます
C64のSID音源は 限定的だけど
いろんなことが出来るんだよ
チャンネルが3つだから 一度に3つの音しか出せない
創造性が かなり重要になる部分だよ
これが楽譜だよ
速度3で 楽器は1
フル音量で F1のピッチで音を出す
ここまで来たら"GATE" 音を止めるって意味なんだ
ここで楽器0 ピッチG1に 切り替えてミュートだね
音を生成するのは 別の画面でやるんだ
0番から始まって
値は"41"からスタート
つまり方形波ってことだね
次にモジュレーションCの 方形波が来て―
1オクターブ上がるんだ
"41 00"は ピッチ変化なしの 方形波ってこと
どうして分かるの?
経験かな
本には書いてないよね
経験しながら学ぶんだよ
基本的なサウンドを 組み合わせたりできるんだ
そんなに難しくないよ
基本さえ学べば C64で簡単に作曲できる
ウソつけ コイツを信じちゃだめだ
デモに馬の声を入れてたんだぜ
あれ どうやったんだ?
本物の馬のいななきに 聞こえたんだよ!
簡単だよ 02 06 41 68 7B…
制限があるから 作曲家もゼロからのスタートさ
すごい才能がなければ 出来ないよ
コモドール64を使って ライブは出来るのかな?
やった人がいたよ
AmigaやPCの登場で ツールも進化しました
"トラッカー"は C64のソフトに似ていますが
サンプルの再生機能があり
複雑な音楽の作成を 可能にしました
現在のデモ音楽の作曲に 使われるのは―
一般的な音楽ソフトウェアです
ただし4KBや64KBの イントロには制限があるため
C64で見た アプローチに戻って―
波形を使って音を出します
音楽のトレンドは デモシーンにも影響してる?
流行を入れるのは重要?
ダブステップばかりさ!
デモにもダブステップ?
それと ビックビートに ドラムンベースだらけだよ
時々フィンランドから メタルのデモもあるけどね
じゃあルールはないんだね
ないよ アンビエントの デモもあるしドローンで―
10分間同じ音のもあるよ
サンバ音楽のデモは知ってるよ
キャッチーな音楽が多いんだよ
商品としてリリースしてたら ヒットだったろうな
売れ線のメロディーなんだ
デモの音楽だけ作ってる人が 多いんだよ
じゃあ 音楽業界とは 関係ないんだね
全く無関係じゃないけど
ドラムンベースの 曲を作って―
デモだけで発表する人もいるよ
デモの音楽を商業的に 利用するっていうのは―
哲学とかけ離れてるね 誰も興味ないんじゃないかな
問題は 音楽の質と人気が―
常に同じレベルであるとは 限らないってことさ
今流れてる曲が聞こえるかな
スゴい音楽なんだけど
売れるのは"バービー"だろ
グラフィック機能は―
過去30年で 音楽機能と同時に 大きく進化しました
現在は 実際に彫刻するように 3Dモデルを作成します
20年ほど前の C64の時代には―
ピクセルごとに 画像を描く必要がありました
このソフトは キーボードで操作するんだ
このおかげで 作業が速くなったよ
使い方に慣れてきたり―
機能が分かってくると…
速く描けるようになるんだよ
ズームアウトしてみると
絵の全体が見られるんだ
最大の難関は―
C64で1文字に表示できる 色の数に制限がある点です
グリッドを使って カウントします
ほら ここでオレンジは もう使えないんだ
黒の背景色のほかに 3色使ってるからね
ここで技を使うんだ
色を取り替えて…
ほら 分からないだろ
違う色が何ピクセルか 入ってても気がつかないよ
これがドット絵の美学の1つさ
制限を守る必要があるんだ
ドットごとにつなげるだけじゃ ダメなんだよ
ハードウェアの制限にも 注意が必要なんだ
今活動してるほとんどの C64のグラフィッカーが―
C64を使ってないよ
クロスプラットフォームの 多機能なツールを使っても―
最終的に仕上がったものを C64で表示できるんだ
最近のトレンドは―
ツールよりコンバーターを 作ることなんだよ
つまり どんなエディタで 作成した画像でも
コンバーターが C64で 最適に見せる方法を―
考えてくれるのさ
プログラマーはマシンの 不完全な機能を使い―
より解像度の高い画像にする 動画モードを作成します
ただし 複雑なモードの規則を 覚えるのは不可能なため―
画像のコンバーターが 登場したのです
全ての規則は とても覚えられないよ
例えば…
背景色は3文字ごとに 使用できるけど―
幅が1ピクセル以上の 場合だけとか
ラスター線では 他に3色が使えるけど… とか
全部覚えるのはムリ
信じられないような C64の新しい動画モードが―
今でも見つかってるんだよ
"これが限界だな"って 毎年思うんだけど―
また出てくるのさ
まだ可能性を追求してるんだね
そう 限界に挑んでるよ
マシンと画像の進歩は 連動しています
現在デモの画像の作成に 使用されるのは―
映画やゲームを作成するのと 同じツールです
デモシーンに特有の 画像もあります
テキストを表示する"ロゴ"も その1つです
ロゴはテキストファイル内にも 登場します
この場合は アスキー文字で再現されます
80年代に困難だったのは 制作だけではありません
インターネットがないため 作品の配布は―
普通郵便を使って行われました
"スワッパー"は 独自のネットワークを築き―
デモなどをフロッピーに入れ 郵送で交換したのです
郵便物のトレーダーとして 100人と連絡を取ってたよ
ピアツーピアの ネットワークみたいにね
ここで受け取ったら―
受け取ったものを詰めて 別の人に送るのさ
新作は他の人にも配らないとね
当時ハンガリーには―
郵便で500人以上と 連絡を取ってる人がいたよ
配達の人は大変だね
フロッピーが ぎっしり入った封筒が―
ヨーロッパ中から来るんだ
毎日大きい封筒で20通は ポストに届いてたな
当時はスワッパーの存在が 重要だったのさ
パーティーが終わると―
パックをリリースするんだ
パーティーのイントロを 全部入れてね
デモ以外にも 配布されたものがあります
"ディスクマガジン"と 呼ばれるものは―
実行プログラムで コンテンツを表示します
プログラムの中に 雑誌があるんだ
ロードすると ニュースやコラムが選べるのさ
友達とか知り合いに送って―
マガジンを広めていくんだよ
初期のマガジンには "切手は要返却"ってあったよ
皆それほど 金持ちじゃないし―
でも連絡先には 郵送しなきゃならない
だから"切手は要返却"なのさ
"再利用するから切手を返せ" って意味なんだよ
転送方法も今とは異なります
当時は "ダウンホイッスル"でした
80年代の中頃だったかな
ハンガリーの国営放送が 実験放送をやったんだ
ソフトの "ダウンホイッスル"番組さ
C64プログラムを カセットテープに保存すると
電子ノイズ音が聞こえるんだ
番組では このノイズ音を放送したのさ
だからテレコを用意して
"C64とSpectrumの利用者は 録音を開始"って言ったら―
録音してマシンで プログラムを読み込むのさ
現代のデモの作成方法は 2通りあります
最初からプログラムを 作成するか―
デモツールを使用するのです
今までのデモの作り方で―
3Dオブジェクトを作るなら
前に所属してた グループでの話になるけど
方眼紙に 立体の"D"の文字を描いて
紙にあるグリッドを使って 寸法を計算するんだ
左上の座標は0,0だから―
1マスが1ユニットだと 次は2,0だなって感じにね
それでメモした数値を マシンに入力するんだ
最終的にはメモリから 表示されるのさ
でもイライラする 作業だから―
コードを生成するプログラムを 書こうって思ったんだ
"D"の文字を描くと―
ソースコードを 出してくれるのさ
リアルな例が必要な時は―
Photoshopや3D Studio Premiereがツールになる
これを併せて使うと
テクスチャーや3Dモデルを 作成して動かしたり―
3D映像の編集もできるし キーを押せば再生できる
俺達は市販のツールを 使わないんだ
小さいファイルにしたいからね
だから自分達で 特別なツールを作ったんだ
これがタイムラインだよ
再生位置はここで分かる
Premiereみたいだろ
標準的な動画編集ソフトだよ
いろいろ機能があるけど これはポストエフェクトだよ
"コントラスト"とか "ぼかし"だね
これがこのツールで作った 3Dモデルの完成形なんだ
三角形を定義せずに―
"この半径と点の数の トーラスだ"って伝えるんだ
それで3つのパラメーターが 記憶される
この3つのパラメーターが 1万2000個の点の代わりさ
サイズを抑えるために コードとパラメーターを使い―
3Dモデルや動画 音楽ファイルは使いません
アルゴリズムから 映像と音を生成するのです
こういう画像から出来てるんだ
1つ1つは地味だけど 合わせるとスゴいんだよ
これは水の シミュレーションじゃないんだ
太陽が反射してるみたいだけど 本当の光じゃない
本物は1つもないんだ
本物みたいに見せる方法を 使ってるだけさ
これはレンダリングされたもの
例えばこれは 太陽の後ろの雲なんだ
見えるか分からないけど
次は空だよ
グラデーションのついた 単純な長方形さ
これは水の部分
テクスチャーを スクロールしてるだけ
次は水面の光だね
これは単なる粒なんだ
横の線を補うエフェクトが ポイントさ
これを使うと―
水が流れているように 見えるんだ
テクスチャーの スクロールに―
光の粒を載せてるのさ
これを使えば64Kでも 驚くようなことができるよ
ツールは必須ではありません
デモ作りを 一から楽しむ人もいます
3×40の線を描いて カメラを回転させるんだ
この線の1本1本に エフェクトを追加するよ
まずは曲げてみようか
これが線を曲げるためのライン
軸の中心には XYZ座標があるから―
原点からの距離を使って 回転させるんだ
正弦値と掛けて 2つの軸に適用する
元のXYZベクトルに 結果を書いたら表示するんだ
例えば原点から遠い場合は 線を長くしたいとする
Vは線の長さなんだ
つまり原点からの距離で 10で割ったiの絶対値さ
座標が大きければ遠いだろ だから遠いと長いんだよ
ここで座標にVを加えて―
XとYとZだな
コードは複雑さを増しています
迫力のあるデモの中にも―
ツールを使わずに 作成されたものがあります
やがて"デモ"に分類されない 作品が登場し―
"ワイルド"が生まれました
良く出来た アニメーションでもいいし…
短編映画でも何でもいいのさ
Exceedのコーダーの “Murphy”
Scene.huの編集者でもあります
何年か前にワイルドの作品で 巨大マシンが登場して―
8×8×8のLED立方体でさ
ステージ上で キラキラ光ってたのは見たな
ライブもあったよ
予定にはなかったけど 舞台に上がってた
冷蔵庫の マイクロコントローラーで―
デモを作ったやつがいて…
"冗談で"でしょう?
違うんだよ
じゃあ本気で作ってたわけね
観客も真剣さ 3分もあるんだから
音楽も良かったしね
ただ発表する前に―
"これは冷蔵庫のマイクロ コントローラーです"だと
"何だそれ"って思うだろ
極端なプラットフォームに 挑んでるよね
実際には世界の 全てのプラットフォームが―
デモシーンで使われてるよ
計算機からアパートのビルまで
デモシーンの枠だけに とどまりませんが―
毎年ブダペストの大学寮の壁に 公開される作品も―
"ワイルド"に分類できます
当初は窓の明かり だけでしたが―
2010年からは改良され―
「Matrix」という イベントになりました
"レイマーデモ"のコンポが ハンガリーにはあるんだ
俺達のせいじゃないぞ
これはね…
ほとんどのワイルドデモが "お笑い"の意図だったから―
"独立させよう"って 始まったんだ
君の髪は世界一美しいよ
触ってもいい?
違う 誤解してるよ!
何年かは 一番人気のコンポだったんだ
技術的な知識も ほとんど要らないし
単純なアニメーションに "面白い"音で完成だもんな
ほとんどが 見てて疲れるものだったよ
38歳でWindowsに出会い
40歳で心臓発作
41歳で死亡しました
現在デモは ドイツと北欧で人気があり―
最大級のパーティーが 開催されます
「Breakpoint」は 8回開催され―
30カ国から1000人以上が 参加しました
他には「Assembly」や 「Gathering」があります
デモパーティーが起源ですが ゲーム部門もあります
今までに5万点以上の作品が 各地で公開されています
ここでトップになるのは 簡単なことではありませんが
ハンガリーのグループが 時折登場して―
高い評価を得ることもあります
NVIDIAがアメリカで パーティーを開いた時―
Gargajに主催を頼んだんだよ
本物のデモシーンの人が 欲しかったんだって
目立ったグループが いくつか常にいるんだ
イギリス ノルウェー ドイツ… フィンランド人もいるよ
それからハンガリー人が トップになることもあるんだ
トップの1つ”Conspiracy”は 2002年に結成されました
64Kのトップに挑む目的で グループを結成したんだ
トップがコンポに出てると 参加しても意味がないのさ
Farbrauschの イントロがあったら―
コンポに出ても 絶対に勝てないからね
でも最初の作品で 驚かせてやったよ
Conspiracyの作品は 4部構成だったよ
64Kの中に 4つのパートが入ってたんだ
驚異的だった
まだ続いてる?
続いてるのか?
秘密で作ってたんだ
誰も存在を知らなかったんだよ
"ドカーン"と派手に 登場したかったのさ
成功したよ
コンポ会場でイントロを 見てたんだけど たしか…
最後のほうだったかな 作品数は発表されないから
"まだあるぞ!"って感じでね
それでFarbrauschの イントロが公開されたんだ
すごくいいイントロでさ
人間のアニメーションを使う イントロで―
裸の女の子が出るんだよ!
これでコンポは終わりだと 皆思ったところに―
俺たちの登場さ
Farbrauschのが 良かったから―
次はないと思ってたんだよ
それで「Project Genesis」の デモが流れた
すごく表現の幅の広い 10分間の作品なんだ
誰でも楽しめる内容だしね
”Conspiracy”のロゴも入れた
誰も知らないからね
でも本当のクレジットは 最後に表示したんだ
布シミュレーションで ハンガリーの国旗を見せてから
名前を出したのさ
俺の名前が出たら 後ろにいた 友達がパンチしてきて―
"何で黙ってたんだよ!"って 怒ってた
Gargajは最前列で 国旗を振ってたし―
最高だったな
成功はその後も続きます
特に64Kの「Chaos Theory」は 世界的に有名です
その人気を証明するように―
4Kのリミックス版も 登場しています
2週間前に―
4Kコンポ用の 簡単なアイデアを探してたんだ
友達とデモを見ていて…
いつも夜遅くに見るんだけど その時に思ったんだ
64Kのデモを4Kに できないかなって
それで最初に浮かんだのが―
「Chaos Theory」だったんだよ
デモシーンの中では有名なんだ
こんなに小さいサイズの中に あれだけの音楽と―
複雑なビジュアルを入れた 初めてのデモだったからね
ハンガリーのグループは 他にもあります
Exceedもデモの歴史に その名を刻んでいます
「Heaven 7」は今もデモの 傑作の1つとして考えられ―
「Spot」はAssemblyで 優勝しました
活躍はさらに続きます
ResourceのC64デモ 「Soiled Legacy」も―
名作として知られます
国民性が出てるよね
バルセロナやシドニーの オリンピックの時に―
ハンガリーの国全体で 代表選手を応援しただろ
デモシーンの中でも そういうサポートを感じるんだ
歴史的なハンデもあるしね
だから小さいグループでも―
"勝ってやる"って思うのさ
東欧革命後の 1991~92年頃はどうだった?
変な感じだったよ
東側諸国の デモシーンの中でも―
言葉の壁があったからね
あの すみません…
何だって?
でも活気があったんだ
1000人以上が パーティーに参加してた
当時はデモシーンの規模が すごく大きかったんだよ
パーティーが8回 開催された年もあったしね
他の4カ国の開催数を―
合計したような パーティーの多さだよ
国内でいろいろやってたから 別に困らなかったんだ
ハンガリー勢の活躍は "Pouet"で見られるよ
ほぼ全部の作品がある デモシーン最大のサイトで―
人気ランキングがあるんだ
10個中3個がハンガリーの デモって時もあったよ
最高の栄誉は何なの?
スゴいのを作ってる人に コンポで勝つことだね
人それぞれだよ
俺は"あのデモを作った人?" って言われること
作品が独り歩きして 広まってるのを知った時さ
"気に入って何度も見た"って 言ってくれたりね
そうね 知らない人に そう言われるのは最高の気分よ
デモの世界では "グリーティング"という―
独特な手段で敬意を表します
人気のグループのデモの中に 登場するのは―
名誉の印と考えられています
ハンガリーにも"セレブ"とか "伝説の人"はいるの?
"伝説"は 新しい世代の人が 使う言葉さ
今はGargajのグループが 人気だから―
新参者にとっては 彼らが"伝説の人達"だよ
あなたも伝説の人じゃない!
そうさ 記事を読んでたんだぜ
記事で見てた人に 実際に会うのは変な気分さ!
シーンの外でも 人気を集めています
セゲドで酔っ払ってたら―
64KとかConspiracyって 聞こえたんだ
"Conspiracyだって?" って聞いたら―
"最高さ!"って
自己紹介したら "何しに来た?"って驚かれた
ライブに来ただけさ!
大学の近くで仲間と 酒をガンガン飲んでたら―
女の子が3人やって来たんだ
友達が誘った子なんだけどさ
デモを見せてくれっていうから 動画で見せたら―
"知ってる!これで勉強した" って言ってた
"デモシーンは終わった"
30年前から そう言われてるんだよ
98年から参加してるけど 当時も同じこと言ってたよ
15年前には…
1年に10個ぐらいあった パーティーが激減したんだよ
96年に「SCEnEST」を 開いた時は―
1200人が入場料を払っても 来てたんだよ
あのパーティーはすごかった
当時高校生だった世代が 大学に行って―
仕事や家庭を持ったりすると デモへの情熱はあっても―
時間がないんだよ
最後に本気でデモを作ったのは 1999年だな
今は作らないの?
計画はするんだけど 作ってないんだ
なぜ?
年寄りだからさ!
もう作れないの?
作れるけど…
怠け者なのでね
いや 本当は 作る気分になれないんだ
10時間働いたあとに…
笑うなって
10時間働いたあとに 家で同じことをするわけだろ
無理さ
今も新しい世代が デモシーンに入ってきてるけど
"黄金期"ほどの 人数じゃないんだ
デモを作るには 時間がかかるんだ
それに感想をすぐに もらえるわけじゃない
YouTubeの動画なら 5分で出来るし―
5万人とかの感想も聞けるだろ
デモは12人が気に入っても―
300人から "最悪"って言われる世界さ
その程度の見返りだったら―
時間をかけようと思わないだろ
1年間本気で取り組めば 世界レベルのデモを―
作れるっていう例があったけど
今は最初から作ったら 4年はかかるよね
ネットの動画が どのくらい話題になる?
せいぜい15分だろ
デモの場合は去年や 15年前の作品でも―
覚えてるものなんだ
立方体を回転させればよかった 時代とは違うのさ
今は「アバター」みたいな 映画があるし
あのレベルの勝負だからね
だから手助けするのさ
最初のデモを作るときは 覚悟がいるからね
挑戦しようとしないのは 問題だね
出来る限りやってみれば いいんだよ
考え方次第だよ
トップを目指すのか 参加したいだけなのか
トップを狙うなら ツールが要るし―
仲間も時間も必要さ
趣味ならとにかく 作ればいいんだよ
考えてもみなよ
デモシーンは技術重視で コンピューターが中心だし―
自由競争の世界だろ
人気が出ると思う?
今の若いやつには ネットがあるし―
他のことに興味があるんだよ
当時は買ったコンピューターを いじるしかなかった
まあ 親のだけどな
そういうのが 楽しかった時代なんだ
昔はコンピューターを持つ人が 限られてたけど―
今は誰でも持ってるから 作品が広まらないんだよ
今の若いやつには インターネットがあるから―
ゲームでも何でも出来る
昔と違うんだ
変わったんだよ
1995年当時の コンピューターの世界では―
デモが一番格好いいもの だったんだよ
ほとんどのゲームは2Dで デモより遅れてたんだ
デモはプロのスタジオが作った ゲームを超えてたんだ
クオリティも高かった
今はYouTubeから 何でも見られる
VFXスタジオのリストを 見れば―
今何が一番なのか分かるよ
CGアニメ映画もない時代さ
今は4Kのデモを見ても 驚かないだろ?
デモとアニメーション映画は 比較できないよ
映画は何百人が 仕事で作ってるものだけど―
デモは数人で作る 趣味の作品だからね
今はアイデアの勝負さ
新入りが少ないって 言われてるけど―
いつも新しいグループが 何組かいるんだ
技術を学んで進化してるよ
僕は本当に幸せ者だと思うよ
デモと出会えて良かった
本当にラッキーだったよ
何で見つけたの?
プログラミングの資料を―
探してたときに 偶然見つけたんだ
カッコイイなって思ったよ
"MaxUser6000"
初めて制作したデモを 公開しました
自分のデモが公開された時は 緊張したよ!
ステージに立った感じ?
まさにそんな気分さ!
このコンポに出る目標は 何だったの?
入賞? それとも優勝?
デモのことしか 考えてなかったよ
楽しんでもらえたらいいなって 思ってた
だから期待以上の結果だったよ
彼の"期待以上の結果"とは コンポでの優勝でした
優勝しても評価以外には 得られませんが―
経験が仕事に なることもあります
デモシーンからの主な就職先は ゲーム開発か―
アニメーションスタジオだね
僕もゲーム開発の仕事に 落ち着いた1人だよ
昔はゲーム開発会社のCEOが パーティーに来て―
スカウトしてたから
7~8年の間は 趣味でしかなかったよ
趣味で作曲してただけなんだ
それが仕事になるなんてね
デモ作りの経験が 仕事への飛び板になったんだよ
すぐに感想がもらえる 最高の学習の場だよ
デモが流れると観客が騒ぐんだ
良いか悪いか すぐに感想が聞ける
そこから いろんなことを 学べるんだ 何て言うか…
ストレートな意見だからね
何が効果的か学べるんだ
90年代の初頭とか半ばに―
デモを始めた人の ほとんどが―
今はゲーム開発の会社で 働いてるんじゃないかな
あとはVFX制作とか…
ポストプロダクションの 会社かな
ここの人達は すごい知識を持ってるんだ
だから働いてる会社も…
ピクサーとかアップルとか 大企業なんだ
大企業で働くだけでなく―
ゲーム会社を 設立した人もいます
「バトルフィールド」の 開発メーカーのDICEや―
「マックスペイン」の Remedyが例です
ゲーム音楽を 作曲した人もいます
「アサシン クリード」が 例です
マイクロソフトのような 多国籍企業も―
自社のツールを提供して―
パーティーを主催しています
有名になることが 目標ではありません
デモを理解できる数百人だけを 対象に制作しています
作品が世界的に知られなくても 構わないのです
デモシーンは 愛好家の集まりだからね
どんなに優れたコードを 作れたとしても―
趣味なのさ
売れそうな音楽でも 趣味の制作なんだ
ごく少数の人に向けて 公開するんだよ
誰もが楽しめることを したくはないんだよ
それがデモの良いところさ
少数派の趣味ってことだね
時代や過去に価値を見出すかは 私たち次第です
文化から何を学ぶのかも 私たち次第です
新しい世界は至る所にあります
これからの未来を決めるのは 私たちなのです
日本語字幕: 兵藤 説子