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御茶ノ水へようこそ。
これから私達は、
右に見えている聖橋を渡り、
秋葉原に向かいます。
途中の建物についてもご説明します。
後方にニコライ堂が見えます。
1891年に
亜使徒であり、
日本の大主教である、聖ニコライによって建てられました。
この建物は、急速に変化している御茶ノ水の街にとって、
貴重な文化遺産となっています。
私達は聖橋を渡っています。
橋のたもとに見える緑色の屋根の建物は、
湯島聖堂です。
儒教の創始者である
孔子を祀っている霊廟があります。
儒教思想はアジア全域に残っていますが、
特に韓国に最も強く残っています。
途中に秋葉原の守護神を祀る神社がありますので、
寄って行きましょう。
これは神田明神です。
神田明神は秋葉原を含む地域の
守護神とされています。
アニミズム信仰は世界中に見られますが、
日本人には特に顕著に見られます。
日本には
800万以上の
神が存在するとされています。
異国の神々に対しても門戸が開かれてきました。
神社には日本古来の神々が、
寺院には仏教とヒンズー教の神々が祀られ、
教会では
イエス・キリストと聖母マリアに、
モスクでは
アッラーに祈りが捧げられています。
私たちは西から秋葉原に
行こうとしています。
道路標識には秋葉原が
前方にあることを示しています。
この道をまっすぐ進みましょう。
ベージュ色の建物はソフマップです。
ソフマップは秋葉原で最大の
電器販売チェーン店です。
左の路地に入りましょう。
これはコトブキヤです。
おもちゃや屋さんです。
優れた造形技術で
フィギュアを製作し、販売しています。
美しい女性の人形や、
プラモデル、
模型製作用の工具が売られています。
これはアキバオーです。
アキバオーチェーンは秋葉原に多くの店があります。
中国製の電気製品や雑貨、
おもちゃが売られています。
お店はいつも、1円でも安く物を買いたいと思う人たちで溢れています。
道端では、ジャンクの電気部品がたくさん売られています。
箱も説明書も付いていません。
売り手にもそれが何なのかわかっていません。
それこそが秋葉原流です。
JR総武線の高架鉄道が見えてきました。
高架鉄道の下に、トレーダーの支店があります。
高架橋の下をくぐらずに、
この路地を左に曲がりましょう。
私達が歩いてきた路地を振り返って見ましょう。
夕方になると
この路地は趣が変わりますので、
そのころまた訪れる予定です。
では、元の順路に戻りましょう。 これは東京ラジオデパートです。
ひとつの店のようですが、
電子部品を売る小さなショップの集合体になっています。
ここでは、トランジスタや
ダイオード、
抵抗器といった電子部品を売っています。
あなたがスカイネットを構築したり、
デロリアンを改造しようとするときは、
ここの電気技術者たちの知識が役に立ちます。
秋葉原駅の周りにも同様の店が密集しています。私たちは、
秋葉原のメインストリート「中央通り」に出ました。
この道は北から上野、
秋葉原、神田、
日本橋、銀座、
新橋の順に結んでいます。
これはソフマップの支店の一つです。
ソフマップの創業者鈴木慶は、
中古パソコンの買取と販売を
大規模に
1980年代に、行いました。 ちょうど日本社会にコンピュータが
普及していく時期だったので、
ソフマップの事業は大きく拡大しました。
当時日本のコンピュータメーカーは、
基本ソフトの違いによってユーザーを拘束し、
高い製品価格を維持して
大きな利益を上げていました。
マイクロソフト社が発売したウインドウズ95が
爆発的に普及すると、
全てのコンピュータで同じソフトが使えるようになりました。
世界中に多くのコンピュータメーカーが誕生して
多くのコンピューターを作り始めました。
安いコンピュータが街にあふれ、
日本製のコンピュータの値段は暴落しました。
ソフマップは中古の日本製コンピュータを
大量に抱え込んでいたので、
在庫の暴落で大打撃を受けました。
経営状況は悪化し、事業の大幅な縮小を余儀なくされました。
ソフマップは小さな企業になりましたが、貧しい人々に愛される経営を
続けています。
これはトレーダーの本店です。
トレーダーは中古ゲーム機及びゲームソフトの買取と販売を行っています。
ゲームの取扱量では
秋葉原で第2位です。
トレーダーはメッセサンオーの子会社でした。
2011年にメッセサンオーは解散し、トレーダーに吸収されました。
新品ゲームを販売していた親会社が、
中古ゲームを販売していた子会社に
吸収されたことは、象徴的な出来事でした。
トレーダーの店の一つに入り、
階段を上がりましょう。
扉の奥にはエロティックな妄想の世界が展開しています。
この先はあなたが18歳以上でないと
入ることができません。
通りの向こうにアニメイトと、とらのあなが見えます。
どちらも同人誌を売っています。
同人誌とは、同じ性的嗜好を持つ者の間だけで
流通させるために描かれた漫画や
小説、アニメーション、ゲームなどの
総称です。
これはタイトーが運営するアミューズメント施設の一つです。
1978年に
タイトーは、「スペースインベーダー」という名の
業務用のゲーム機を発売しました。
スペースインベーダー」の爆発的な大ヒットを契機として、家庭用コンピュータゲーム産業が
日本に誕生しました。
タイトーは現在スクエアエニックスホールディングスの子会社になっています。
アニメイトの並びにドンキホーテ秋葉原店があります。
ドンキホーテは総合ディスカウントショップです。
秋葉原店は、店内にある劇場で、
AKB48メンバーが交代で
ライブコンサートを行うことで有名です。
AKB48は日本で最も人気があり
多忙な女性アイドルグループです。
AKB48をプロデュースしている秋元康は
日本の音楽業界の常識をくつがえし続けています。
ドンキホーテ創業者の安田隆夫は
流通業界で同じようにふるまっています。
彼らは、日本社会を大きく変えつつあります。
これはツクモ電機です。
創業者の鈴木勇の優れた経営によって、
かつて秋葉原に多くの店舗がありました。
1997年に鈴木勇が亡くなると、
多くの店舗の維持が困難になり、
2008年にツクモは
倒産しました。
現在ツクモ電機は、ヤマダ電機の子会社によって
経営されています。
麻生太郎は2008年に日本の
総理大臣に選ばれました。
麻生は貧乏人の芸術とされてきた漫画やアニメーションを愛する、
日本には稀有の政治家です。
2009年に麻生は総理大臣を
辞職しましたが、
秋葉原に集うオタクたちは彼を慕い、
この看板を掲げ続けて
麻生の帰還を待っています。
私達は秋葉原電気街の北端に達しました。
この通りの名前は「駒形橋通り」です。
この通りを横断した先はオフィス街です。
私たちの横を走り去るトラックは、
若い女性たちにセックス産業で働くように
誘惑する広告を見せびらかしていきます。
私達は通りを渡り、100メートル進みました。
この店には秋葉原を訪れる多くの外国人が集まります。
秋葉原では食事代が高くつきます。 駅の近くにもマクドナルドはありますが、
ティーンエイジャーでいっぱいです。
この店は駅から遠いので
客が少なく、ゆったりと
くつろぐことができます。
では,私たちは電気街の探索に戻ります。
中央通りを南下しましょう。
太陽が西に傾いてきました。
私達は秋葉原の中央通りを
駅に向かって歩いています。
リバティーの店舗がいくつもあります。
これはリバティーの本店です。
秋葉原電気街で、
中古ゲームソフトの買取、販売量で
第3位です。
しかし、コンピュータゲームの市場は縮小しています。
携帯電話でゲームを楽しむ人が増えて、
ゲーム機も、ゲームソフトも売れにくくなりました。
秋葉原でも
コンピュータゲームを扱う店は減り、
取り扱っている店でも、売り場面積を
縮小しています。
リバティはいち早く主要商品をホビー分野にシフトしていました。
現在リバティは、フィギュア、
鉄道模型、
プラステイック組立モデル、
おもちゃの中古品の買取、販売を行っています。
取扱量は秋葉原で最多です。
日本人の多くは外国人からうさぎ小屋と呼称される
小さな家に住んでいます。
そのため
フィギュアコレクターは、フィギュアを買うとき、
持っているフィギュアを
売って
保管場所を空けます。
リバティはコレクター達に大いに重宝されています。
前のビルを見てください。
秋葉原に集まるオタクたちには体力がありません。
彼らが階段を上がるのは困難です。
そのため、高層階は家賃が安く、
小資本の店がアイデアで勝負しています。 私達は中央通りを
横断しました。
私達は通りの向こうから見ていた
ビルの横の路地を
歩いています。 私達の前のお店は、雑貨屋です。
秋葉原には、トルコ料理のケバブを売る店がいくつかある上に、
複数の屋台まで出現することがあります。
この店はコーヒーショップです。
テイクアウトのクレープを店の窓から販売しています。
この店の先の路地を左に曲がりましょう。
紙風船が見えてきました。
紙風船とは、
紙で作られた風船という意味です。
かつて秋葉原のメインストリートに数多く存在した、
小規模なゲーム小売店の、最後の生き残りです。
紙風船は、従来のゲーム機とゲームソフトに加えて、
コスチュームプレイのための衣装や、
美しい少女のフィギュアの買取と販売を始めました。
ゲーム市場の縮小に対応し、
一日でも長く生き延びる方法を
模索しています。
これはまんだらけの秋葉原支店です。
日本では漫画は消耗品とみなされてきました。
まんだらけの創業者古川益三は、
日本人に漫画が次世代に引き継ぐべき文化遺産であると
認識させようと努力しています。
そのため古川は、漫画の古書が
適正価格で流通する市場を独力で築き上げました。
まんだらけの価格表は日本における漫画の
基準価格になっています。
活動の中心は中野にあるので、
ここでは軽く触れるにとどめます。
私達は中央通りに出てきました。
駅の方向に戻りましょう。
私たちが一度歩いた道なので、
早送りしていいですか?
日本は「失われた20年」と呼ばれる期間のあいだに多くのものを失いました。
松下幸之助、
パナソニックの創業者、
本田宗一郎、
本田技研工業の創業者、
彼の共同経営者の藤沢武夫、
井深大と盛田昭夫、
ソニーの創業者。 優れたリーダーが世を去るごとに、日本は衰退していきました。
従業員をなにより重視していたリーダー達を失って、
日本の企業経営者達は、株券や
土地や
美術品のほうが自分の企業の従業員よりも、
重要だと考えるようになりました。
日本企業の経営者達は、労働者を大量に解雇しましたが、
彼らは何世代にもわたってノウハウの継承を続けてきた、企業の富の源泉でした。
研究開発、生産、
管理の全ての部門が劣化し、
日本企業は国際競争力を失いました。
多くの日本人が職を失い、
購買力は低下する一方です。
JR総武線の高架橋の下をくぐって、向こう側に出ましょう。
オノデンボーヤが走っています。
オノデンボーヤはオノデンのマスコットキャラクターです。
オノデンは秋葉原最後の昔ながらの
家庭用電気器具店です。
多くの店が秋葉原から消えていきました。
ナカウラ、
サトームセン、ヤマギワ、
T-ZONE,石丸電気。 このような大きなチェーン店達が姿を消し、
オノデンが生き残っていることは、日本の7不思議の1つと言われています。
日本の消費者は秋葉原から、より安い電気製品達を求めて、
巨大チェーン店へと大移動しました。
そして今、消費者達は、アマゾンの通信販売へと大移動を始めています。
私は世界遺産委員会に対し、
オノデンを危機にさらされている世界遺産として認定されるよう要請いたします。
これはラブメルシーです。
武器と防具と道具の店です。
あなたがロールプレイングゲームをプレイする時必要なものです。
あなたの性的な冒険の助けになってくれるでしょう。
秋葉原電気街は将来的には、
このようなお店が集まる街になるかもしれません。
中央通りの向こう側からデジ・キャラットが私達を見下ろしています。
デジ・キャラットは、アニメーションとコミックスの専門店
ゲーマーズチェーンの
マスコットキャラクターでした。
ゲーマーズは、デジ・キャラットが登場するアニメーションを製作していた
株式会社ブロッコリーによって
経営されていました。
ブロッコリ社が製作したアニメーション達やゲーム達は
大ヒットとなり、
同社はゲーマーズの支店を全国展開します。
しかし、ゲーマーズは急激な店舗拡大が裏目に出て、
経営不振になり、
株式会社アニメイトに売却されました。
2011年のことです。
秋葉原電気街にも夕闇が迫ってきました。
少女たちが通りに溢れ出し、メイドカフェへと客を誘います。
メイドカフェでは、メイド服を着た女性たちが、オタクたちにメイドのように奉仕しますが、
性的サービスの提供はありません。
メイドカフェの客は主に男性客です。
これに対し、執事カフェの店も多くあり、
主に女性客を相手にしています。 すっかり日も暮れました。
私たちは中央通りを横断しました。
これから秋葉原駅に向かいましょう。
ボークスが秋葉原からの離脱を試みるオタクたちに
最後の攻撃をしかけています。
ボークスは、優れた造形技術でフィギュアを製作し、販売しています。
この店はショールームとショップを兼ねています。
私たちは秋葉原駅に着きました。
今日はあなたとご一緒できて楽しかったです。
またあなたにお会いできる日を楽しみにしております。
さようなら。
uh...
(電車内アナウンス)