Tip:
Highlight text to annotate it
X
ワイン作りをしながら、私は長い間 ワインビネガー(酢)を作ることを避けていました。
しかし1988年、ワインの収穫と仕込みを終えて スイスへスキーに行った時のことです、
帰ってみると、その年のワインは 揮発性の酸がとてもきついワインになっていました
それでそのワインを売り、 2千リットルは手元に残しておきました。
そのワインで酢を作るためです。 とてもすばらしいワインでしたから。
その後、ワインから酢を作る 方法をマスターするのに8年かかりました
ある日スイス人男性がやって来て、
彼は酢を作るために、硫黄(酸化防止剤)の入っていない 自然発酵の赤ワインを探していました。
そしてその彼が、酢の作り方から、
酢の効果、そしてハーブを使って酢を作る 方法を教えてくれたのです。
ある意味、人生に教えてもらったわけです。
彼には感謝しています、彼から学んだことで
私の生活様式や私自身、 周りの全てが変わりましたから。
我々は時にストレスを感じます
ストレスにもいろいろあって
精神的なストレス、感情的なストレス、 そして物理的なストレスなど様々ですが
その時身体は酸を作ります。
先ほどの3つのストレスの中では、 感情的なストレスが一番多く酸を作り出します。
例えばあなたが朝起きて、 何らかの理由で何か嫌なものを見たら、
怒りやいら立ちを感じるでしょう。
その時、あなたの身体は酸を作り始めているのです。
身体が酸を作れば作るほど、 人はより批判的になりやすくなります。
しかし自然からできた酢を飲めば、
身体の方は酸を作り始めていて、
その時身体のpH(イオン指数)は 必ず影響を受けているのだけれど、
飲んだ瞬間に、酢がその酸を中和してくれるのです。
いうなれば、酸は自分の身体にダメージを与えるというか
身体の治癒力を鈍らせるのですが、 それもなくなります。
酢が身体を癒す訳ではないけれど、
自分で自分を癒しやすい身体の状態にするのです。
自然醸造酢は「酢の母(酢酸菌)」 によって作られますが、
これには長期間かかります。 そしてそこから蒸留酢もできます。
蒸留酢に関して私はあまり詳しくないのですが、
醸造酢を熱して、酸を蒸留して取り出したものが
蒸留酢になります。
また、酢の効果を得るには、 酢は生でなくてはなりません。
滅菌処理や加熱したものではダメなのです。
硫黄(酸化防止剤)が 入っていないこともかなり重要です。
それは硫黄が、酢の発酵過程を阻んでしまうからです。
生命が通る過程には2種類あります。
一つは「熟成」、もう一つは「老化」です。
老化は無菌状態の中で起こり、 熟成は無菌状態でない環境で起こります。
そしてすばらしいことは全て 無菌状態でない環境で起こるのです。
熟成は自然の仕業によって起こります。
人は誰も、自然が成すことそのものはできません。
例えば、ぶどうを育てるのは自然の仕業です。
自然のみが質の高いものを作ります。
人間はだいたい、その質の見た目を真似て、 ごまかしているだけです。
もし本当に質の高いものを作りたいなら、
良いものは全て老化ではなく、 熟成させなくてはなりません。
ワインが酢になるまでに約5年前後かかります。
酢になってからハーブをつけ込みます。 するとハーブが酢に馴染むのです。
そして更にもう1~2年かけてさらに 高いレベルに変化させます。
自然醸造酢は、長い年月をかけて 「酢の母」によって作られます。
酢の母とは、ワインを酢へと変化させる、
酢酸菌が作り出すものです。
「酢の母」は酢作りにおける副産物のようなもので、
酢の母ができると、 今度はそれ自体が酢の素になるのです。
まさに全てのものが自分自身を 生み出す過程そのものです。
我々の農場では、酢を樽から取り出し、 「フローフォーム」に流します。
フローフォームでの流れがスピードを上げるにつれ、 酢の流れにリズムが生まれてきます。
これはある意味宇宙のリズムで、
あらゆる人やものの中に生きているリズムなのです。
また酢の表面積を広げることによって エネルギー、生命の力を取り込みます。
酢の中に生物の力を貯め込んで、 それをさらに増大させて、 生命の力を活性化させるのです。
これを、この農場で実現しようとしているのです。
バイオダイナミクス農法とは 何かを説明するのは難しいです。
これを理解するには、 人生に対する心の持ち方の転換が必要です。
多くの人が考えがちな、 商業的なものではありません。
基本になるのは、 明確な意志に基づいた農業を行うことです。
明確な意志は、あらゆるものの中にある 生命の力を活性化させます。
我々の農場では2001年にこの農法を取り入れ、
以来、非常に大きな変化が、 我々の農場だけでなく私たち自身、
我々の関係、そして全てのことに対して起こったのです。
バイオ・ダイナミクスについてですが、
主な目的は、身体の中にある自分の意志の力を より強くすることです。
意志力は、自分が何かをしたい時に 使わなくてはならない力です。
例えば、あなたが歩きたい時、 あなたは自分の意志を使う必要があります。
でもほとんどの人はこれを無意識に行っています。
あなたが歩く時、あなたは自分の意志力を 使っていることに気づいていないのです。
つまり意志の力を意識的に使っていないのです。
意志の力を強くすることで、 意識的な意志を持つことができます。
それはバイオダイナミクス農法の作物を食べたり、 訓練することでも実現可能です。
脳を訓練して、過去や未来との 関連性を考えるようになると
自分の中で感情が主導権を握って 自分を振り回すこともなくなるのです。
基本的に、感情の方が コントロールされるようになります。
そこでは感情ではなく、 意志が決断を下すのです。
アメリカのダラスでpH(イオン指数)の 専門家に会いに行った時、
この人がフランケンシュタイン食品と 神の食品について話していました。
彼によると、ファーストフードは全て フランケンシュタイン食品だそうです。
さらにこれは冗談ではなく、 彼が本気でそう思って言っていたことなのですが、
ファーストフードが入っている入れ物の方が
ファーストフードそのもの より栄養価が高い、とのことです。
ファーストフードには何の栄養も残っていないからだと。
食べ物は生命あるものと言われますが、
死んでいるものを食べていると、
私たちの考え方や生き方も死んでしまいます。
それは今の政治にも見られますし、 いろんなビジネスにも、
その他あらゆることに見られます。 金がものを言う世界になっているのです。 心ではなく。
だから生命の力で育った食べ物を食べればもちろん 人はより生き生きとしてきます。
そして生き生きしてくると、 人は真実を選ぶようになります。
自分の中で調和がとれる真実は、 生きて行く上での真実です。
従って、周りのことに、より寛容になります。
不寛容さが示すものは、 自分の信念に対しての自信のなさの度合いですから。
バイオダイナミクス農法を行い、 バイオダイナミックな酢を作ることで、 私の人生は変わりました。
いろんなことに気づくようになりましたし、
いろんなことが見えるようにもなり、 また受け入れることができるようになりました。
いろんなことを手放すこともできるようになりました。
新しいものを自分の生活の中に取り込んで行くには、
古いものを手放さなくてはならないからです。
また、全てのものが、 それ自身を生み出して行くと気づきました。
知恵は知恵を生み出します。
知恵を使えば人は賢くなります。
笑いをとりいれれば、自分が笑いそのものになり、 笑うことができるのです。
戦いは戦いを生み出し、平和は平和を生み出します。
全てのものは全てそれ自体を生み出すのです。
私は人生の中で自分が望むことに 意識を集中することを学びました 望まないことにではなく。
それは、自分が望むものも、 望まないものも、
その想いに対する感情の強さに従って
どちらも同じように実現するからです。
だったら、わざわざ望まないことに意識をおくより、
望むことだけを考えるべきではないでしょうか?