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背中に天使のタトゥーが欲しくて 仕事を依頼したのに
天使のタトゥーは無理なので
龍とか魚はどうでしょう、とか そういう考え方は愚かだね
依頼主が本当に望むのは何か それを見出すことが大切だ
「お任せで」なんて言われたら 困惑してしまう
依頼主の希望を知ることが必要だ
ここはスタジオであって お店ではない
タトゥーを売るのではなく 制作しているからだ
タトゥーの制作は 依頼主との話し合いから始まり
一回で足りなければ 更にコミュニケーションを図る
依頼主の要望をどうやって 図案化させるか考えていく
次にスケッチ、正しい方向に 向かっているか確認していく
最終的な図案を決定するために
貴重な時間をかけた仮図案が 断られたら大変だけど
スケッチなら無駄も少ない
必要であれば過去の作品例を 見ることもできる
似たような作品例を見れば スケッチからタトゥーを想像しやすいはず
スケッチの後で本格的な図案化だ 依頼主と共に、僕らもより真剣になる
依頼主は私達を信頼している 今まで全てを見て
全てを話し合ったのだから
依頼主の肌に 図案を写す作業が始まる
大まかな背景を 写していく工程から始め
肌の上で図案を 綿密に仕上げていく
依頼主が望むなら この段階でも調整は可能で
鏡を見ながら 意見を伝えることができる
完成図を想像してもらいながらの作業だが 順調に進んでいく
彫る間は図案の下書きを 消さないように注意すること
肌に描かれた状態なので 簡単に拭き取れてしまう
完成度を高めるには 多くの努力が必要だ
黒い線には黒の 灰色の線には灰色のタトゥーを
施されたタトゥーは 経年変化していくので
依頼主の希望した模様が将来 消えないように配慮する
絵画とは違いタトゥーは 年数劣化するので
図案は簡略化することが重要だ
写実的なタトゥーを彫れば 劣化が翌日から始まるので
よりシンプルな図案になるように 最善を尽くす
抽象化された図案なら 年数劣化しても
模様がはっきり残る
例えばシンプルにデザインされた 服やタトゥーには
永遠の美しさがある
新しいのか、古いのか 分からないぐらいに
そういう分からない何かが 最高のタトゥーにはある