Tip:
Highlight text to annotate it
X
私は頭がいいのか悪いのか?
昔々インドに、ヨーギに魅了され、自分もいつか
なろうと決心した、デーヴェシという男の子がいました。
少し大きくなったとき、尊敬されている達人を探し、
自分の家からさほど遠くないところに
一人住んでいることを知りました。
弟子にしてもらおうと荷物をまとめ、
達人のいるアシュラムに向かいました。
達人はデーヴェシを快く受け入れ、こう言いました。
「私が喜んで教えましょう。私らとここに住んで
訓練したらいい。部屋や食事を提供する代わりに
みんなと同じように働いてもらうことになるが、
それでもいいか?」
「もちろんです!」デーヴェシは元気に答えました。
「一生懸命に働きます!」
達人は言いました。「よし。では毎朝、日の出とともに
私のところに来なさい。その日の仕事を用意して待っています。」
次の朝、デーヴェシは達人に会いに行きました。
達人は一人のお坊さんを指差して言いました。
「今日一日、このお坊さんの下で働いてもらいます。
頼まれたことをすべてやってあげなさい。」
「はい先生、一生懸命にやります。」
そう言ってお坊さんといっしょに行きました。
お坊さんは親切ではありませんでした。
デーヴェシが何をしても文句ばかり言いました。
「仕事が遅いな。」「ダメダメ、そんなやりかたじゃ!」
「学校で何を教わってきたんだ?」
「お前はバカで使い物にならない。」
一日の終わりに、デーヴェシは涙を浮かべながら
寝床に入りました。
「今日一日、あんなに頑張ったのに、
お坊さんは僕を徹底的にけなした。
僕って、本当にそんなにバカで使い物に
ならないのだろうか?」
翌日、デーヴェシは再び達人のところに行きました。
達人は違うお坊さんを指してこう言いました。
「今日はこちらのお坊さんと働いてもらいます。
頼まれたことをすべてやってあげなさい。」
「はい先生。一生懸命にやります。」
2人目のお坊さんはデーヴェシに非常に親切でした。
親切すぎるくらいに、ほめ言葉ばかりでした。
「できるじゃないか、デーヴェシ!」「すごいな。」
「おまえは頭がいい。」「将来偉大なヨーギになるぞ。」
一日の終わりに、デーヴェシはうれしい思いで
寝床に入ったけれど、それと同時になにかふに落ちない
点がありました。自分に問いただしました。
「最初のお坊さんは僕をバカで使い物にならないと言った。
2人目のお坊さんは僕を頭がよくて偉大なヨーギになると言った。
どっちが正しいのだろう?」
次の朝、デーヴェシはまた仕事を割り当ててもらうために
達人のところに行きました。
達人は質問しました。「この2日間はどうだったかね?」
デーヴェシは答えました。「よかったんですけど、疑問があります。
どの日も同じくらい一生懸命に働いたのに、
最初のお坊さんは僕のことをバカで使い物にならないと言い、
2人目のお坊さんは僕のことを頭がよくて将来偉大なヨーギに
なると言いました。
先生、教えてください。どちらが正しいのでしょうか。
僕は頭がいいのでしょうか、それともバカなのでしょうか?」
先生は微笑みながら答えました。
「私にそんな質問をするのかね?
では言うが、お前は愚か者だ。」
どの日も一生懸命に頑張ったと言ったじゃないか。
ならなぜ他人の意見に振り回されなければならないのか。
悪かったが、今回はおまえをテストしたんだ。
最初のお坊さんにはお前を徹底的に批判するように言い、
2人目のお坊さんにはお前を徹底的にほめるように言ってあった。
いつも覚えておきなさい。
お前が何をしても、世の中には感謝しない人間もいれば
必要以上にほめたりお世辞を言ったりする人もいる。
私からの最初の教訓はこれだ。
他人に自分の価値を判断してもらうようなことは
絶対にするな。」
私たちの多くはデーヴェシのように、他人がどう思うかを
常に気にしながら生きています。
批判されれば傷つき、ほめられればつけあがることもよくあります。
他人に自分の価値を評価させるのは、終わりのない
ジェットコースターに乗っているようなものです。
普段と何も違ったことをしたわけではないのに、
ある日は上に昇り、ある日は墜落してきます。
反応しない精神に到達するにはまず、
自分の行動は自分のもの、そして他人の意見は他人のもの
であることを理解する必要があります。
この状況で自分がコントロールできるものと言えば、
自分の行動だけです。
自分の本質が求める通りに生きてください。
そして他人も他人の本質通りに生かせておきなさい。
ナマステ。