Tip:
Highlight text to annotate it
X
「よく当たる占い師がいるから見てもらおうよ」
そう誘うのは、会社の同僚。
彼女はネットで情報を得てはいろんな所に出かけ、
様々な占い師に見てもらっている、いわゆる占いマニア。
私はテレビや雑誌の占いを気にする程度なのですが、
彼女の「ビックリする位、当たるんだから」という言葉に釣られ、
その占い師の元へと向かったのです。
「結婚占い」
ビックリするぐらい当たる占い師がいるのは、
私たちが勤めている会社から電車で20分程。
私鉄駅の繁華街のはずれの路上でした。
いつも行列ができていると聞いていたのですが、この日は誰も待っていません。
その様子に、同僚は残念そうに言いました。
「あれぇ、いつもの人じゃない」
お目当ての占い師がいないのはがっかりでしたが、
せっかく来たのだからと、まずは同僚から占ってもらうことにしました。
彼女の相談を聞くと、占い師は目の前の水晶玉を両手で覆い、
何やら
ぶつぶつとつぶやき始めました。
芝居がかった大袈裟な仕草でしたが、返ってきた答えは意外と普通でした。
どうやら、よくある職業占い師なのかも・・・
同僚は私に残念そうに目配せをしました。
続いて、私の番です。
取りあえず、今一番興味のあることを聞きました。
「結婚はいつ頃できますか?」
占い師は先程と同じように水晶球を手で覆い、
先程と同じようにぶつぶつとつぶやき始めました。
ところが、暫く待ってもなかなか答えが返って来ません。
3分経ち、5分経ち・・・
やきもきした私が、答えを催促しようとしたその時、
ようやく水晶から目を離した占い師が私に向き直りました。
「あなたは結婚できません」
「え・・・!」
私は占い師の言葉に耳を疑いました。
結婚できないとはっきり言い切るなんて、そんな占い、聞いたことがありません。
「結婚できないって、どういうことなんですか!どうしてそう言い切れるんですか!」
聞いても、占い師は何も答えません。
私も引くに引けずしつこく聞き続けました。
暫くして、ついに占い師は観念したかのように口を開きました。
「あなたのために理由は言わなかったのですが、あなたが結婚できない訳は・・・」
「あなたは今夜、死ぬからです」