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オーナーと苦楽をともに21年。どこへ行くにも常に一緒の“ベストパートナー”
今回ご紹介するこのトヨタ・ハイラックス ダブルキャブ SSR-Xのオーナーである佐藤広さんは現在58歳。
北海道で配管設備のお仕事を自営で行っている社長さんだ。
真面目な仕事ぶりで評判なのだが、若い頃はバリバリのレーサーだった。
18歳で運転免許を取得すると、佐藤さんのクルマ人生はハコスカ(GC10スカイライン)からスタートする。
毎日ハコスカを乗り回すうちにクルマを運転する楽しさにすっかりハマッてしまい、その後はカーレースに没頭。
510ブルーバードや310サニーでダートトライアルに参戦し、北海道各地で開催されていた大会でクラス優勝や上位入賞を果たすドライバーになった。
その後、4輪でのレース活動を引退した後は、バイクでのエンデューロレースにチャレンジし、こちらもレースを始めてすぐにトップライダーになってしまうほどの実力を発揮する。
車輌問わず、走りのセンスがバツグンだった。
こうしてバイクレースを始めたことにより、クルマ選びの選択肢としてたどりついたのがハイラックスだった。
「昔、バイクでエンデューロレースをしていましたが、そのレース用バイクを積むためのトランスポーター的な考えで大きなクルマに乗り始めました。
最初は54型のジープからスタートして、ダットサン720、ハイラックスと乗り継ぎました。
各メーカーのクルマに乗ることで、ボディ剛性とかエンジン特性とか耐久性とか、メーカーや車種でかなりの差があることがわかりましたね。
僕が特に重要視したのは“ボディの強さ”。
でも、ねじれ強度とか剛性っていう意味ではありません。
北海道だから冬は雪が多いし、僕が住む八雲町は海にも近いので潮風による塩害もあり、ボディやフレームがすごく錆びやすい。
今まで色々なメーカーのクルマに乗りましたが、僕の経験上ではトヨタ車が一番錆に強い。
だから、最終的にトヨタのクルマを買おうということになりました」と佐藤さん。
それまで培ってきた“クルマの経験値”によってウィークポイントを見極めることで、失敗しないクルマ選びを実践したのだ。
では、なぜハイラックスの、それもピックアップトラックを選んだのだろうか?。
「最初はサーフやハイエースも候補でした。
でも、ちょっと欲張りというか、せっかく買うなら1台で色々な使い方ができるクルマを選びたかったんです。
このハイラックスを買ったころはもうバイクレースを引退していましたが、その代わりに趣味が山菜採りになっちゃって(笑)。
その山菜取り用のバギーを積めるのがまず1つ目の条件。
次に、仕事(配管設備業)でも使えることでしたね」。
家族と一緒にキャンプや山遊び・ドライブまで楽しめること。
これらを全部クリアできるトヨタ車が、このハイラックスだったという。
「大型施設の配管工事等の場合は大型トラックになりますが、一般家庭の配管や中規模店舗等の業務用配管くらいであれば、このハイラックスで十分。
パイプや工具、清掃用具、修理用部品を積んで、毎日走り回っていますよ。
実は今日もこの後、配管の仕事で地方へ日帰り出張なんです」。
一般的に、1台のクルマで業務とプライベートでの供用は難しいと思われるが、佐藤さん曰く、「完全に両立できていますね。今でもバギーを積んでしょっちゅう山菜採りに行っていますし、この間は道具を積んで家族4人でキャンプを楽しんできましたよ。バギーや荷物を積んだ状態で、5人も乗れるんだから、普通の乗用車じゃ考えられませんね。無骨なスタイルもパワフルな走りも魅力だけど、人も荷物もバンバン載せられるという凄く贅沢な使い方ができるのが、このハイラックスの最大の魅力だと思います」と佐藤さん。
ハイラックスをまさにオールマイティに、そしてフルに活用しているオーナーの“生の声”だ。。
佐藤さんのハイラックスは、平成8年に購入した5代目のダブルキャブ SSR-X。
新車で購入後、リフトアップやK&N製エアクリーナー、マフラー等のファインチューンを施し、ステアリングはそれまでの愛車に代々愛用してきたナルディのウッドタイプを装着。
特に足回りに関してはレース畑出身なだけにこだわりが強く、動きがしなやかでオフロードだけじゃなくオンロードでも実力を発揮してくれるランチョ製のショックをチョイスしている。
LSDの装着も考えていたが、どのメーカーからもリリースされていなかったのであきらめたそうだ。
現在、約26万5000kmを走破しているこのハイラックス。
これまでに起こった大きなメカニカルトラブルは、パッキン不良によるオーバーヒートの1回のみ。
その際にヘッドのオーバーホールを行い、それ以降は現在まで絶好調そのもの。
2400ccのディーゼルターボエンジンはパワー感もバツグンで、舗装路でも悪路でも走行性能には不満は感じないそうだ。
乗り心地も非常に良く、仕事からプライベートまで全てこれ1台でOK。
ハイラックスとは別に、普通乗用車や家族用の軽自動車も所有している佐藤さんだが「なんだかほかのクルマは慣れなくてね。
近所への買い物とか、札幌への長距離移動もハイラックスで行っちゃいますよ。
ここ数年、ハイラックスしか乗ってないかもしれません(笑)」と、今でもかなりお気に入りのようだ。
新車で購入してから21年が経過した現在、エンジンや駆動系のコンディションこそベストな状態ではあるが、外装に関してはお世辞にもキレイとは言いにくい状態になっているこのハイラックス。
「仕事でも遊びでもかなり使い込みましたからね。 しかも毎日。
定期的なメンテナンスはしっかりやっているからコンディション的には良いのですが、雪とか潮風の塩害でボディがかなりやられてしまっています。
でも、近いうちにボディのリペアも計画しているんですよ。
サビをしっかり取って塗装し直せば、まだまだ乗れますからね。
エンジンが壊れない限り、まだまだ乗り続けますよ。
エンジンが壊れたら?うーん、載せ換えかな(笑)」。
佐藤さんが経営する会社の業績推移や、佐藤さん自身の多岐に渡る趣味活動だけではなく、お子さんの誕生や成長、家族の仲むつまじい生活を、21年ものあいだ暖かく見守ってきたこのハイラックス。
友人や家族以上に佐藤さんとの時間を共有してきた“佐藤家の歴史の生き証人”でもあるこのハイラックスを、佐藤さんはどのように考えているのだろうか。
「“クルマ”とか“モノ”っていう概念は無いですね。
もっと温かみというか、一人の人間みたいに感じています。
よく“相棒”っていう表現をするけど、それとはちょっと違うかな。
どちらかと言えば“彼女”って感じですね。
僕の行きたいところへいつも一緒に行ってくれるし、ワガママも聞いてくれる。
僕の人生に無くてはならない、唯一無二のパートナーですね」。
ここまでクルマを愛せることも幸せだが、ここまでオーナーに愛されるクルマもまた、至福の喜びを感じているのではないだろうか。
このハイラックスにはこれからも、佐藤さんが今後の人生を謳歌するためのベストパートナーとして、いつまでも元気に走り回ってもらいたい。
ライター 堀芳仁。 撮影協力/噴火湾パノラマパーク(北海道二海郡八雲町)。
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