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太郎君の説明でゲイの人たちについて
理解を深めていただけたことと思います
私は現在のゲイの人たちをめぐり世界でどのような対話が行われているのかについて
お話ししたいと思います
そして日本に何ができて
皆さんがどう支援することができるか
お話ししたいと思います
2015年6月
米国最高裁判所は
同性カップルに婚姻の自由を否定することは
米国憲法に違反すると判断し
婚姻の自由を全米にわたって保障しました
この判断は
人々の心と考えが変化した結果
法律が変わったのです
この歴史的な判断は
第一に同性カップルたちの、愛し合うカップルたちの
その子どもたちの、その親の、その家族の
その友人たち、仕事の同僚
カップルを大切に思っている人たち、カップルに大切に思われている人たち
その人たちの勝利でした
ただこの判断はゲイの人たちだけの勝利ではありません
この判断は米国という国の勝利でもありました
米国は、日本同様、民主主義国です
米国はすべての人に「自由」「平等」「尊厳」を保障する国です
この判断はゲイの人たちの勝利でした
ゲイの人たちが愛する人と結婚することができるようになったからです
米国という国にとっての勝利でもありました
ゲイ、ゲイでないひと、トランスジェンダーの人、そうでない人たちすべての勝利でした
なぜなら国が憲法の保障を実現するのを目の当たりにしたからです
米国は常に正しいことを行うわけではありません
でもこの判断は正しいことをまさしく行った瞬間でした
この判断は「キャンペーン」の勝利でもありました
活動家たちの
市民たちの
国が正しいことをするように組織し、人々に働きかけ、尽力した
活動家たちと市民たちの
勝利でもありました
この判断のおかげで
米国で100万名を超えるゲイの人たちが結婚することができました
私もその一人です
私も10年以上連れ添ってきた愛する人と結婚することができました
やっと家族と友人に祝福されて結婚することができました
同性カップルが結婚したからといって
他の人たちが結婚することができなくなったわけではありません
誰もが結婚することができます
私は婚姻の自由実現のため30年以上尽力してきました
1983年のことです
ハーバード大学の学生だった頃
そのときはまだ髪がありました
同性カップルの婚姻の自由を保障すべき理由
婚姻の自由獲得のため尽力すべき理由について
論文を執筆しました
私は婚姻が重要な制度であると主張しました
そして婚姻の自由を否定することは
同性カップル、その家族、その愛する人たちに対する
重要な権利侵害となることを主張しました
1983年の論文で
憲法は
すべての人の「自由」と「平等」と「尊厳」を保障しているからこそ
この差別を解消する道を法律が用意していると
主張しました
1983年
婚姻の自由を実現するため尽力しなければならないと主張しました
なぜなら
婚姻について話すことは
愛
コミットメント
家族
インクルージョン
絆
平等
尊厳
ゲイであると否とにかかわらず
すべての人に共通の言葉で話すことができるからです
そうすることによって変化が起きる
ゲイでない人たちが
ゲイ・トランスジェンダーの人たちをよりよく理解し
どうして差別を解消しなければならないかを
理解するという変化が
1983年論文を執筆した当時
同性カップルの婚姻について私がはじめて主張したわけではありません
LGBT運動の始まりについて
よくストーンウォール事件が引き合いに出されます
ニューヨークにあるバーで、警察のハラスメントに対し、LGBTの人たちがはじめて抵抗しました
ストーンウォールは現代の世界的なLGBT運動のはじまりといわれるのです
ストーンウォールは1969年の出来事でした
1972年までに
多くの同性カップルが
全米で
政府が否定した同性カップルの婚姻の自由を求め
訴訟を提起していました
事件の一つは米国最高裁判所にたどり着きました
しかし他のすべての裁判所と同様
間違った結論を出しました
婚姻の自由を否定したのです
裁判所も
国も
まだわかっていなかったのです
必要な対話が社会で起きていなかったからです
これからノーをイエスにどうやって変えることができたのかお話しします
数年後の1987年
LGBTとは異なるグループの人たちが米国最高裁判所に判断を求めました
政府は、その人たちにも、婚姻の自由を否定していたからです
この人たちは最高裁判所に自分たちへの差別を解消するよう求めたのです
最高裁判所はこの問題を判断するためには
まず、立憲民主国家において「婚姻」とは何かを判断する必要があると考えました
最高裁判所は婚姻には4つの重要な特徴があると判断しました
第一に
婚姻は自分が大事と思う人について
愛とコミットメントを公に表明する機会であり
そしてその表明を家族と友人と法律が支持することである
第二に
婚姻はカップル間の愛という問題にとどまらず
多くの人々にとってそのアイデンティティにかかわる問題であり
人生の意味、精神的・宗教的な意味をもつ
第3の婚姻の重要な特徴は
裁判所の婉曲的な表現を借りれば
身体的な絆を持つことでした
日常ではべつの言い方をしますよね
そのようなセクシュアリティと親密さは人生において重要な意味を有します
第4の特徴は
婚姻は無数の保護・権利義務の法律上の関門・条件であるということです
法的な、経済的な
有形、無形の
そしてその保護・権利義務は
誕生から死まで、間の税金まで、人生のすべての範囲にわたります
もちろん婚姻する理由はほかにもあります
結婚して子どもを育てたいという人もいるでしょう
両親を喜ばせたいという人もいるでしょう
他にも多くの理由があるでしょう
しかしこの4つの特徴が法律上婚姻の重要な4つの特徴なのです
これらの4つの特徴を踏まえ
最高裁判所は
婚姻を求めて裁判所に訴えたこのグループの人たちに
婚姻のような重要な権利について
政府は差別をしてはならない、婚姻を否定してはならないと判断したのです
1987年婚姻する自由を否定されたため訴訟を提起した人たちが
どのような人たちか分かるひとはいますか?
1987年婚姻の自由を否定された人たちは
囚人だったのです
最高裁判所は、婚姻の重要性に鑑み、
政府は恣意的に婚姻の自由を否定してはならないと判断したのです
例えそれが有罪判決を受けた殺人者であってもです
日本には今婚姻の自由を否定されている人たちがいます
日本にいるゲイの人たちです
どうやって私たちは米国においてこれを変えることができたのでしょうか?
その答えは、米国でのこの差別を変えるため、
4つの要素がそろう必要がありました。
3つはこのスライドに記載してあります、4つ目はサプライズです。。。
第一に憲法が必要でした
米国憲法は、日本国憲法同様、
「自由」と「平等」と「尊厳」と「人権」を
すべての人に対し保障しています
マジョリティにだけでなく
すべての人に対してです
日本国憲法が与える保障は、実は、米国憲法よりさらに強いのです
日本国憲法第13条と第14条は
すべての日本の人に対し自由、平等、平等な法的取扱いを保障しています
第13条と第14条は私たちが勝利したときに裁判所で主張した米国憲法の条文と非常に内容が似ています
ただ日本国憲法は婚姻の自由を直接に保障しているのです
米国憲法にはそもそも婚姻ということばは規定されていないのです
解釈が必要でした
日本国憲法第24条第2項は
配偶者の選択にあたって、婚姻する相手、あなたにとって特別な人を選ぶにあたって
法律はそれぞれの個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならないと規定しているのです
ただ私が日本国憲法についてもっとも好きな箇所は米国憲法にない他の規定です
日本国憲法第12条は
国民の責任として
皆さまのことですよね
「不断の努力」によって憲法が保障する自由及び権利を保持しなければならないと規定しているのです
ということでまずは憲法が必要だったのです。
しかし我々は歴史に照らして、日本でも米国でも
憲法に基づく保障が自動的に与えられるものではないことを知っています
だからこそ「不断の努力」が必要となるのです
そしてだからこそ私たちも勝利のためにさらに3つの要素を必要としたのです
憲法のもとで、第2に「運動」(movement)が必要でした
私が「運動」というときこういう意味でいっています
一人の個人だけで
一団体だけで
一回限りの試みで
ひとつの変革方法だけで
例えば訴訟、立法、教育、投票、デモなど
ひとつの変革方法だけで
目的を実現することはできません
特定の1年間が勝利をもたらしたわけでもありません
特定の10年間が勝利をもたらしたわけでもありません
米国では40年かかりました
人々の考えと心を変え、法律を変えるために
多くの団体、多くの試み、
多くの対話、何百万もの声が必要だったのです
人々の考えと心を変えて
法律の変更のための土壌を用意するために
しかし同時に行き当たりばったりで行動していたわけではありません
第3に「戦略」が必要でした
米国での私たちの戦略はシンプルなものでした
米国最高裁判所で勝利することです
しかし米国最高裁判所はいったんNOと判断していました
そこで米国最高裁判所で勝利するためには
結果を実現するために必要な人々の支持を築き上げなければならなかったのです
最高裁判所がYESといえる社会的環境を構築する必要があったのです
日本には法律を変えることができる国の機関が二つあります
差別を解消することができる機関が
最高裁判所と国会です
最高裁判所も国会も
すべての日本の人々に憲法が保障する権利を擁護する義務を負っています
最高裁判所も国会も
それぞれ正しい判断ができるようになるための社会的環境を必要としています
というわけで婚姻の自由実現のために私たちは憲法と
運動と戦略が必要だったのです
そして戦略がきちんと遂行されることを担保するため
目的実現のためのステップが確実に履行されていることを担保するため
運動がなすべきことをしていることを担保するため
「キャンペーン」が必要でした
私の団体「婚姻の自由」(Freedom to Marry)は
すべてをやるためにではなく
それは「運動」です
企業や医療の専門家や
弁護士や
ロビイストや
市民や対話や
「運動」が必要でした
Freedom to Marryは、全部を自分でやろうとしたのではなく
「運動」が「戦略」に沿って行われることを担保したのです
日本の戦略は米国の戦略と同じではないかもしれません
なぜなら日本には国会があり、最高裁判所があり、
文化も異なります
なので皆さんが日本にとって最善の道を決めなければなりません
でも「戦略」は欠かせません
日本が今直面する問題は
あるべき状態が達成されていないことです
ゲイの人たちは傷つき、権利を侵害され
家族と一緒になることができず、家族は家族としての保護を受けることができません
憲法の保障が実現していないのです
日本は先進国首脳会議G7の一員です。
世界をリードする民主主義国で強く重要な経済圏です
G7諸国の中で
同性カップルを国が尊重承認していない国が一つだけあります
日本は同性カップルの権利を保障しないたったひとつの国なのです
他の6か国のうち
5か国は
同性カップルの婚姻の自由を承認しています
私が婚姻の自由に米国で取り組み始めたときには
同性カップルが婚姻できる国はひとつもありませんでした
現在は25か国にのぼります。
11億人以上の人々が婚姻の自由を保障する国に暮らしているのです
このリストをみてください
世界の民主国家、世界有数の経済大国
日本の身近な友好国です
でも日本はまだこのリストにはのっていないのです
日本は2020年オリンピック開催の準備を進めています
世界は日本に注目しています
この美しい国に
日本は問われます
ゲイ、トランスジェンダー、その他マイノリティの人たちをどう処遇しているのかと
そして、婚姻の自由を保障する国から
結婚した同性カップルが来日したとき
日本ではその関係・家族が尊重されないことをどう説明するのでしょうか
それが日本が直面する問題です
でもよい知らせがあります
米国では40年以上かかりました
組織し、説得し、戦い、法律を変えるために
昨年NHKは日本で世論調査を行いました
日本人が同性婚についてどう考えているのか調査しました
調査によれば51%が既に同性婚を支持しているというのです
2018年の日本は
1972年の米国でも
私が論文を執筆した1983年でも
私たちが米国で戦っていたときでもありません
日本はここから出発することができるのです
民主主義国の変化の原動力は「対話」です
ゲイの人たちがどういう人たちなのか
どうして婚姻が重要なのか
そしてすべての人共通の価値観である
公正について
尊重について
社会的調和について
個人の尊厳について
対話を、周囲の人たちと、することによって
51%を60%にすることができるのです
国民の支持、国民が公正さを求めていることを
国会と裁判所が感じることができるようにしなければなりません
今日ご参加の皆さん全員が、
ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー、そうでない人たち全員が、
この部屋にいる皆さん全員が
この「対話」において、 声とパワーがあるのです
皆さんの知人に話し、
あなたの思いと価値観を伝えることによって
皆さんの「不断の努力」によって
日本はオリンピック開催前にあるべき状態を実現することができるのです
今がそのときです
どうもありがとうございました