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なぜ日本では、スーパーチャージャー車が少ないのか?
昨今、小排気量エンジンに過給機をつけた、高効率・低燃費のダウンサイジングターボが主流となっています。
エンジンへの過給システムには、他にスーパーチャージャーがありますが、日本で現在採用されている車種はほとんどありません。
なぜなのでしょうか?。 スーパーチャージャーとは。
その力を利用してコンプレッサーを回すターボチャージャーと、エンジンによって得られた回転力を利用してコンプレッサーを回すスーパーチャージャーという違いがあります。
スーパーチャージャーのメリット ターボチャージャーは排気ガスを利用してタービンを回すので、十分な過給圧を得るためにはある程度のエンジン回転数に達する必要があります。
出力特性もエンジン回転数にほぼ比例し、スムーズです。
自然吸気(NA)エンジンでは、大気圧以上の空気をシリンダー内に送り込むことはできませんから、エンジンの出力は排気量相応のものとなります。
しかし、ターボチャージャーやスーパーチャージャーなどの「過給機」を搭載すると、それらにより圧縮した空気を強制的にシリンダー内に送り込むことができ、同じ排気量でも高い出力を得ることができます。
過給機とは、ひと言でいえば、コンプレッサーで圧縮した空気をシリンダー内に送り込む装置ですが、エンジンから出た排気ガスをタービンに当てて回転させ、
スーパーチャージャーはその仕組み上、エンジンの力を使って駆動していますから、当然エンジンへの負荷が増大し、ロスが発生します。
一方、スーパーチャージャーはエンジンの回転力を利用しているので、低回転時でも過給が可能です。
また、ターボチャージャーではエンジン回転数とパワーの出方に時間差(ターボラグ)が生じるのに対し、スーパーチャージャーはアクセルを踏んですぐに過給が始まるので、レスポンスが良いというメリットもあります。
そしてターボチャージャーと比べて、本体のサイズが大きく、重量も増えます。これは、燃費性能やコスト面で不利になってしまいます。
スーパーチャージャーのデメリット 良い点がたくさんあるように思えるスーパーチャージャーですが、デメリットもあります。
日本でスーパーチャージャー車が少ない理由 日本車では、1985年9月にマイナーチェンジした7代目トヨタクラウンに、日本車初のスーパーチャージャーモデルが誕生しました。
さらにエンジンが高回転時には、過給機の負荷が大きくなってしまうため、ターボチャージャーほどパワーを得ることはできません。
1980年代はまだ物品税が導入されていた時代で、5ナンバー車の維持費が圧倒的に安かったことから、2,000cc以下のアッパーミドルクラスなどは、出力向上のため過給機付エンジンを搭載することが多かったようです。
その後1989年に物品税が廃止されると、税制上の恩恵とともに、高級車は大排気量NAによる高出力化が主流となり、過給機付エンジンは徐々に少なくなっていきます。
近年では環境に配慮した低燃費エンジンの開発がメインとなり、その一環として小排気量ターボ(ダウンサイジングターボ)も採用されてきています。
これは、高効率エンジンを開発する技術や、ターボラグを少なくする技術が向上してきたことで実現が可能になったもので、少ない排気量で1クラス上の排気量を持つエンジンと同じ性能が得られるという考え方です。
「ハイパワー追求」という目的の過給機でないならば、なるべくコストを抑えて軽量化するほうが、自動車メーカーにとってはメリットがあります。
さらにターボチャージャーは、もともと捨てるだけの排気ガスを使って過給する仕組みなので、効率の面で有利です。
そのため、スーパーチャージャーよりもターボチャージャーが広く採用されています。
現在、日本車でスーパーチャージャーを採用している日産ノートのHR12DDRエンジン。
日本では、「コストを抑えて効率の良いエンジンを作るため」という目的で、ターボチャージャーが採用されているといえるでしょう。
メルセデス・ベンツやボルボなど、欧州では引き続きスーパーチャージャーの開発を行っているメーカーもありますので、今後の技術に注目していきたいですね。。