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ネット上の監視を拒む人々が 深層ウェブを利用し始めてる
何でもある
ドラッグのサイト
どんな銃も買える
これは単なる通信ツールだ
[ダークネット]
【マザーボード トム・リトルウッド】 今や 政府による市民の監視はー
妄想ではなくなった
もはや ネット上に プライバシーは存在しないのか
どうやら 1か所だけー
監視が及ばない 場所があるらしい
〝ダークネット〟という 深層ウェブだ
不正行為が行われてるとか
そこで ダークネットの利用者と その目的ー
そして 本当に 匿名性があるのかを取材する
まずは 善玉ハッカーの ノールに会った
彼はデジタル通信システムの 欠陥を暴いている
深層ウェブは 実在する デジタルコンテンツだ
ただ その正確な場所やー
【カーステン・ノール】 ホストは匿名になっていて 分からない
だから違法なコンテンツを扱える
〝7歳に使える鎮静剤〟とある
誰かが7歳のめいに使えるー
意識下鎮静法を聞いてるんだ
用途は明白だが 多くの返事が来てる上にー
誰一人として 「変態は失せろ」とは言わない
〝シルクロード〟というサイトは 有名だね
ドラッグや禁書などの 不正販売が行われてる
偽造書類だ
偽の社会保障カードもある
欧州のパスポートや その他のIDの価格はー
20ビットコイン
そうだね
つまり約1000ユーロだ
買い手にとっては 安いもんだよ
どうやって匿名化を?
方法は様々だがー
最も知られてるのは 〝トーア〟だろうね
手順としてはー
まずトーアをインストールする
そしてトーアブラウザを使って IPアドレスを秘匿
それからGmailなどの 総合サービスの使用をやめてー
メールはPGPで暗号化する
今では 誰でも これらのツールを使えるんだ
実は政府機関も情報保護に 同じツールを使ってる
トーアは〝タマネギの皮〟で 情報を隠し サーバを移動する
まず最初のサーバへは ユーザのIPアドレスでつながりー
次に無作為に選ばれた 中継サーバを経由する
最終サーバで 最後の タマネギの皮が剥がれてー
アクセス先が分かり つながる
これによって〝出口ノード〟の 第三者がー
ユーザの代わりに 刑事訴追を 受ける可能性もある
深層ウェブに多いのは ドラッグのサイトだ
売人たちと連絡している間にー
闇市サイト〝アトランティス〟は 安全上の理由でオフラインに
シルクロードは 後日 閉鎖された
だが 他サイトは営業を続けー
シルクロードも 別のサーバで営業を再開した
ドラッグの販売も問題だがー
深層ウェブには 不安を抱くサイトが 他にもたくさんある
もちろん中には 眉唾物も
例えば 殺し屋の宣伝サイト
指定された人物の殺害を 高額で請け負うというものだ
一方で 信ぴょう性の高い サイトもある
思わず不安になるのは 銃の販売サイトだ
拳銃からマシンガン アサルトライフルまで買える
これから銃を売ってる男に会う
警察じゃないと説得するのに 2週間やりとりしー
社名を伏せて こちらの身分を説明した
まだビビってたがー
ドイツのある場所で会うことに
彼が来てくれることを祈るよ
彼の身分は明かせないがー
ネットで銃を売る理由や 方法を教えてもらう
指定の場所に来た
林の中にある 狭い駐車スペースだ
男はまだいないがー
約束の時間まで少しあるから ここで待つよ
誰か来る
やあ トムだ
オレはハンス
よく来てくれた ありがとう
何てことないよ
こうやって人に会うのは不安?
先に連絡を取ってるから平気さ
まず最初に聞きたいのはー
武器の入手方法だ
ある人からモデルガンを入手して それを改造する
ドイツで銃の保持は?
違法だ 売買もね
銃口をのぞくと分かるがー
障害物があって 弾が通らないようになってる
実弾を撃てなくするためだ
これを取る
これを仕事に?
オレにとって 銃の改造や射撃は趣味さ
仲間内で 楽しむだけでもいいのにー
なぜ ダークネットを使って 見知らぬ人に売るんだい?
ダークネットを見たらー
銃の販売は僅かで しかも 高額だった
君から銃を買うとしたら 1丁でいくら?
1000~1500ユーロだから かなり安いしー
改造銃を売ってるのは オレだけ
小口径だから 標的が 小動物でもない限り殺傷力はない
確かに何を撃つかが問題だ
そこで頭に浮かぶのはー
趣味以外の目的で 銃を買おうとする人たちだ
例えば 殺人の道具に使うとかね
そういう人が買う可能性を 考えたことは?
そういう人がいることは 知ってるがー
殺人の道具となるのは 銃だけじゃない
車だって 人を殺す道具になり得る
前に一度 殺人に適した銃を聞かれー
助言を求められた
すぐに連絡を絶ったよ
ショックだ
これがモデルガンを改造した銃?
ああ
こんな簡単に作れるんだ
改造銃の作り方を 見せてもらった
今は 静かな林を探してる
実際に撃ってもらうんだ
銃の送付は宅配便で?
普通郵便で送るがー
詳しいことは言えない
君は ネットでの 武器販売は問題ないと思う?
ネットの一般取引規定でー
大量破壊兵器の販売を 禁じてるし オレも賛成だ
純粋な銃の愛好家に そんな物は不要だ
それは半自動式拳銃だね?
その銃で これから試し撃ちをする
そうだ
この状況が信じられない
田舎の林の中で 半自動式拳銃を撃ってー
平然としてる
弾が貫通してる
相当のダメージになる
近くから撃たれれば致命的だ
知らない人に 銃を売ってるとは驚きだがー
他にも驚いたことがある
それは 彼が捕まる危険を 感じてないことだ
この責任を負うべき人がいる
何の気兼ねもなく 匿名で犯罪を犯せる環境をー
作り上げた人間だ
南ドイツで モリッツ・バートルに会う
彼は〝ツウィーブルフロインデ〟の 創始者だ
この組織は ネット上での 匿名化を促進してる
世界各地の人々が協力して 帯域幅やー
出口ノードを提供してるんだ
【モリッツ・バートル】 2010年に出口ノードを 大々的に提供し始めた
それ以来 注目を浴びてる
当時は 素人ボランティアだけで 構成されててー
すべての出口ノードの 半分を運営してた
政府などから 敵視されるようになった?
オレがアメリカにいたとしたらー
サーバの運営はしてなかった
そもそもトーアは 米軍が開発したものでー
それを国防総省が推進したんだ
つまりアメリカ政府は NSAを使って情報を入手しながらー
同時にNSAを欺くツールを 開発してたのさ
外出時はどうやって身を守る?
もちろん 注意はしてるよ
連絡手段を確保してー
自分のPCや携帯は 持ち歩かない
ずっと家にいるなんて あり得ないよ
多くのネット活動家が ドイツに集まってるのはー
他国に比べて ドイツの法律が緩いから?
確かにドイツの法律は いいものがー
近年 たくさん裁判が起きてて 腹立たしいよ
郵便なんかじゃ プライバシーは守られない
トーアを使えば 自由な意見が交換できる
これは人権を守る活動なんだ
オレたちは 人々の自由を奪う 法律には屈しない
だが一方で ダークネットではー
児童ポルノの流通だって 起き得る
それは どこでだって あり得るしー
そういう意見を封じ込めたって なくなりはしない
むしろ 感情を 強めるだけだと思うんだ
どんな病的な人間が存在するかを 知ってる方がー
無知でいるより いいんじゃないかな
制限されては 知る手段がない
ネットでは いろんな物が 公然と売買されてる
だから どうしても 問題の方が目につく
これは単なるツールなんだ
人を傷つけることのできる 金づちなんかと同じツールさ
金づちは凶器になり得る
だからといって 金づちの使用を禁じる?
ダークネットは 必要な通信ツールなんだ
トーアに命を救われたと言う 活動家は多い
イランにいる ある人物が 政府の監視下にいてー
人との接触も 会話もできないとする
そんな時 トーアなら 安全に連絡ができる
イランの検閲事情を探るため ノルージに接触した
活動家たちを援助している イラン人記者だ
ある日 監視に気付いたとする
または自分の情報が載った 書類が机に置かれててー
【イーシャン・ノルージ】 向かいに 軍の人間など 尋問者がいるような状況に置かれる
そんな経験をしたらー
怖くて何も話せなくなってしまう
会話の内容が個人的なことで 相手が身近な人間ー
例えば 両親や 恋人だとしても怖いんだ
もしテヘランに住む友人が 私に街の状況を話したらー
それだけで スパイ容疑を かけられる可能性も
それで有罪となれば死刑だ
世界の現状を考えるとー
民主主義国家も抑圧的な国家も たいして変わらない
どちらでも 政府が国民を監視しー
そして その情報が 国民を捕らえる道具に使われる
【2013年9月 ベルリン 抗議デモ】
【監視社会 反対!】
【スパイ行為は犯罪】
【暗号化しよう!】
【『1984年』は指南書ではない】
監視されることに 不安を持つのは当然さ
しかも 見てるのは諜報機関だ
顧客の情報を活用して 利益を生んでる会社もある
個人情報は様々な人にとって 有益なものなんだよ
やましいことがなければ 怖がる必要などないのでは?
誰にだって秘密はあるしー
願望や欲望 恐れがあるはずだ
その中でも 我々の願望に関する情報はー
多くのネット企業に渡ってる 我々の知らない間にね
ネットで何を検索したか どのサイトを見たかなどー
誰にも言ってない 個人的な情報だ
ネット企業は そういうデータを すべて持ってる
深層ウェブでは 薬物や銃の販売などー
いろんな不正行為が行われてる
だが 結局のところ 深層ウェブは善悪関係なくー
単に力を持つツールなんだ
現実として 深層ウェブだけがー
匿名化と すべてのアクセスを 可能にする場だ
そこには いい情報も悪い情報もある
問題はどっちがマシかだ
監視される世界か 無秩序な世界か