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私はロックスターになりたいと思っていました
それが私の夢見ていたすべてでした
より正確に言うと ポップスターです
80年代後半のことで
デペッシュ・モードか デュラン・デュランの
5番目のメンバーになりたかったんです
入れてはもらえないでしょうけど
楽譜が読めないながら シンセや ドラムマシンをやっていました
ネバダ州北部の小さな農村で育ちましたが それが—
自分の人生の進む道だと信じていました
18歳で ラスベガスにある
ネバダ大学に入ったとき
私が驚いたのは
「初歩のポップスター」の授業もなければ
ポップスターの学位もないということだったんです
私が歌うのを知っていた
合唱団の指揮者は
合唱団に入るよう誘ってくれました
「ええ 喜んで 楽しそうですね」と答えましたが
その後「これはだめだ」と逃げ出すことになりました
高校の合唱団のメンバーはオタクみたいなのばかりで
いっしょにやって行けそうな気がしませんでした
でも一週間後に友達が言ったんです
「合唱団に入った方がいいぞ
学期末にタダでメキシコに
旅行ができるし 何より
ソプラノにかわいい子がいっぱいいる」
メキシコと女の子のためとあれば
何だってやると思いました
合唱団に入った最初の日
バスのパートに入って
肩越しに他の人が
どうするか見ていました
楽譜を開き 指揮者が拍子を取ると
バーン! モーツァルトの「レクイエム」の
キリエが始まりました
これまでずっとモノクロで見ていた世界が
急にカラーに変わったような衝撃を覚えました
私にとって一瞬にして起きた最大の変化の体験でした
不協和音と和音が響き
みんなが一緒に歌い
ビジョンを共有していました
人生で初めて 自分よりも大きな
何かの一部になったのを感じました
それにソプラノにかわいい女の子がたくさんいるというのも本当でした
何年か後に
自分の人生を変えてくれた
その指揮者への感謝の気持ちで
合唱曲を書きました
その頃には楽譜もだんだん読めるようになっていました
その曲が出版され
また別な曲を書き それも出版されました
それから指揮をするようになり
ジュリアード音楽院で修士号を取り
そして今ではクラシックの
作曲家兼指揮者という
思ってもいなかった仕事をしています
2年ほど前に 友人が
あるYouTubeのリンクを
メールで送ってきました
「これすごいぞ」と
ある若い女性が 私宛のファンビデオを作り
私の作った「眠り」という曲の
ソプラノ部分を歌っていました
こんにちは エリック・ウィテカーさん
ブリトリン・ルーシーです
あなたのために
ビデオを作ろうと思いました
「眠り」を歌います
ちょっと緊張しています ごめんなさい
物音のする
夜には
雷に打たれたように感じました
ブリトリンは あまりに無垢で愛らしく
その声は透き通るようでした
ピアノの上にあるクマのぬいぐるみが
彼女の後ろに見えているのも 心惹かれました
とてもうち解けた光景だったのです
そしてひらめきました
50人の人がこれと同じことをして
ソプラノ アルト テノール バス
それぞれのパートを歌い YouTubeに投稿したら
それをまとめてバーチャルな合唱を作れるかもしれないと
それでブログに「キターーーーッ」と書きました
文字通りそう書いたんです
公に「キターッ」と書くのは これを最後にしたいですが
(笑)
そして歌手の人たちに呼びかけ
私の曲の楽譜も 自由にダウンロードできるようにしました
2000年に書いた
「ルクス・アルムクエ」という曲で 「光と金」という意味です
するとみんながビデオをアップロードしはじめたのです
その前に 私が指揮をしている
指揮者のパートも
投稿しておきました
撮影した時はまったく音なしでやっていました
頭の中で音楽を聴きながら
いつかできあがる合唱をイメージしていたのです
後でピアノの伴奏を付けて
歌手の人たちが聞けるようにしました
そしてたくさんのビデオが寄せられました
(歌)
これはシンガポールのシェリル・アン
(歌)
これはエヴァンジェリーナ・エティエン
(歌)
マサチューセッツの人です
(歌)
スウェーデンのスティーブン・ハンソン
(歌)
テキサス州ダラスのジャマル・ウォーカー
(歌)
曲の中に短いソプラノのソロがあって
そのためのオーディションをしました
たくさんの応募がありました
後で聞いたら
参加した人の多くは
完璧なのが撮れるまで 50回も60回も
撮り直ししていたということです
ソプラノソロを勝ち取ったのはこの人
テネシーに住むメラニー・マイヤーズです
(歌)
一番高音のところで見せる小さな微笑みがいいですね
何か「大丈夫 心配しないで」と
言っているようです (笑)
それからスコット・ヘインズという
若者が現れて
「これはまさに私がずっと探し続けてきた
プロジェクトです ビデオの編集を
ぜひやらせてください」と言いました
私は「ありがとうスコット 見つけてもらえて助かったよ」と答えました
スコットがビデオを すべてまとめ上げました
音声を取り出し
すべてが揃うようにしました
そして1年半前にYouTubeに投稿しました
バーチャル合唱団による「ルクス・アルムクエ」です
(歌)
時間が限られているので ここで止めておきます
(拍手)
ありがとうございます
(スタンディングオベーション)
ありがとうございます
まだ続きがあります
どうもありがとうございます
私の反応もみなさんと同じでした
最初に見たときには涙が出てきました
これが生み出す詩情は信じられないほどでした
それぞれの心の孤島から 瓶に詰められた電子のメッセージが
互いに送り交わされたかのようです
このビデオは口コミで広まって
最初の1ヶ月で100万回再生され
とても注目されました
それで多くの歌手の人たちが言いました
「いいね それで第二弾はいつやるの?」と
それで「バーチャル合唱団2.0」を
やることにし 曲にはブリトリンが歌っていた
「眠り」を選びました
これも私が2000年に書いた曲で
親友のチャールズ・シルベストリの作詞です
今回もまた
指揮者のビデオを投稿して 応募を受け始めました
今回はもっと年期の入ったメンバーや
(歌)
ずっと若いメンバーもいます
枕の上
ベッドに心安く
イギリスのジョージー まだ9歳の子です
こんな愛らしいもの見たことないでしょう?
1人でバスからソプラノまで歌い
8つのビデオを作った人もいます
ボー・オーティンです
ベッドに心安く
私たちが目指していたのは 勝手に決めたものですが
MTVのビデオで「ロリポップ」の歌を
世界中の人が歌うというのがあって
900人の参加を集めていたので
私は「これを目標にしよう
この人数を抜いてやろう」と言いました
1月10日に応募を締め切りましたが
最終的には2,051のビデオが
58カ国から寄せられました
(拍手)
ありがとうございます
マルタ マダガスカル タイ ベトナム
ヨルダン エジプト イスラエル
北はアラスカから 南はニュージーランドまで
Facebookにページを作って
歌手の人たちが参加してどうだったか
感想を書き込めるようにしました
いくつかご紹介しましょう
「昔は妹とよく一緒に歌っていました
今は空軍のパイロットになっていつもどこかに行っています
だからまた一緒に歌えてすごくよかったです!」
妹さんと一緒に歌ったというのがいいですね
「美しい音楽というだけでなく
会ったことはなくても繋がっている 世界に広がるコミュニティの
一員だというのが素晴らしいです」
これは個人的に好きなやつです
「私がこれに参加すると夫に言ったら
お前の声じゃ無理だと言われました」
多くの人がそう言われていることでしょう
私もそうです
「とても傷ついて泣きました
でも私の中にどうしてもやりたいという気持ちがありました
今までかなわなかった
合唱に加わる夢がかなうんです
Google Earthにマーカーを付けたら
私の住んでいるところから一番近い町まで600キロ離れていました
アラスカの未開の地にいて
衛星が私の世界との絆です」
2つのことが心を打ちました
1つは 人が
互いに繋がり合うために
努力をいとわないこと
重要なのはテクノロジーではありません
もう1つは
人々が本当の繋がりを持っているということです
バーチャルではなかったのです
会ったことはなくとも みんな友達になっています
私もそうです
みんなとの団結心を感じています
合唱団と近しさを感じています
ほとんど家族のように
今日は最後に
バーチャル合唱団2.0による「眠り」を
お目にかけたいと思います
今日が初公開です
ビデオはまだ完成していないんですが
2,000本のYouTubeビデオを合成するところを考えてみてください
レンダリングにとんでもなく時間がかかります
でも最初の3分はできています
ここでお披露目できるのを
大変光栄に思います
これを見るのは皆さんが最初です
バーチャル合唱団による「眠り」です
夕闇が
月の下にかかり
銀の光が暗い砂丘に差す
目を閉じて頭を休め
眠りが近づくのを知る
枕の上
ベッドに心安く
頭を満たす幾千の絵
眠らせることのできない
悩める心
手足は鉛のようでありながら
物音のする夜には
どうもありがとうございました
(スタンディングオベーション)
どうもありがとうございます
(スタンディングオベーション)