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インディカーで開幕2連勝。 急に強くなったホンダは何が変わったのか
インディカーで開幕2連勝。 急に強くなったホンダは何が変わったのか
2017年インディカーシリーズ第2戦。
伝統あるグランプリ・オブ・ロングビーチは、カリフォルニアの大都市ロサンゼルスから少し南に下った港町で行なわれるストリート・イベントだ。
1975年にF5000のレースとして始まり、翌1976年からF1グランプリに変わった。
インディカー・レースになったのは1984年から(CART/チャンプカー時代を含む)。
今年は通算43回目、インディカーでは34回目の開催となった。
予選ではエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得。
開幕戦のセントピーターズバーグに続いてシボレーが予選最速だったが、3段階ある予選のファイナルに進んだ6人のうち、ほかの5人はホンダ勢のドライバーだった。
セントピーターズバーグでは6人のうちの4人がホンダ。
今年、ホンダの戦闘力が上がっていることがあらためて証明された形だ。
昨年のホンダはストリートコースで1度も勝てなかった。
しかし、今年は開幕からアドバンテージを持っている。
結局、ロングビーチではホンダ勢による優勝争いが繰り広げられ、シボレーは1周もレースをリードすることができなかった。
そして、予選4位だったジェームズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)がキャリア5勝目を挙げた。
いったいホンダの何が変わったのか?。
まずは各チームとドライバーがエアロキットに習熟してきた点が挙げられる。
ルールにより今年はエアロキットの設計変更が許されていないので、全チームが去年と全く同じマシンで戦っている。
ホンダは去年、ストリート及びロードコースでは1度も勝てなかったので、今年も苦戦が続くと思われていた。
ところがフタを開けてみると、ホンダ勢が開幕から2連勝。
シボレーと立場が完全に入れ替わってしまった。
「エアロキットが導入されたのは2015年。
その年に苦戦した我々は、去年から新しいデザインを採用することが許可された。
2016年型エアロキットで性能向上は果たしたが、ユーザーチームはまだそれらを完全に理解し、使いこなすことができていなかった。
しかし、1シーズンを戦って得たデータやノウハウ、このオフの間に行なったテストや開発作業のおかげで、ユーザーチームはマシンに対する理解度を深め、戦闘力を高めることができた」。
アメリカン・ホンダのレース担当会社HPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)社長、アート・セント-シアーはロングビーチでそう語っている。
ホンダユーザーチームは、エアロパーツの微妙なセッティングのコツを掴み、マシンを去年までと比べて明らかに速く、そして安定させることに成功したのだ。
2.2リッターV6ツンターボエンジンのパフォーマンスでも、ホンダはシボレーに差をつけているようだ。
具体的な数字は掴めていないが、ピークパワーでリードし、ワイドレンジでパワーを出せていることで、ドライビングのしやすさという優位も得ていると思われる。
さらにホンダエンジンは、以前から燃費のよさに定評があり、それもアドバンテージになっている。
今年からホンダは供給チーム数が大幅に増加した。
特に最強豪チームのひとつ、チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ(4台体制)がシボレーから復活移籍してきたことで、ユーザー層が飛躍的に厚くなった。
フルシーズン出場21台のうち、ホンダは13台でシボレーは8台。
ガナッシの経験豊富なドライバーたちからのフィードバックも武器となり、ホンダのエアロキットは一層ポテンシャルが引き出されるようになった。
彼らの声はもちろんエンジンの開発にも役立つ。
逆にシボレー軍団は、昨年の王者であるチーム・ペンスキーに対する依存度が極めて高くなってしまった。
ペンスキーのパフォーマンスが悪ければシボレーに勝ち目はない……と言っていいほどの状況に陥っている。
2013年に優勝するなどロングビーチを得意とする佐藤琢磨(アンドレッティ・オートスポート)の第2戦にも触れておこう。
予選直前のプラクティスで2番時計を記録したが、予選結果は18位と振るわなかった。
セッティング、ドライビングともにミスがあったためだ。