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ジョースト・ボスダイクです
ファゴット奏者として
ロンドン交響楽団に 在籍しています
これから お話しするヒントが
YouTubeシンフォニーの オーディションの
参考になればと 思います
最初に取り上げる 抜粋は
モーツァルトの フィガロの結婚です
ファゴット奏者にとって 重要な
レパートリー曲の1つです
どのオーディションでも この曲と
モーツァルトの
ファゴット協奏曲が セットになります
モーツァルトの序曲は 技巧がいります
今の楽器で 演奏するのは
曲が書かれた頃の 楽器より
難しいです
問題は すべての弦とうまく
溶け合えるかです
冒頭は 謎めいた感じです
いきなり速い 音符が続きます
とてもやりにくい 音で始まります
とにかく
まずは練習です
ダイナミクスに 気をとられすぎないで
身に付くまで 練習します
小さい単位での 練習もおすすめです
たとえば始めは 最初の
2音だけで
[最初の音を繰り返す]
[2音から増やしていく]
少しずつ増やし
習得できるまで 練習します
ゆっくりでも 練習しましょう
それともう1つ
リズムを変えて 練習するのも効果的です
たとえば
[軽いリズム]
または
[重いリズム]
この抜粋に 限って言えば
ピアノキーを 押さえるのに
ロックを使えば
親指の動きを 少なくできます
そっと上げ下げする だけになり
動かし回る必要は ありません
だんだん 慣れてきて
メトロノームでも 練習したら
フレージングも 考えましょう
こうではなく [重いリズムの表現]
こうです [軽いリズムの表現]
常にどこかへ 向かうようにします
実際それが
演奏しやすさにも つながります
抜粋全体を 演奏してみます
序曲の冒頭の ほんの
数小節です
[速いリズム]
演奏する前に どんな音楽かを
想像しましょう
音楽は 急に生まれません
演奏前から 始まっています
雰囲気を つかんでおくことです
そうすれば 演奏も楽です
以上がモーツァルトの 序曲です
次は シェヘラザードです
シェヘラザードは ある女性の物語です
愛する人を 退屈させると
殺されてしまうため
長い間 緊張した関係を続けます
このソロは
シェヘラザード 2楽章の
ヴァイオリンの カデンツァの後ですが
このテーマで 聴衆の心をしっかり
ひきつけましょう
ソロの説明書きは こうです
ドルチェ・エスプレッシーヴォ・ カプリチョーソ・クアジ・レチタンド
長いです
これを全部 表現します
つまり優しい 表情で
同時に とても気まぐれに
両立が難しい 2つの要素です
レチタンドなので このソロで物語を
進行させます
少し時間をとって
この部分の 楽譜にある
要素を全部 見てください
アクセントや付点、 スラーなど
これらを取りこぼさず 演奏します
1つの音楽的 概念にまとめるには
かなりの注意が 必要です
私の解釈で 演奏してみます
ここは曲の中の カデンツァと言える
部分なので
自分の解釈が あれば
やりたいことがあれば 表現しましょう
同じである必要は ありません
[軽い演奏]
[活気づいた演奏]
[軽い演奏]
これが私の 解釈です
皆さんのが どんな演奏になるか
楽しみに 待っています
では次の抜粋です
ファゴットが本当に 素晴らしいです
巨匠チャイコフスキーは 数々の名旋律を
この世に残しました
この美しい曲を 交響楽団の
ファゴット奏者として 演奏できるのは
とても名誉なことです
交響曲第4番の 第2楽章は
オーボエのソロからです
私たちの課題の フレーズと
いくらか似ています
オーボエの方が少し 長いフレーズです
ファゴットの ソロはこの
オーボエソロを回想する 形になります
ピアニッシモ・ カンタービレとあります
ごくごくシンプルな 演奏で
エスプレッシーヴォに なったら
少し色を付けます
そしてまた 戻って
徐々に少しずつ
静かにしていき 終わりになります
このソロで 重要なのは
レガートを美しく 吹くことです
すべての音を 美しくつなげます
この曲の調では かなり難しいです
モーツァルトのときと 同様に
小さい単位に 分けるといいです
完璧なレガートと 思えるまで
できる範囲で やってみてください
最初はレガートを 2つの音だけで
満足するまで 練習します
つまり
[ゆっくり、滑らかに演奏]
きれいなレガートに するには、指を
そっと動かします
叩くように しないでください
速い曲には それでいいですが
長いレガートの フレーズには
できるだけそっと 下ろします
撫でるように、 叩かないように
では抜粋を 演奏します
[滑らかな演奏]
これが私の 解釈です
より感情を込める 人もいますが
私は静かにシンプルに このソロを
吹くのがいいと思います
解釈は 人それぞれです
あなたがもし 違うように
解釈したのなら
ぜひそのとおりに
演奏してください
オーディションの ポイントを1つ
どの審査員も オーディションの
演奏を聴いて
作品に合っているかを 判断します
それがソロでも
前後や背景、 そして周囲に
音楽が流れています
曲を演奏するとき
全体をわかっているか どうかで
大きな違いが 出てきます
演奏する抜粋が 含まれる曲を
多く聴くことを おすすめします
一番いいのは生演奏です
もちろん録音も さまざまな形式で
入手できます
CDやインターネットなど
音源を注意深く 聴いて
いろいろな解釈を 参考に
自分の解釈を 導き出してください
皆さんの幸運を 祈っています
お会いできる日を 楽しみにしています