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太田のカーチスR3C-2の製作が佳境に入ります。
今から、デカールに入ってないナンバーを 手書きしようかと思います。
これは、シュナイダー・トロフィー・レースで優勝した際の 機体のCGイメージ。このマーキングを再現します。
キット事体はこのレース仕様で無いため オリジナルのマーキングを作成する事となります。
使用するのは太田オリジナルのトレーシングペーパー。
目盛りを合わせ、マーキングになる数字の3を書き込みます。
このトレーシングペーパーは スケールの目盛りで実際のサイズが分かる便利なもの。
慎重な作業が続きます。1センチに満たない数字をカッターで 切り取っていきます。
数字の部分を切り抜くと、周囲が型になります。
切り取ったマーキングの型を、胴体に貼り付けます。
マーキングに使われる塗料は、 ミスターカラーのホワイトFS17875。
型の外側をなぞる様に筆を入れていきます。
太田得意の手書きのマーキング。 その繊細さと華麗さはまさに神業です。
一応これが下書きです。
鮮やかにマーキングを書き入れていく。 そんな太田にも苦手な事があるそうです。
描きにくい数字ってあるんですか? 2が嫌いですね。2はバランスが難しいんですよ。 2は描きづらいですよね。
水上飛行機の歴史に残る、 栄光の番号「3」が記されています。
周囲を半ツヤ消しブラックの筆塗りで補正していきます。
大体こんな感じでいいですかね。 次にこの垂直尾翼に入っている白字のUSアーミーの字を 書こうと思います。 これはほとんどフリーハンドで書こうと思います。
さらに細かな作業。マスキングテープで水平をとり鉛筆で下書き。
先ほどのホワイトに、リターダーマイルドを加えます。
リターダーマイルドには塗料の乾燥を遅らせ、 光沢を増す効果があります。
一文字3ミリほどのサイズ。 バランスを考えながらフリーハンドで慎重に書き入れていきます。
フリーハンドのマーキングのコツは、文字ではなく、 記号を書き入れているつもりで書くことだと太田はいいます。
息を飲む作業は続きます。 文字の線は、はじめ細く、少しづつ太くしていきます。 筆が含んだ塗料の量にも神経を使う太田。
資料と照らし合わせ、左右の垂直尾翼に筆を走らせます。
05:01 水平をとっていたマスキングテープをはがします。
胴体のマーキングと同様、 半ツヤ消しブラックで文字の輪郭を補正。
そして、太田渾身の手書きマーキングが完成。 しかし、機体にはさらに細かなこだわりが施されます。
キットはまだちょっと機首のカウリングの部分が随分とあっさり していますので、ヒンジですとかリベットとかの ディテールを書き入れていこうと思います。
まずはエンジン周りの胴体の繋ぎ目を描いていきます。 フリーハンドで描かれる間隔は1ミリ。
次はプロペラ周りのリベット。ここはまず、 直径0・8ミリのリベット頭の部分を書き入れます。
その上にリベットで締められて影になっている部分。 その大きさは0・4ミリ。
さらにその上に、リベットの輝きを書き入れます。 その大きさは0・2ミリ。まさに点描です。
リアリティがさらに高まりました。
1ミリにも満たないリベットの書き込み。 そこには太田のカーチスR3C-2に対する 思い入れの深さが伺えます。
パネルへのリベットは更に小さなものを描きます。
リベットの大きさにまでこだわる太田。 黒一色だった胴体にも、次第にメリハリが生まれてきました。 完成時にこれら無数の小さな点が機体を引き締めることになるのです。
リベット打ちが完成。続いての工程へと移ります。
下の翼を接着します。
黄金の翼、複葉の1枚を胴体と合わせます。
エアモデルは胴体と翼が正確に交差していなければ 美しさを損ねてしまいます。
翼の角度を慎重に確認しながらテーピングで固定していきます。
この状態で、接着剤の乾燥を待ちます。そして、この間、 もうひとつの大きな作業が待っていました。
ジオラマのベースを作りたいと思います。 材料は発泡スチロールを使います。
この発泡スチロールの下半分を水にして上を桟橋のようなものを 作ります。
太田が今回作るジオラマは1925年に行われた シュナイダー・トロフィー・レースの情景。
レースを前にして、桟橋からカーチスR3C-2の優勝を信じて エールを送る作業員たちがいます。これを再現します。
まずは桟橋。発泡スチロールを重ねて作ります。
大きさとバランスを見ながら、桟橋とスロープを組む太田。
これをベースとなるスチロールボードに貼り、 水面の部分をマスキング。
まずは桟橋部分の塗装。太田はどのように表現するのか?
塗装しようと思います。今回、桟橋とスロープが コンクリート製なので、このストーン調スプレーを使用して 塗装しようと思います。
ストーン調スプレー。 吹くだけで石の質感が表現できるアクリル塗料で、 粒子の荒いことが特徴。木や鉄、プラスチック、コンクリートなど様々な素材に使用できるスグレモノ。
最速の水上飛行機の舞台が染まっていきます。
ストーン調スプレーは粒子が荒く、砂を吹き付けているかの様な 効果が表れます。
発泡スチロールがコンクリートのように変わっていきます。
桟橋の塗装が完了。水面のマスキングをはがします。
水面に機体を置き、レイアウトを決める太田。 フロートの部分に印をつけます。
フロートの水に沈む部分を削り込みます。 水上飛行機のジオラマならではの作業。 この部分は後に電極が設けられ、電池とつながります。
水面の製作。しかし、妥協を許さぬ太田の徹底振りが、 またひとつ明らかになります。
今、フロートの位置を大雑把に削って飛行機の位置を決めました。今からこの下地の海の部分を塗っていきます。
水面の色、ネービーブルーをエアブラシで吹いていきます。
桟橋の淵から塗っていきます。
水面の塗装を太田はあえてムラに吹きます。 実際の水面は底の具合によって不規則な色合いを出しています。 そのことを表現するためにわざとムラをつけた塗装にするといいます。
2色目は濃緑色1。 不規則に色が重なり合うことで、所々に色の濃淡が生まれ、 本物に近い表現ができるといいます。
3色目はインディーブルー。
インディーブルーは、濃い目の塗料で塗ります。 細かい線のような粒子が飛ぶことにより、 質感的にもムラが付いていきます。
この水面はこの後繰り出される技法でさらに鮮やかに際だちます。