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こんにちは 私はノ・ソニョンです
お会いできてうれしく思います
私は生まれてからずっと 音のない世界で生きてきました
幼い頃 電気を消した部屋で 一人で寝ていましたが
目が覚めたら 何も見えないし 聞こえませんでした
完全な暗闇の中で私はおびえていました
その時 自分の耳が聞こえない ことに気づきました
ある日 母が私の手を引っ張って トイレに連れて行きました
「水を口の中に含んで うがいするのよ」というのです
でも 私はうがいができず 水を飲んでしまいました
母はそんな私を見て 泣き崩れました
それにもかかわらず 母は私のことをあきらめませんでした
母が言葉を教えてくれたおかげで 私は5歳の頃から話せるようになりました
聴覚障害児専門のエファ学校に通っていた時 シスターの先生がこう言いました
聞こえなくても文章がうまければ 君の気持ちを何でも伝えられると
私は先生の言葉に感銘を受け その後 作家を目指すようになりました
エファ学校では手話でコミュニケーションが できたので私は幸せでした
でも 私が10歳になった時 母は一般人学校への転校を決心しました
実際 一般学校に転校してみると
先生の口を見ても何の意味なのか さっぱりわからず
クラスメートたちとのコミュニケーションにも 苦労しました
一般学校に転校した後 私の誕生日の日がやってきました
私はみんなと仲良くしたくて
40名のクラスメート宛てに 一生懸命招待のカードを書きました
いよいよ私の誕生日 一番気に入りの服を着て学校に行きました
私はクラスメートたちに話しかけました
「今日は私の誕生日なの」
「それがどうしたの?」
私は泣きながら家に帰りました
母はおいしい料理を作っていました
「お母さん!」
「お帰り!友達は連れてきた?」
「いや 一人も来てくれなかった」
私たちは一緒に泣きました
ある日 私は空を見上げながら考えました
生きていても何の意味がないから 飛び降りようとした瞬間
両親のことを思い出しました
「これからは死ぬ気で頑張って 誰にも負けない強い自分になって見せるぞ」
その後 私は人生にチャレンジし始めました
大学1年生の時 20歳になった私は 韓国国内を徒歩で一周する 「国土大長程」に参加しました
出発を前に母が言いました
「人生でもっとも重要なのは あきらめないことなんだ」と
「一度あきらめちゃうと またあきらめやすくなる」
国土を一周するのは 思ったより大変でしたが
もっと大変なのがありました
仲間の学生たちは 途中で公衆電話を見つけると
家に電話をかけて話すのです
「お母さん 私は元気だから心配しないでね 今はクァンジュに来ている」
私も母に電話をかけたかったんです
母の声が聞きたかったです
とても切実に
でも 私は母の声を聞くことができませんでした
多くの学生たちが途中であきらめて 家に帰ってしまいましたが
私は母の言葉を心に刻み 完走を果たしました
家に着いた私は ピンポンとベールを鳴して母を呼びました
「お母さん ただいま!」
母がドアを開けて何かを言いました
いったい何と言ったんでしょう
ドアを開けては どなたでしょうかと聞いてきました (私があまりにも汚くて娘だとは気づかなかったんです)
アンドレ・キムのファッション・ショーで キム・テヒさんに会ってきました
彼女宛てに手紙を出したら キム・テヒさんに会うことができました
もし私が手紙を書かなかったとしたら 彼女に会うのは不可能だったでしょう
私は世界知識フォーラムにも 参加したことがあります
私が参加するまでは
13年間 大学教授や公務員にしか 30%割引がありませんでした
障害者向けの割引がないのは
公平じゃないと判断した私は
誰にでも公平に学べるチャンスを与えるべきです
という内容で関係者にメールを送りました
その後 障害者には50%割引の法律ができ
残りは 会社からのスポンサーを受けて
世界知識フォーラムに参加することができました
現在 「ブック・フォーラム」は 著者と読者が交流できる場所です
毎週水曜日に
私は講演者として壇上に立ちました
そのテーマというのは
本は 人によって単に読まれる対象に 過ぎないものかも知れないが 私にはスピリットに等しいとのことです
普通のスピリットではなく
障害からくる不在を満たすための 切実な思いがこもったスピリットなのです
その後 私はタイピングや手話 通訳などの支援を受け
障害に妨げられることなく だれでも 一緒に交流できる場所にすることができました
私は韓国社会で3つのコンプレックスを 抱えて生きています
女性 障害者 そして 意思疎通の障害です
その偏見を打ち砕くために 私はこれまでチャレンジしてきました
私は内面の声を本に記すことができました
もし内面の声を聞けずに生きていくとしたら
その人の人生は干ばつのようなものだと思います
来年 皆さんは私の本に会うことができます
チャレンジする情熱に障害はない!
私は今日 スピーカーとして ここに立っています
これからも 聞こえない欠乏をエネルギーに
世界を変えるために私はチャレンジし続けます
ありがとうございました
日本語訳:Jiyeon Youn (lynnyoun@gmail.com)
翻訳監修:Hyun Serena Soh (interjpeng@naver.com)