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皆様こんにちは
今ご紹介頂きました竹井です
まず始めにこちらからいきたいと思います
1.5倍
これを皆さんに考えて頂きたいです
何の数字なのか
わかるでしょうか
もちろん競馬の倍率の話ではありません
カップラーメンの大きさの話でもありません
私の抜け毛の話でもありません
これは宮城県の起業率の話です
震災後 全国平均と比べて
1.5倍の起業が宮城県でありました
この数値は震災前と震災後を比べたものではなく
全国と比べた数値です
つまり 全国で一番起業率が高いところが
この被災地となっています
実際に 私達の周りでも
多くの方が起業しています
実は私は 震災前に
ある勉強会を開催しておりまして
そこに50人ほどの受講者がいました
その50人の内7人が震災後
会社を辞め 独立しました
50人中7人というのは
非常に大きいです
何故彼らは会社を辞めたのか
いくつか理由があります
それは 震災の後
そこに大きな社会問題が横たわっていると
気づくわけです
それに対して 自分が今の仕事でやっていることが
全く直結しなかったり
上司 会社 取引先といった多くのしがらみの中で
働いていたのです
こんなことをしている場合ではない
皆思うわけです
そこで思いきって会社を辞めてしまう人がいる
もう一つの理由は
今回震災があって多くの人が思ったことで
人間の人生は有限なんだな
いつ死ぬかわからないんだなということです
そこで この有限の人生を
どう有意義に過ごすか 使うかと考え
今の仕事を惰性でやっていく訳にはいかない
そう思って 方向転換をし
仕事を辞める人が多くなったのです
このような理由で辞めていく人がいました
実際私自身も このような理由で
会社を辞めた人間のひとりです
もともとは ベンチャー企業に投資をする仕事をしており
今回の震災を機に
自分の組織を作りました
MAKOTOという組織で 被災地の起業家の支援をしていこうと
活動を始めたところです
私達の支援先には
多くの方々がいます
先ほどの岩佐さんもそうですが
ジャンルはとても広く
IT サービス業 農業 伝統工芸
とてもいろいろな方々がおり
特に若くて元気のいい方がたくさん出てきています
ただ彼らにひとつ共通することは
皆さん志を持っているということ
志
私なりの定義だと 私利私欲の為ではなく
世の為 人の為に体を張ってやるんだ
これが志だと思っています
起業家の方は もっともっと上手くビジネスをやろうと思えば
別に被災地でなくてもいいかもしれない
もっと適切な地域に行けばいい
ただ 彼らはここでやりたい
ここでやるんだと言っています
それは 目の前にある大きな問題を
どうにか解決しなければならない
それに突き動かされて
体を張ってやっているんだということです
東北にはこういった素晴らしい人達が
どんどん出てきている
そして全国からどんどん集まってきている
そういうことが言えます
いくつか事例をご紹介します
ひとつは石巻にあるラポールヘアという
復興美容院です
ここでは 被災した美容師の方に
職場を提供しようと事業を展開し
さらには働く人に働きやすい職場づくりを
目指してやっています
これをやっているのは早瀬さん
早瀬さんは震災前は
東京のモッズ・ヘアジャパンの取締役だった方です
震災後 取締役という安定した職を辞め
縁も所縁も無かった石巻に入り
事業をされている
そこには思いがあるわけです
この美容業界に恩返しがしたい
自分のスキル・ノウハウを使って何ができるか
ということで活動をしています
もうひとつご紹介します
これは福島のいわき市から発信されている
ライスバーガーというものです
ハンバーガーとは違い パンの部分がライスになっています
これを福島県の食材を用いて
放射線の全数検査をして
確実に安全と言える物のみを販売し
国内 海外に展開しようとしています
取り組んでいるのは鈴木賢治さん
非常にセンシティブな面もある事業なので
色々な所から誹謗中傷を
受けたりもします
彼はもともといわき市出身で
東京で自分の会社を立ち上げてやっていました
震災後 自分の故郷に戻って
事業をやっていこう
福島を元気にしていこうと取り組まれるのですが
地元からの反対の声
受け入れられないということもあったそうです
でも彼はそれを乗り越えていきます
さらに 大して英語もできないのに
単身アメリカに渡り
アメリカのビジネスプランコンテストで
見事2位になるなど 体を張って事業をしています
彼らのような 体を張ってやっていく人がどんどん増えてきているのです
では翻って
私自身は何故こういった人達を支援する活動を始めているのか
それは6年前に遡ります
私には兄妹がいまして
私が長男で 妹 弟がいます
ところが6年前に妹が自殺しました
妹は世の中の役に立ちたいと頑張っていました
ただ 何をやっても上手くいかない
妹は実際頑張っていたと思います
色々な仕事を見つけてきて
それにチャレンジし
何とか出来ないかとやっていましたが
上手くいかない
精神的に落ち込んでしまってからは
体力をつけようということで
毎日マラソンをしていました
しかし ついに起き上がれなくなってしまい
床に伏す形になってしまいました
何の役にも立てていない自分
そんな自分に思い悩み
ついに妹は自殺をしてしまいました
今回 震災で身近な人を亡くした方も多くいらっしゃると思います
本当に悲しいことです
私自身も私の家族も
ずっと悲しみの淵に追いやられました
この妹の死から
色々考えさせられました
特に思ったのが
この世の中がどんどん人間にとって
生きにくくなっているのではないかということです
特に日本には年間3万人も自殺してしまう方がいる
言ってみればこの人達は
炭鉱のカナリアみたいな存在ではないでしょうか
どんどん生きにくくなっているこの世の中に
警鐘を鳴らしているのではないか
それを感じた時に
これをどこかで断ち切らなければならない
どこかで良くしなければいけないと感じました
何かしなければならない
そう悶々としている中 今回の震災が起きました
沿岸で大変な状態になっている
経済的にもどんどん苦しい人達が増えていく
こうして不幸の連鎖が生まれるのは
明確にイメージできました
そうだとすると
今動かないでいつ私は動くのだと
今やらないでいつやるのだと そう強く思い
今回のMAKOTOという活動を始めたわけです
これは被災地に限らない問題だと思います
今世界中で 特に先進国では
高い失業率や心の病にかかる方もどんどん増えてきています
まさにこういった幸せを感じられない世界になってきているのではないかと
これは大きな社会問題です
ただ これに気付いた人達がどんどん動き出しています
NPOでも大手の企業でも
取り組みをしている方が増えてきています
今後世界は 幸せ感を産める方向に発展していけると思っています
その時に東北はどういった位置にいるのか
その時に東北は
こういった動きの最前線にいるのではないかと
私は思っています
人の幸せとは何なのか
それを最も真剣に 最も深く考えてる人
それは他でもない
東北の人達なのではないでしょうか
深い悲しみがあったからこそ
深い気付きがある
東北はまさに最前線なのではないかという風に思います
そしてこの人達の中から
次の時代のリーダーが出る
私はそう確信しています
戦後の焼け野原の跡からは
SONY HONDAが出てきて立て直していった
阪神淡路大震災の時もそうで
色々な方々が出てきた
特に楽天の三木谷さんは
友人を多く亡くし
これが起業の契機になったと聞きます
今後そういう人達が必ず出てくると思っています
それから この東北は
今一番物事を変え易くなっているのではないかと思います
いわば 日本の中のフロンティアだと思っています
ここからどんどん世の中を変えていく
日本を変えていく いや
日本を変えていかなくてはいけないのだと
そう思います
私はこういった形でチャレンジする人達の
応援したい 力になりたいと思っています
世の中を良くしたいという人達を支援する
最も成功させられるような仕組みづくりをしたい
そうすると それぞれの方々が
色々な側面から世の中を良くしていく
それが力を合わせれば
今の世の中ではない
どんどん悪くなっていく流れを断ち切ることができるのではないかと
それを 今まさにここからやらなくてはならないのだ
ということでやっています
微力ではありますが 私としては
全身全霊でこれに懸けていく所存です
ご清聴ありがとうございました