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ここ百年くらいの間に
やっと元素の原子核が 不変でないことがわかりました
ある元素が突然 別のものに変わったりするんです
この過程で放射線を出す能力を放射能といいます
原子核についてはいろいろ知っていますよね
原子よりずっと小さいとか
陽子と中性子という 素粒子でできているとか
電子がまわりを回っているとか
それに原子同士が結びつくと 電子を共有したり交換する事はあっても
原子核自体は絶対に変わらないとか
そうですよね?
でも 実は違うんです
原子核の中には安定してないのもあるんです
そういうものは突然 別のものに
瞬間的に変わったりします
放射性のある原子核は 素粒子を放出して
別の元素になります コロッと変わるんです
例えば
炭素の原子核は電子を放出して
窒素の原子核になったりします
放射性の核から放出される素粒子には 2種類ありますが
両方同時に放出される事はありません
すごいスピードで放出される電子は ベータ粒子と呼ばれます
電子の知識がある人は こう思うかもしれません
「原子核の中に電子なんかあったっけ?」
実は原子核の中で中性子が
突然陽子に変わり
核の中に残る一方
電子がベータ線となって飛び出してきます
化学の授業では習わなかったことです
原子核は安定しているのが当然で
中性子が陽子に変わるなんて 教わりませんでした
でも 実はそういうことが起こるのです
不安定な核から排出される素粒子の
2つ目はアルファ粒子です
アルファ粒子はベータ粒子に比べると 8千倍の質量を持っています
だから飛ぶのもゆっくりです
アルファ粒子は陽子2つと 中性子2つでできています
出てくるアルファ粒子を集めると
ヘリウムの気体が得られます
アルファ粒子はヘリウムの原子核と 同じなんです
ベータ粒子と同様 これにもびっくりします
別の重たい原子核がヘリウムを放出するなんて
でも これも 時に起こります
そして原子核は違う元素のものになります
放射能は人類の役に立つものでしょうか それとも単に危険なものでしょうか?
みなさんの身近に
アルファ粒子を出す装置があるはずです
アルファ粒子を出す装置があるはずです
煙感知器です
元となるのは放射性アメリシウム
でもこのアルファ粒子は 全く危険ではありません
空気中では2センチほどしか進めないからです
ベータ粒子というとそうはいきません
アルファ粒子より物質の中を深く貫通していきます
放射性原子は医療分野で トレーサーとして
体内での化学物質の動きを 見るために使われています
ここで出るベータ粒子は 十分なエネルギーがあるので
体外から検出する事ができるのです
放射線にはもう一つ種類があります
この3番目のガンマ線は粒子ではありません
電磁波です
マイクロ波や光の仲間ですが
可視光線と比べ千倍もの エネルギーを持っています
ガンマ線は体を簡単につき抜けます
ガンマ線は果物に照射して殺菌し 貯蔵期間を延長したり
ガンの治療にも使われます
放射性物質は熱を出すので
この熱を使って発電にも使われます
この熱は宇宙探査ロケットや
過去には心臓のペースメーカにも 使われていました
放射線が急激に減速されるほど
あたった原子に対する損傷が大きくなります
これはイオン化と呼ばれます
原子にぶつかると アルファ線が イオン化を最も多く起こし
ガンマ線は一番少ないです
人間にとって一番こわい放射線の影響は
体内のDNAの損傷です
アルファ粒子は 私たちの皮膚を 通り抜ける事は出来ませんが
放射性物質を吸い込んだり 経口摂取した場合
人体に大きな害を与えます
放射能は暮らしに役立つ反面 危険でもあります
でも自然界のあらゆる場所に 身近に存在しているのです