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皆さん、こんにちは! そして、グローバルゲームジャム2012へようこそ!
私の名前は、ゴードン・ベラミーです。 国際ゲーム開発者協会(IGDA)の専務理事を務めています。
私達は、この世界最大のゲーム開発イベントを 主催することを大変誇らしく思っています。
今日、私は、世界規模で展開している大手ゲーム会社の ひとつであるロンドンのSI Games社に立ち寄ったところです。
いま,すごい事が起ころうとしています。 この週末に45カ国以上の国々がこのイベントに参加し、
1万人の参加者が、皆さんと共にゲームを 開発するという記録が生まれようとしています。
これからの48時間で、イノベーションが起こり、 コラボレーションが起こります、そして、 これが一番大事なことですが、楽しいことが起こります!
皆さんが素晴らしい時間を過ごせることを願っています。 そして、皆さんがこの週末に開発するボードゲームや,
コンピュータゲーム,あるいはそれらの範囲をを越えたもの まで,みなさんがつくったものを共有し,プレイすることを 楽しみにしています。
これ以上とやかく言うのはやめて,さっそくはじめましょう、 まずは世界各地からのすばらしい基調講演を楽しんでださい。
ありがとうございました!
「グローバルゲームジャム2012」へようこそ!
私は、ブレンダ・ゴーノ・ブラスウェイト、 そして、僕は、ジョン ロメロです。 私達は、Loot Drop社で一緒に働いてます。
ジョンと私は、一緒に、 3つのゲームを作りました。
最新作は「Ravenwood Fair」で、 いくつかの賞にノミネートされました。
僕の「Cloudforest Expedition」も、 ブレンダと一緒に作ったものなんです。
くわしい事は言えないんですが、 私達は今も一緒にゲームを作っています。 素敵なゲームです。ええ、とっても素敵ね。
今年、そのゲームはリリースされると思います。
さて、みなさんがコラボレーションを行う際に まず最初にすべきことは「縛り」を知ることです。
みなさんには週末の間しか開発時間がありません。 それは、半年でゲームを1本開発する私たちの仕事よりも さらにクレイジーなことです。そして、少人数のチームで、 ゲーム開発をしたことがない人とチームを組むかもしれない。
ここでありがちな最大の失敗は、 ゲームデザインで欲張りすぎることです。
この過ちは、ゲーム専攻の卒業制作のプロジェクトで とてもよく起こるものです。
この週末の短い期間では、それはさらにひどくなります。 だから、ゲームデザインに盛るのはまっとうな量に とどめておきましょう。
私がこれまで参加したグローバルゲームジャムでは、 プログラマにこんなことを頼んでるのをよく見かけました。
4人のプログラマが2ヶ月かかるほどのゲームをデザインして、 週末に一人のプログラマに組ませるんです。
また、デザインするゲームに必要な機能をあらかじめ 備えているゲームエンジンを使うことも大切です。
なぜなら、プログラムやデザインを書き込まずに 済むかもしれないからです。だから、みなさんが ゲームエンジンやフレームワークを使っているなら、 それはみなさんのデザインに強く影響します。
ゲーム開発を始める前に、チームのメンバーに 「どんなスキルを持っているのか」、 「何ができるのか」を聞いて調査しましょう。
私の古い友人の言葉を紹介しましょう。 「ゲームをデザインして、必要なものはすべて 設計したと納得できたら、ただちに削りなさい。
3分の2を削れば、 期限内にゲームを完成させられるでしょう。」
もし、私達2人が言ってることが信じられなければ、 作家のジョン・スタインベックがこう言ってます。
ジョン・スタインベックいわく: 「音楽であろうと、芸術であろうと、詩であろうと、 数学であろうと、哲学であろうと、ゲームであろうと、 うまくいくコラボレーションなんてありはしない。」
「もし、うまくいくような奇跡が起こったら、 そのグループは、その上にさらに積み上げようとする。 しかし、そのグループは何も生み出すことはない。」
「彼らの傑作は、一人の男の精神の中にのみ 宿っている。」
当時のジョン・スタインベックは政治的に正しい 発言をしていなかったので(^^)、 この場合「男」は「男または女」のことです。
まぁ、とにかく、ゲーム開発についてつけくわえます。
決定を下せる人が一人いることで、 物事をより良い方向に導くことができます。
リーダーにする人について話し合う時に、それは、 絶対的な権限を持つ人を選ぶということではありません。
リーダーになる人は、意見をもらうことに対して オープンであり、意見を受け入れることに 卓越している必要があります。
より早く実装するためには、リーダーが 機能をどうやって削ったり、設計し直すかを 知っていることがとても重要です。
ジョンのゲームから実際の例を紹介しましょう。 彼は「Cloud Forest」というゲームを作っていました。 そのゲームデザインには、私が理解できない 機能がひとつありました。
私は、ゲームのデザインを賢く動かすやり方は理解して いましたが、その方法はゲームプレイヤーの視点に 立つと効果がありませんでした。
彼は、私の思っている事を必ずしもわかっていない ようでした。彼は、そのゲームをプレイした時、 同じようには感じなかったのです。
でも彼は、それが私にとって深刻な問題であり、 他のメンバーにとっても深刻な問題だということは 理解していました。
そこで、彼はそのままにせずにこう言ったのです。 「僕は、その件に関してよくわかっていない。 僕は、その件を理解できていない、 その件は僕にとっては問題にならないんだ。」
彼は、できるだけ多くのプレイヤーを満足させたいと 心がけていました。
だから、かれは他のメンバーからの意見にもとづいて、 少しデザインを直したんです。
誰がリーダーであっても、彼と同じように 意見を受け入れるようにする必要があります。
週末の間ずっと、ゲームデザインの些細な部分について 延々と議論しようとする、そんな光景をこれまでに コラボレーションの中でよく見かけました。
みなさんができる最良の方法は、できるだけ早い段階で、 その要素をゲームに取り入れることです。e,
そうすれば、それが良いものなのか悪いものなのかは、 そのゲームそのものが示してくれるでしょう。
ゲームは決して嘘をつかないのです!
もう一つ注意しておくべきこととして、 チームメンバーに弱点があれば、ゲームも それ以上は強くならない、ということが挙げられます。
ゲーム専攻の多くの学生プロジェクトでは、最終的に、
リーダーが、彼の後ろの床の上で寝ている他のメンバー のために、全てのデバッグやコーディングを引き受けて いるという状況がよく起こります。
この週末、開発をリーダー任せにするようなこと はやめましょう。
少なくとも、そういうことをするのは、 社会人になってからにしましょう。
私は、そういう人たちをずっと見てきたんです。
ですから、みなさんがすべきことはただひとつ、 自分の仕事を自分で担うということです。
みなさんが出来る作業分を明確にしましょう。 そうすれば、みなさんはその作業分を担当できるはずです。
しかし、時々「俺に全部まかせろと言ってゲームジャム や切迫した状況につっこんでいく人がいます。
そして実際には、そんなことはできませんでした。人は 自分が思っているほどうまくできるわけではないのです。
みなさんがやれる作業量をちゃんと把握しましょう。 そして、自分が受け持つと決めた担当は、 この週末のあいだずっと受け持つと決めましょう。
この週末が終わった時に、もう一度いっしょに仕事を したい、という人がいるかもしれません。
あるいは、もう二度と一緒に仕事をしないという人も いるかもしれません。忘れないようにしてください。
この場を、ゲーム産業に入る時の 最初の面接だと想像してください。
みなさんの周りにゲーム産業に入る方法を見つけようと している人がいるかもしれないし、みなさんの履歴書が、 彼らの机の上に置いてあるかもしれません。
みなさんは、彼らに「いいね!僕は、本気で この彼と一緒に仕事がしたいよ。」とか、
「うわぁ、彼女とは絶対に一緒に仕事を したくないね。」とか言われかねないわけです。
(この例え)性別を逆にすべきだったわ ^_^
最後にもう一つだけ大切なことは、週末をかけて争いあっても たいした意味は無い、ということです。
「"たかが"ゲームだ」って言うじゃないですか。 そう、「"たかが"ゲーム」。
私達が作っているゲームは、 何100万ドルかけていようとも、「"たかが"ゲーム」です。
私は「"ただの"ゲームだ」とは呼びませんが, ゲームとはそういうものです。 そして私は、お互いを憎み合ってる状態で、素晴らしい ゲームを作れたチームを見たことがないんです。
みなさんの間に意見の不一致があったとしても、 皆さんは楽しむために、ここに来ている ということを忘れないで下さい。
皆さんは、楽しいものを作るために、そして、 素晴らしい週末を過ごすために、 ここに来ているということを忘れないで下さい。
このイベントが終わった時、おそらく2日間は 眠る時間をとるとよいでしょう。
ですから、このイベントが続くうちは 最後まで楽しんでください。
皆さんのチームリーダーをリスペクトしてください。 リーダーは、何かが議論の対象になった時に その意思決定をくだせる人です。
ジョンと私の場合は、 多少のあざをつくった以外は・・・
確かに、ジョンと私は、ゲームを開発してる時に 口喧嘩をすることもあります。 でも、それって、普段どのくらいつづくかしら?
と言うか、口喧嘩になったことなんて無いわよね・・・。 ええ、さっきの話は嘘だったわ! ^_^
真面目な話で、私達がゲームを作る際に、 今まで口喧嘩になったことあったかしら? 僕は、なかったと思うよ。
私達が口喧嘩をしたとは思っていません。
つまり,もしも私がジョンのデザインに反対だったり、 彼がデザインしているものに何か問題を感じながらも 彼の方法に乗っかっているような場合には、
私達がやらなければならないことは、 ただそのことをしっかり話しあう事です。
ここに、皆さんに考えてほしいことがあります。 つまり突き詰めれば、私は、ジョンをゲームデザイナー としてリスペクトしている。そして、彼もまた私を ゲームデザイナーとしてリスペクトしている。
私達がお互いに意見を交わしあう時には、 「あんた何言ってるの?」 と言うことにはならないのです。
お互いをリスペクトする中で、 意見を交わしあうのです。
それでは、皆さん、楽しんでください!
私達の話を楽しんでもらえたんじゃないかしら。 では、素晴らしい週末を。幸運を祈ります!
みなさん、こんにちは! 私の名前は ゴンサロ・フラスカ(Gonzalo Frasca)です。
今日こうやって世界中の皆さんに お会いできるを大変光栄に感じています。
私は、このグローバルゲームジャムを 最高に素敵なイベントだと思ってます。
さてそれでは、ウルグアイから 基調講演をいたしましょう!
ウルグアイは、このあたり・・・
ウルグアイは、とっても小さな国ですが、 たくさんのゲームが作られています。
私のゲーム会社は、今年で10年目を迎えますが、 ウルグアイでも、この10年で、いろんなことがありました。
例えば、ウルグアイでは、すべての子供達に ノートパソコンを与える政策を行ってきました。
ウルグアイでは、学校に通うすべての子供達に、無償で ノートパソコンを与えられ、みんなオンライン上でつながって いるのです。これって、すごく素敵なことですよね。
さて、今日は皆さんに、 ちょっとしたお話を紹介したいと思います。
この話が、皆さんの今日のゲーム開発に役立てば幸いです。
とってもシンプルなお話です。先ほど、 私の国ウルグアイは、とっても小さいと国だと 言いましたよね。人口もたったの350万人程度です。
もちろん、サッカーでは 世界の中でも強豪国です
前回(2010年)のサッカーのワールドカップでは、 最終的に私達は負けはしましたが、順位は4位でした。
私達のような小さな国が、私達より大きな国を 相手に勝ち進んでいったのです。
誰も、ウルグアイがこんなに勝ち進むとは 予想してなかったし、国民である私達でさえ、 この結果を予想してませんでした。
そのワールドカップの時、私の会社は、 ハリウッドにある取引先の会社のために あるゲームを作っていました。
そう、あの時は、毎週電話会議をやってましたね。
そんなある日、その取引先の社員の方が、 電話越しに興奮して話しかけてきました。 「今、信じられないことが起こってる。」
「テレビでウルグアイの事が取り上げられているんだ!!!」
「まぁ、どうか悪く思わないでほしいんだが、 ウルグアイの事がニュース取り上げられるなんて、 今まで一度もなかったんだ!」
「ウルグアイは、ワールドカップで すごい試合をしているよ。」
私は、「そうでしょう、ウルグアイの国民も、 ワールドカップでの勝利を喜んでるよ。」 と返事をしておきました。
ウルグアイがワールドカップで勝ち続けたので、 取引先の社員の方々との電話会議の内容も はずむようになってきました。
彼らも、ウルグアイの試合に大変興奮していました。 私達が、彼らにウルグアイの応援歌を教えたので、 彼らもウルグアイの試合を応援してくれました。
ウルグアイが勝ち続けたので、みんなが興奮していました。
取引先の社員の方々もサッカーが好きになり、 そしてウルグアイの事も好きになってくれました。
しかしながら、ウルグアイは最終戦で負け、 結果4位になりました。
それにもかかわらず、ウルグアイでは、ワールドカップでの 偉業を讃え、盛大な祝賀会が行われました。ウルグアイ国民 みんなが、ワールドカップでの結果に喜んだのです。
しかしながら、その試合後の電話会議で、 取引先の社員の方々は、とっても落ち込んでいました。
そして、彼らは私達も悲しんでいると思って、 私達を励まそうとしていました。
私は、彼らに説明しました。 「ウルグアイのサッカーは、ここ何十年もうまくいかない 時期が続いていました。
しかしながら停滞期の末に、やっと得た この偉大な結果に、私達ウルグアイ国民は、 みんなとっても興奮しているんですよ。」と。
それでも、彼らは私が言っている事が理解できて いませんでした。彼らは、私達がそうは言っても、 本当は落ち込んでるんだと思ってました。
彼らは、「次は一位を取れるよ。」とか言っていました。
彼らは、私達ウルグアイ国民が 本当にワールドカップの結果を喜んでいるという事を
理解できていませんでした。
仕方がないので、最終的には、こう言いました。
「実は、あの結果はとっても悲惨でした。
私達は、みんな、すごく落ち込んでます。」ってね。
彼らは、その説明を聞いて納得したようでした。
さて、私がこの話を、みなさんにお伝えしたいと 思ったのは、この話は
みなさんがどんなに偉大な人物であるとか、 みなさんに何か失敗した過去があったとかいうことも、
全然重要ではないことを示しているからです。
「勝利」は、勝利という事にしかすぎません。
試合で一番になるという事は、
挑戦する余地が無くなるということです。
本当に大事なのは、 勝利でなく、レベルアップすることなのです。
同様に、素晴らしいゲームを作ることは大事な事です。
しかしながら、もっと大事なのは、 あなた自身がレベルアップしているかどうかという事です。
ワールドカップでのウルグアイの業績は、 ウルグアイの人々を喜ばせました。
なぜなら、ウルグアイのサッカーが レベルアップしたからです。
そして今日、このグローバルゲームジャムで、 あなたも同じことが出来るはずです。
あなた自身が、ゲーム産業や インディーズ系のゲームシーンや
この宇宙や芸術の分野を、
変える事は出来ないかもしれません。
しかし、あなたは、あなた自身を 変えるチャンスを持っています。
これが、私が言いたかったことです。
レベルアップすることは、幸せの原動力です。
だから、レベルアップしましょう。 新しいことを学ぶのです!
あなたの開発するゲームと あなた自身を常に向上させていきましょう!
では、さようなら!
Because this keynote theme is "Innovative"
I'd like to talk about what "Innovative" means to me.
Probably, an innovative idea doesn't come from one single thing,
but comes from the combination of many things, many people and many thoughts.
Just like the English word: "Serendipity"
When we discover brand new things instead of existing ones.
That's what I think it leads us to an innovative idea.
It seems a bit strange to say "One causes a Serendipity"
but to increase the possibility that it occurs let's start by making a "Springboard" for it.
As a kid, when you draw a picture, you were probably given a white canvas.
I think that's an old fashioned way,
because there is no "Catalyst" to create new things.
Nowadays, as grown-ups we find various kinds of rules and we can choose and enjoy what we use and how we use it.
So, I think it's better to combine those rules, and make new ideas.
For example: In the case of that white canvas I said,
Let's try to make a cat walk on the canvas...
Or run over the canvas with a car and print a tire trace on it...
Or spill tea or coffee on the canvas.
That way you can find something out of it Or, what's even better: It can inspire new ideas.
For another example in terms of programming: We tend to narrow perspectives when we program for many consecutive hours.
So, it's good to just start from scratch when you fall into such case
and try to give a ridiculous new value, such as the birthday of you or your girlfriend, as a new parameter.
Perhaps, you will be able to find something you failed to see before.
As an example, I'd like to introduce my own experience.
A while ago, I got bored of using the same favorite colors in my graphic designs.
So, I went to a shop to buy new paints, closed my eyes and grabbed paints randomly from the shelves.
All the paints I grabbed were sort of green. But I bought them anyway and went back to draw a picture.
Of course, I couldn't get what I had in mind. But I was able to find new ideas and a totally different approach.
I think such challenges are very interesting.
"Pixel Junk Eden" is another example of my work.
I used bugged graphics from an 8bit video game console as elements to develop a game.
I actually tried roughly placing the cartridges and make really noisy graphics.
I stared at those graphics for a while and then patterns or stories started to come up from there!
That's a very useful way to get random ideas. Plus it gives immediate results, especially good for fast prototyping needs like the Global Game Jam.
For one more example: When you draw a self-portrait you can draw a profile of your face,
Or you can draw it using background elements to gradually make a face-like shape out of them.
Although each process is different, either way you take will finally get you a self-portrait.
Those ways of turning over traditional methods have the possibility to yield something full of exciting new things and inspiration.
So let's challenge to turn over traditional ways!
Finally, I'd like to talk about "making something". To "make something" is similar to sending a love-letter.
If you send a love-letter to a person you know, this person will reply that letter.
but, if you send love-letters to one million people, probably you can't get replies from each and all of them.
It's better if you focus on a small personal target rather than a huge global one.
All of us find it nice when things are made to please our personal needs.
So I'm happy if you find the way to make something that's not only for everyone.
But first and mainly important to you. And then broadens being appreciated by a lot of people.
こんにちは、「Stupid Fun Club」の 最高経営責任者を務めているウィル・ライトです。 グローバルゲームジャムの基調講演をはじめます。
ゲームを設計するということを考えたときに、
誰もが、それぞれの独自の方法を持ってると思うんです。
基本的に、自分自身の方法を確立して、 その方法を使うのが最も大事なことです。
ゲームを設計する方法として、 皆さんが選べる方法は沢山あります。
今日は、私が普段使っている方法や 私がゲームを設計する際に考えている 私の思考の過程について、皆さんにお伝えすることで、
それが皆さんの刺激になれば幸いです。
基本的に、私がゲームを設計する時には、 私が今まで読んできた本から 多くの「ひらめき」を得ています。
人によって「ひらめき」を得るものは 様々だと思いますが、私の場合は、 概ね、私が今まで読んできた本ですね。
私が作ってきたゲームは、私が楽しんできた様々な本から 「ひらめき」を得たものが沢山あります。
それは、ある特定の題材の本だったり することもあるのですが、
そういったある特定の題材が私を惹きつけ、 私はその題材に引き込まれていくのです。
そして私は、どうすれば、 ユーザーの方々がその題材を楽しみ、 私と同じように、その題材に心を惹かれるのか、 その方法を明らかにしていくのです。
ここに、ゲームデザインの手法に関する本が沢山あります。
これらの本は、ゲームを設計するための職人芸を 学ぶのには、大変素晴らしい本です。 しかし私は、これらの本から「ひらめき」を 得ることはできないのではないかと思っています。
多くの人がゲームの設計を始めるときに、 こういうことを言うと思います。 「一人称視点のシューティングゲームを作ろうか それとも、リアルタイムストラテジーを作ろうか」
しかし、私は、ゲームを設計する時に ゲームのジャンルから入ろうとはしません。 いつも題材から入るのです。
(私の場合は、)2、3冊の本をランダムに選んで、 それらの本を読んでいると
ある時、「ああ、なんかアイディアが見えてきたぞ」 という感じに、アイディアが思い浮かぶのです。
その中に、自分が追い求めていたアイディアが見つかったら、
そのアイディアに対して、もう一度はじめに戻って考え直し、 そのアイディアを何度も巡回するのです。
頭の中で、自分が取りたいゲームデザインの方向性を 明確に組み立てようとするのです。
このことが、次のステップへと導いてくれます。 そう、プロトタイプを作り始めることです。
プロトタイピングには、様々な目標があります。
私がプロトタイプを作り始める時の、最初の目標は、
ゲームのメカニズムをどのように作っていくかを 明確にしていくことです。
それは、ゲームを構成している 各要素の断片に眼を向け、
それらの断片をどのように組み立てていくのか、 そして、それらの各断片は組み合わせることが可能なものか、
そして、作業コストはどのくらい掛かるのか、 そういったことを考える
とても技術的な探索なのです。
そういったことを考えることは、 チームを構成する人数やゲームの規模を 決めていく手助けになるでしょう。
もっと直接的なインタラクションを 取り込むプロトタイプの方法もあります。
その方法とは、じっくりとプレイする中で、
美学的にどう感じるのか, 心理学的に,動機付けの視点から見て、 どのように感じるのかを,
検証できるようなプロトタイプ作りです。
ゲームジャムの場合、皆さんは、これらのことを 日単位や週単位でなく、分単位や時間帯で 進めることになるでしょう。
基本的に皆さんは、出来る限り早い段階で、プレイ可能な プロトタイプを作りたいと考えると思います。
so you can really start touching it. だから皆さんは、次のことから 考え始めることになると思います。 「何がしたくて、何がしたくないのか」 「何をやるべきで、何をやらないべきなのか」
ゲームというものはインタラクションの塊です。
だから、出来るだけ早い段階で、触って操作することが 出来るようなインタラクションの部分を作れば、 より良い(プロトタイピングになる)と思います。
ゲームデザイナーとして、皆さんが実際にやることは、 設計という広大な空間を探索していくことです。
皆さんは、漠然としたアイデアからスタートして、
そして、そのゲームデザインが取り得る 可能性がある全ての枝に目を向け、
そして、出来るだけ効率を図るために、 それらの枝を刈り取っていきます。
例えば、皆さんのゲームデザインを 樹木としてイメージしてください。
皆さんは、木の根元にいます。 そう、まだ漠然としたアイデアです。
その木の根元から出発して、
プロトタイピングの枝を渡って行きましょう。 そのうち皆さんは、重大な決定を 迫られることになるでしょう。
そう、そのゲームが、 リアルタイムのゲームなのか、 複数プレイのゲームなのか、 永続的に続くゲームなのか、等々です。
そういった重大な要素を決定をすることで、 皆さんは、更に別の枝にたどり着くことになります。
枝の分岐点にたどり着く度に、 皆さんは、そのアイディアをフィルターに掛け厳選し、 その他の選択肢の枝を消していきます。
一つの選択肢を選んだら、 基本的に、そのゲームデザインが 取る得る可能性がある他の枝をすべて切り捨てます。
そうすることで、皆さんは、最終的に、 一つの葉にたどり着くでしょう。
皆さんは、ゲームデザインを考える最初の過程では、 自分が目指している葉がどこにあるのわかりません。
しかし、各枝の分岐点ごとに、 自分のゲームデザインの方向性がわかっていくのです。
皆さんは、各分岐点ごとに、自分がどういう方向に 進んでいきたいのかを明確にするために、
さわり心地や、プレイテスト、技術的要素に 関するプロトタイピングをやっていくのです。
皆さんが、正しい選択をしていたら、最終的に、 ある一本の枝を登りつめるでしょう。
それが、皆さんが、 これから製品にしていくゲームになるのです。
基本的に、ゲームデザインの過程では、その多くの時間を プロトタイプを作りやテストすることに費やされます。
ゲームの設計を進めていく上で、 実際に物を作るのと同様に重要な過程があります。 それは、どうすれば最も効果的に、自分のゲームデザインを 伝えれるかということを考えることです。
(ゲームを設計する中で)私達は、何度も何度も、 絵や表現やそのゲームを包むメタファー等の 方向性を変えていきます。
それらのものは、徐々に時間をかけて より洗練されていくことでしょう。
そして私達は、自分のアイディアの もっと効果的な伝え方がわかるでしょう。
ある人が、棚にある(ゲームの)パッケージを見ている状況を 想定しましょう。さて、どうすれば、その人に、その パッケージをとってみようと思わせ、そのパッケージの 裏表紙(の説明)を見てみたいと思わせれるのでしょうか?
この答えに見つけ出していくために、友達に自分のゲームの アイディアを伝えたり、そのゲームのアイディアについて 記述したりすることに沢山の時間を費やす事で、
ユーザーが嫌う要素だったり、興味や モチベーションを引く要素を明らかにしていくのです。
さてこれから、私達は実際に、(先ほどの例えを) 考える作業を始めることになるでしょう。
多くの場合、ゲームを設計する初期段階で、 私は、そのゲームの仮のパッケージを作ります。
パッケージの裏表紙には、(製品のパッケージと同様に) このゲームのセールスポイントやゲームについての 説明等を載せるようにします。
基本的にこの作業は、ゲームをやろうと思わない人に対して、 どうすれば、このゲームのアイディアをうまく伝えれるのか とういことを、私自身が理解するための作業です。
自分のゲームのアイディアを人に伝える方法を考えることは、 ゲームの内容そのものと同じくらい重要です。なぜなら、 そのゲームが、ユーザーにとって面白そうに見えなければ、 それを手にとって遊ぼうとは思わないからです。
彼らが面白そうだと思わなければ、 ゲームをプレイしてもらう機会は無いでしょう。
そのゲームが、なぜ面白いのか、 なぜユーザーがそのゲームをやろうと思うのか、
そういったゲームのアイディアを概念的に表現する事は、 素晴らしいゲームを作るのと同じくらい大事な事です。
それでは皆さんの幸運を祈ります。 (皆さんが作るゲームの)パッケージに 何を書くのか考えてください。
ゲームデザイナーとして、皆さんが ゲームを設計する過程を通じて考え出した方法を、 解明してみてください。
皆さんが楽しいと思うもの,楽しめる物を作りましょう!
では、またお会いましょう!
Global Game Jam 基調講演 by ウィル・ライト