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銃器は人を魅了する
木材を見て 銃器を作ろうと考えるのはー
それほど珍しいことじゃない
でも銃器を使い 別の物を作ることもできる
僕が考えるアートとは 本質的にネガティブな物をー
ポジティブな物に変える方法を 見つけること
そこに意義があると信じてる
『ディスアーム』 メキシコシティ(2013年)
[ディスアーム ペドロ・レイエス]
【ビジュアル・アーティスト ペドロ・レイエス】 僕はプラスチック・アーティストでー
ビジュアル・アーティストでもある
自分では彫刻家だと思ってるけどー
彫刻と違い 人々に直接 訴えかける要素の強い作品ばかりだ
社会や人々の意識を 変えられるようなー
そんな作品を作りたい
『ディスアーム』という作品の すばらしい点はー
音楽と彫刻を結びつけたところだ
さらに技術も融合させた
これは...
金属にとっての〝解放〟だ
もしかしたら君や僕の命をー
奪ってたかもしれない
楽器にした方がいい
『ディスアーム』は 他の作品から生まれたんだ
2007年に始めたー
『パラス・ポル・ピストラス』だ
犯罪が多発していた クリアカンという町でー
銃器の寄付を募る キャンペーンを行ったんだ
集まった1527丁の銃を溶かし 同じ数のシャベルを作った
『パラス・ポル・ピストラス』 クリアカン(2008年)
『パラス・ポル・ピストラス』の あとー
犯罪防止委員会で働く友人が 教えてくれた
シウダフアレスで 大量の銃器が集められるとね
寄付ではなく 当局が犯罪組織から押収した銃器だ
メキシコシティに送られー
僕の手元に届いた時には 使えないように分解されてた
それを見て 前回とは違う作品にしたいと考えー
楽器を作ることを思いついたんだ
そして最初の楽器が誕生した
芸術財団アルムノス47の 支援のおかげでね
作品を作る際に参考にしたのは ギターやベース サックス
そして木琴などの一般的な楽器だ
『イマジン』 メキシコシティ(2012年)
楽器が完成したら 次のステップに移る
楽器の機械化だ
機械化は僕のワークショップである ココラボでー
アレハンドロ・マチョロの 指揮の下 行った
我々の目的は ミュージシャンがー
【ココラボ アレハンドロ・マチョロ】 ソフトを使って作曲できる機械を 作ることだった
しかもその音楽を 銃器で奏でなきゃならない
すべてが挑戦だったけど 中でも複雑だったのはー
銃器ならではの音を出すことだ
そこで本物のミュージシャンを 呼ぶことにした
真っ先に浮かんだのはー
エディだった
【ミュージシャン エディ・キスラー】
『ディスアーム』に参加したオレはー
まず 金属の音を知ることから始めた
どんな音が出るのかを調べるのは 大変だったよ
叩いたり ぶつけ合ったり こすったりしながら
あらゆる音を引き出した
友人で電子音楽プロデューサーのー
フリアンにも協力してもらった
実際に作品に使われる楽器でー
曲を作ることはできなかった
楽器の制作と作曲が 同時進行で行われてたからね
そこでオレたちは 銃器の出す すべての音を録音してー
スタジオに持ち込んだ
そしてサンプラーを使って 音を分類したんだ
そうすればサンプル音源を キーボードに取り込むことができる
そうやって すべての音の サンプル音源を完成させたらー
スタジオにこもって曲作りを始めた
機械が演奏する様子を見た時ー
「ただ聴くだけじゃ 伝わらない」と思った
音を奏でる機械を見なきゃ 意味がない
音楽と機械は切り離せないんだ
複雑な旋律が書かれた 楽譜のようなものでー
譜面だけじゃ分からない
音と連動する機械の動きを見て 初めて伝わるのさ
これは目で見て楽しめる ビジュアル作品でもある
コンピューターの中の 音楽の世界を表現してるからね
テクノロジーの善悪を決めるのはー
使い方次第だ
作品を作った理由は1つ
金属でできたこれらの銃器はー
互いを殺し合う人間の本能の象徴だ
僕がそれを楽器に変えたのはー
音楽が最も美しい コミュニケーションの形だからさ