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ブルガリアの伝統工芸
子供に自信を与えるのは能力の上達だとすれば、
国民の自信を与えるのは工芸の発展だと言えます。
ブルガリアで伝統工芸が栄えたのは、
民族復興期です。
機能性を重視した美観が定着してきます。
工芸の訓練は幼年期に始まり、
技は親から子へと伝わっていました。
しかし一人前と認めてもらうには、
組合の前でその腕を見せなければなりませんでした。
組合の許可が下りて初めて開店することができ、
一人で工芸品を作ることが許されました。
ブルガリアにおける陶器の伝統は
ローマ時代に原点があります。
壷、水飲み、皿、ポットなどは
土で作った芸術作品です。
自然からヒントを得ただけに、
シンプルかつ美しい姿をしています。
古い伝統を持ったこの工芸は、
多くの時代や様式が混ざり合う芸術となっています。
陶器の装飾は
塗料をつけることもあれば、
土を付けることもあります。
陶芸は華やかなだけではなく、 いろんな話が詰まっているものです。
壷に入った熱々料理の話。
水が入った美しい水飲みの話。
髪に花を飾り、水汲みに行く若い娘の話。
ブルガリア人にとって陶芸が芸術ならば、
木彫りはパッションと言えるでしょう。
その意味は、トリャブナ市ダスカロフ家の これからする話でおわかりいただけます。
19世紀初め、裕福な商人フリスト・ダスカロフは、
内装がないため、できたばかりの新居が
未完成だと考えました。
商人はトリャブナで最も腕が立つ2人の職人、
ディミタル・オシャネツァとイヴァン・ボチュカネツァを 呼びました。
二人は、どちから上手い木彫り天井を作れるかを
賭けました。
半年をかけて2人は各1枚ずつ、
които остават недостижим връх в резбарското изкуство и до днес. 現在も感動させられる「太陽」を彫りました。
ブルガリアの織物も有名ですが、
民族復興期のブルガリアならではの工芸として ガイタン作りを挙げることができます。
ガイタンとは、厚いウールの布(アバ)に飾る
編み紐のことです。
初期のガイタンは、女性が自宅で作っていましたが、
ガイタン編み機の登場とともに
ガイタン作りは一つの産業になりました。
ブルガリアの女性は織物の天才として知られています。
20世紀50年代に入るまでこれも盛んな工芸でした。
昔の織物の美しさに、現在も人々は感動します。
華やかな絨毯、毛布などが
どれだけ肥えた目であっても満足させます。
織物の芸術的効果が、
素材、技法、
色彩、デザインなどに影響されています。
繊維に絡み合い厚み、柔らかさ、天然染色の使用など、
織物職人はこのすべてに精通しなければなりません。
後は才能や努力で勝負が付きます。
ブルガリア人は迎える客を
才能とセンスではっとさせるのが好きです。
チプロフツィー、サモコフ、コテルの絨毯は
今や一つのトレードマークとなっています。
主に羊の毛で作った絨毯は、
鮮やかな天然染色を使い、
さまざまなモチーフが織り込まれています。
縞模様、チェック模様、
植物模様、
鳥、動物などを取り入れた
デザインは芸術としか言い様がありません。
このような小さな国にしては、
ナイフ作り、鈴作り、銅器作り、
などといった工芸が
信じられないほど溢れています。
ブルガリアには多くの工芸拠点があります。
ヴェリコ・タルノヴォ市のサモヴォドスカ・チャルシヤ、
ガブロヴォ近くの野外民俗誌博物館エタラ、
ドブリチなどです。
ブルガリアの伝統工芸は国民の創造力、
美への憧れ、
先祖代々伝わってきた価値の表現となっています。
現在お土産産業の一部である
伝統工芸は、
ブルガリア人が日常的にこの商品を使っていた
懐かしい時代を思い出させてくれます。