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『サインズ・オブ・ザ・タイム』 メイキング
キャロライン・マナード: 『サインズ・オブ・ザ・タイム』は 野球の審判員が使う
手のサインのルーツを探る話です
レイ・マナード: 神秘に包まれた物語です
推理小説のように
サインの発明者を探っていきます
ジム・ヒューズ: 逆境を乗り越える物語です
ドン・キャスパー: 物語を通じて
100年前の人々の人生が 現在にも息づいていることを
明らかにしていきます
構想
キャロライン・マナード: 数年前に監督のドン・キャスパーから
映画を作ってみないかと誘われました
彼が国立ろう工科大で働いている時に ろう者の野球選手のことを知り
その話を映画化しようと 思ったそうです
そんな映画は作ったことが なかったので
すぐに興味を持ちました
未知の題材をいつも 探していましたから
ドン・キャスパー: 最初に興味を持ったのは
ダミー・ホイの人生や人間性 そしてこの100年前の人間が
現在の野球に影響を 及ぼしたということでした
でも 彼が19世紀のメジャー リーグで活躍した陰には
様々な苦労と逆境を乗り越えた ドラマがあったことを知り
とても感動しました
気が付くと 彼の殿堂入りを 支援するろう者団体と
クーパーズタウンに行っていました 1998年のことです
その頃はお金も資材もなかったので 何もできず
構想は数年お蔵入りとなりました
レイ・マナード: 2003年に監督のドン・キャスパーから
話があり 彼が何年も前から
構想を温めていたことを知りました
私たちはその構想が気に入り
話し合いを進めるや 誰もが愛してやまない
プロジェクトへと発展しました
物語の構成
ドン・キャスパー: 2005年に 初めてクーパーズタウンを取材し
記録をすべて調べました ホイとクレムに関する記事や
彼らの写真を集めました
ジム・ヒューズ: クーパーズタウンの 野球殿堂博物館を訪れたのは
プロジェクトを始めてすぐの 2005年8月です
映画で使える資料や 材料がないかを
調査している段階でした
映画の主人公は2人です…
ビル・クレムとダミー・ホイ
この2人のおかげで 劇的なストーリー展開が作られ
衝突が生まれました
衝突とは この2人の相反する 人格のことです
ドン・キャスパー: あだ名は付けられるもので
自分が決めるものではありません
「ダミー」はあだ名が好きでしたが 「ナマズ」は嫌っていました
この陰と陽の性格が 映画のストーリーを
より面白くしてくれました
ロブ・ラバケ: ダミー・ホイは心温まるテーマですが
ビル・クレムは威厳がテーマでした
ビルについては 威厳の一言に尽きます
この対照的な2人の人間性が
よりストーリーの神秘性を 深めてくれました
ジム・ヒューズ: 脚本家として登場人物の個性を
表現するにはどうしますか?
まず その人物の証言者に 会いますね
その点でクレムの方が 書きやすいキャラクターでした
彼の証言者はまだたくさんいるから…
彼の功績や 人間性 個性など
昔の野球選手から聞くことができた
クレムの家族からも聞こうとしたが 残念ながらクレムには 子供がいません
だから家族の話は 彼の代で終わりです
姪や甥はいますが クレムのことは ほとんど覚えていないようです
映画に彼の家族が登場しないのは そのためです
ドン・キャスパー: 映画の制作前の大きな転換期は
ジョアン・ホイ・サンプソンが出演に 同意してくれたことです
まだ映画が制作可能かどうかも 分からない時だったので
あれは本当に大きな収穫でした
彼女が映画出演を承諾し 彼女の祖父のアルバムと
家族の軌跡を公開して くれることになりました
彼女はダミー・ホイの晩年まで 一緒に暮らしていたので
ダミーの証言者にぴったりです
これは映画のストーリーに 欠かせません
家族だからこそ 証言の信憑性も高まります
撮影
ドン・キャスパー: 映画の制作プロセスは
プリプロダクションと撮影 ポストプロダクションに分かれます
制作決定から完成まで 約3年半かかりました
制作期間を30回に分け
撮影に2年費やしました
その中には野球選手との インタビューも含まれます
エリック・マックマスター: 長期間に渡る撮影で
映像にばらつきが出ないように
インタビューのときは必ず
背景を黒にして キーライトとエッジライトの
2つのライトを使いました
どこにでも運べるので 常に同じライティングセットを使えたし
シンプルだから 大げさなセットを使うより
出演者もリラックスし て撮影できました
レイ・マナード: 制作開始日は2006年6月20日
ビル・ワーバーの インタビューから始めました
とてもいいインタビューだったので その後の往年の野球選手との
インタビューもすべてうまくいきました
その日は彼の98歳の誕生日で
その当時の最年長メジャー リーグプレイヤーでした
あれは素晴らしい体験でした 彼が昔のことを話してくれて
70年も前の話ですよ
それなのに 9回の表のツーアウトで 3塁にいたとか 打席に立った時とか
まるで昨日のことのように 回想するんです
彼らは本当に野球が好きなんだと 感心させられます
色々な場面を正確に覚えていて
その記憶をずっと 大事にしているんです
エリック・マックマスター: このプロジェクトの主要スタッフは
20年一緒に働いてきた仲間です
いつもは別のプロジェクトだけど
今回は1つのチームとして 働くことができた
プロデューサーもディレクターも カメラも全員身内だから
気心が知れて とても働きやすかった
本当に楽しんで仕事ができた
ボブ・ラバケ: 皆プロジェクトに没頭し
最高のものを作ろうと必死でした
あれは単なる仕事ではなく
皆が心から楽しむことが できたプロジェクトでした �