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「無」から「有」を作り出すことなんて 出来るのでしょうか?
もっと厳密に言うと エネルギーを物に変えられるのでしょうか?
できるんです でも物質は必ずその双子である
反物質と一緒にペアになって現れます
ところが不思議なことに 反物質は
宇宙に あるべき量より ずっと少ない量しかない様なのです
皆に一番良く知られている この公式から始めましょう
E=mc²
この公式が意味するのは 質量とはエネルギーの凝縮されたものであり
質量とエネルギーは 変換可能だということです
2つの通貨の様に でも交換レートは莫大です
90兆ジュールのエネルギーが
1グラムの質量にあたります
でも 実際どうやって エネルギーを物質に変えるのでしょう
この秘密は 「エネルギー密度」にあります
膨大なエネルギーを
ごく小さな場所に集中させると
新しい粒子が生まれます
よく観察すると
これらの粒子は 常にペアで出現することがわかります
双子の様なものです
すべての粒子には必ず 相棒がいる
これが反粒子です
両方が全く同じ量作られる
だから割合は半々なのです
まるでSFの世界のことのようですが
粒子加速器では 毎日これをやっています
CERNの大型ハドロン衝突型加速器で
陽子同士を衝突させると
毎秒あたり何十億という粒子と反粒子が
生成されます
電子を考えてみてください
電子にはごく小さな質量があり 負の電荷を持っています
電子の反粒子である陽電子は
全く同じ質量ですが
正の電荷を持っています
しかし電荷の正負を考えなければ
2つの粒子は同一で とても安定しています
少し重たい親戚の
陽子と反陽子でも同じです
ですから科学者は
反粒子でできた世界は
私たちの世界と 見た目も、感じも、匂いも そっくりだと信じています
この反世界には
水や金の反物質である
反水や反金
それに 反ビー玉も あるかもしれません
それに 反ビー玉も あるかもしれません
普通のビー玉と反ビー玉を 近くに持ってくると
どうなるでしょう
この2つの固体は
完全に消え
かわりに 原子爆弾並みの
ものすごいエネルギーが生まれます
物質と反物質を一緒にすると
膨大なエネルギーが得られるため
SFの世界では反物質にあるエネルギーを
取り出して使うアイデアが 良く使われます
スタートレックの宇宙船が この良い例です
実際 反物資に秘められたエネルギーは
普通の燃料の何億倍にもなるのです
1グラムの反物質があれば
車で地球の周りを1000回まわったり
スペースシャトルを打ち上げ 軌道にのせることも可能です
ではなぜこの反物質を エネルギー生産に使わないのでしょうか?
実は 反物質はそこら辺に 転がっているものではないので
集めたりできません
燃料として使う前に
作らなければいけません
でも反物質を作るには 燃料として使って得られる
でも反物質を作るには 燃料として使って得られる
何十億倍ものエネルギーが必要なのです
でも 宇宙のどこかに 反物質がたくさんあって
反惑星からそれを採掘して
使えるかもしれません
実際 数十年前までは
科学者たちも これが可能だと信じていました
でも 今日は 観測の結果から
見渡す限りのこの宇宙にはどこにも
利用できるほどの 反物質はないとわかっています
ちょっと変ですね 冒頭でお話したように
宇宙に存在する反物質の量と
物質の量は同じなはずです
反粒子と粒子の数は
同じであるはずだからです
なぜ反物質が見つからないのか
これは本当に不思議です
何が起こっているのかを探るには
ビッグバンの瞬間に戻る必要があります
この宇宙がうまれた瞬間
ものすごい量のエネルギーが 質量にかわりました
ごく初期の宇宙には
同じ量の物質と反物質が 存在していました
でもその直後
物質と反物質はお互いを打ち消しあって
物質と反物質はお互いを打ち消しあって
その過程で莫大な量のエネルギーを放出しました
これはマイクロ波として 今日でも観測可能です
最初にあった物質の 1億分の1くらいが残りましたが
最初にあった物質の 1億分の1くらいが残りましたが
反物質は全く残りませんでした
「ちょっと待って」と思いますよね
「なぜ 反物質はなくなって
物質だけが残ったのか」って
どうも 私たちは運がよかったようです
物質と反物質の間にわずかな非対称性が
あるようなのです
でもなければ 粒子は宇宙に存在せず
でもなければ 粒子は宇宙に存在せず
もちろん人間も存在しないはずです
では何が この非対称性を起こしたのか?
CERNではこの様な問題に対する 答えを探しています
なぜ この宇宙が空っぽではないのか?
なぜ 私たちの住む宇宙に
電磁波以外のものが存在するのか?
まだ答えは見つかっていません