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球面S2とその上の緯線の話に戻ろう.
球面S2の各点の上に
ホップの円周があると考えよう.
球面S2の緯線の上に何があるかを観察しよう.
例えば,赤道をとってみるとこうだ.
画面は,南に向かって動いている
緯線の上にある図形だ.
どうしてこのトーラスが細くなっているのだろうか?
その理由は,南極の上には
ただ一つの円周だけがあるからだ.
北極の上では,直線がみえる.
本当は無限遠点を通っている円周だ.これが,その赤色の直線だ!
さてこれらを回転させてみよう.
回転は,もちろん,
4次元空間の回転だ.
正直に言うと,これらの図形は
私が見つけるより,ずっと前から知られていた.
トーラス上に4通りの円周の族があることは
ビラルソー侯爵が発見したとされている.
だが,ストラスブールのカテドラルの彫刻などを見ても
もっと前から知られていたようだ.
回転面として得られるトーラスを考えよう.
円周を,それを含む平面内の
軸の回りに回転して得られる図形だ.
トーラスと平面の切り口を観察しよう.
どんな平面をとったか,注意して見てごらん.
これはトーラスの2重接平面と呼ばれる.理由は
簡単で,ちょうど2点で接しているからだ.
注意して観察しよう.
この平面によるトーラスの切り口は2つの完全な円周である.
ビラルソーの定理:
「トーラスの2重接平面はトーラスと2つの円周で交わる.」
もちろん,2重接平面は一つだけではない.
別にとったこの2重接平面は,トーラスと別の2つのビラルソーの円周で交わる.
他のすべての2重接平面で同じことがおこる.
回転対称の軸のまわりに回転させればわかることだ.
回転面として得られるトーラスの任意の点を通って,
4つの円周を描くことができることがわかるだろう.
これらは,うまくとった平面との交わりだ.
これらの円周の一つは緯線,
もう一つは経線,
それから,ひとつめのビラルソーの円周,
ふたつめのビラルソーの円周だ.
トーラス上の任意の点について,同じことができるから
トーラスは4通りの円周の族で覆われることになる.
同じ族の円周は交わらない.
青色の円周と赤色の円周は1点で交わっている.
青色の円周と白色の円周は2点で交わる.
それらはビラルソーの円周だ.
黄色の円周を良く見てみよう.
それがホップの円周だ!
ファイバー束で緯線の上にある図形を
観察したことを思い出そう.
絡まった円周で覆われたトーラスを観察した.
ちょうど,黄色の円周で覆われているこのトーラスのようにだ.
白色の円周についてはどうだろうか?
それは別のホップ・ファイブレーションのファイバーだ!
それは最初のホップ・ファイブレーションの鏡像として得られるものだ…
我々の散策の最後に
回転面として得られるトーラスを
その4通りの円周の族とともに見てみよう.
それが球面S3の中にある様子を考えて,
球面S3を4次元空間で回転させて,
最後に,ステレオグラフ射影で
3次元空間に写してみよう.
こうすると,同じように,4通りの
円周の族で覆われた曲面が得られる.
この曲面は,デュパン・サイクライドと呼ばれる.
トーラスが射影の中心の極を通過するとき,
曲面は無限に広がる…
この動きの中で曲面の表と裏が入れ替わる.
トーラスの内側の面がピンク色に,外側の面が緑色に塗られている.
4次元空間で,単に回転させると…,ほら!
緑色がピンク色に,ピンク色が緑色になった.
どうだ,すごいだろう?!