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心臓の音をよく聞いてみると、
ドキ、ドキという音がします。
英語ではラブ ダブ、ラブ ダブという風に聞こえます。
文字に書くとLub Dub です。
これの繰り返しです。
この音は何でしょう。
これを説明するため、心臓の弁を拡大しました。
この絵を使って心臓の音の正体を解明します。
まず心臓の各部の名前ですが、
血液が入ってくる右心房
これが右心室
血液はここから肺に送られます。
そして左心房に戻り
左心室へ
これが心臓の構造です。
血液が通過する弁に注目してみましょう。
右心房から右心室へ流れます。
これと同時に血液は左心房から左心室へも流れます。
どうして同時にこのような動きができるのでしょう。
血液は常に心臓の中を流れているんでしたね。
肺から来た血液は左心室に送られ、
体を巡ってきた血液は右心房から右心室へ。
つまり心臓の左右の心室は常に血液で一杯です。
心室に血液を送り込むためには
弁が開かなければなりません。
これが三尖弁
こちらが肺動脈弁です。
これは僧帽弁
左心房と左心室を区切る弁です。
そしてこれが大動脈弁。
このように心臓には4つの弁があります。
心室に血液が送り込まれているときは
三尖弁と僧帽弁は開いています。
肺動脈弁も開いていますが、実際に開いているでしょうか。
いいえ、実際は閉じています。
右心房から右心室へ血液が流れる場合を考えてみます。
これから示す黒色の矢印は不適切な流れを表します。
血液がこちらから流れるとします。
ほんとはこちらに流れてはいけません。
そういうことが起きないように、この弁が閉じるのです。
こちらについても同じことです。
血液が逆流しようとすると
この弁が閉じてそれを防ぎます。
このように血液は白の矢印の方向に流れ、
黒の矢印の方向には流れないようになっているのです。
つまり三尖弁と僧帽弁が開いているとき、
肺動脈弁と大動脈弁は閉じているのです。
こうして両方の心室には血液が充満すると、
心臓は収縮を始めます。
そして血液が大動脈に送られるのです。
ですから、こちらの黒の矢印は消しましょう。
正しくはこちらに流れます。
弁もこのように開いて、
血液を正しい方向に流すのです。
この2つの弁を通過して血液が流れるのです。
先程と同様、こちらも逆流する可能性があります。
血液がこちらの、間違った方に流れようとすると
この弁が閉じるのです。
両方の心室に同じ機能があります。
こうして弁が閉じることで
血液が逆流しないようになっているのです。
さて、三尖弁や僧帽弁が閉じるときには音を出します。
三尖弁と僧帽弁が閉じるとき出す音が
英語ではラブ(lub)と聞こえます。
これが最初の音です。
S1と書きます。
ダブ(dub)は2つ目の音
これをS2と言います。
三尖弁と僧帽弁が閉じるとき聞こえるのがS1です。
三尖弁と僧帽弁が閉じるということは、
つまり肺動脈弁と大動脈弁が開くということですね。
しかし音の正体は三尖弁と僧帽弁です。
ではダブ(dub)の方はどうでしょう。
今のと正反対です。
あとで話しましょう。
心室が収縮すると弁が開いて
逆流が起こるかも知れませんから、
この弁が閉じます。
弁が閉じた時に音がするのです。
ダブ(dub)の正体は
肺動脈弁と大動脈弁が閉じる音なのです。
一方で三尖弁と僧帽弁が開きます。
絵のほうにもこの状態を描き入れましょう。
この2つの弁が開きます。
そして血液が再び心室に流れこむのです。
こんな風にリズミカルに心臓は動いていて
弁が閉じる度にドキドキという音がするのです。
これで心臓の中の血液が一巡しました。
このサイクルが繰り返されるのです。
さて、心臓は一定の間隔を空けて拍動します。
時系列で表すと、これがS1、そしてS2
そして再びS1とS2という具合です。
この短い時間に心臓が収縮して
肺動脈弁と大動脈弁が開き
血液を体中に送り出します。
この時期を収縮期といいます。
次の拍動までのこの時間に
血液は心房から心室に流れます。
この時期を拡張期といいます。
ですから心臓のドキドキ、
あるいはラブダブというのは
心臓が収縮したり拡張したりするときに
弁が閉じる音なのです。