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「いい感じだね」
「うん」
やあ、デスティンです。Smarter Every Day にようこそ。
今日は不思議なものを見せようと思う。
普通のスパゲッティを一本取って、
君たちも自分でやってみるといい。
それを折れるまで曲げると、
普段思う事と違うことが起こる。
二本に折れずに、三本に折れる。
ほとんど毎回、そうなる。 見たか?
これが今、真ん中のところから飛んだ。
今日は Smarter Every Day で、子供たちが
ご飯を食べ終わるのを待ってから、
Phantom V1610 を出してきて、毎秒25万フレームで これを撮ってみる。
そして、どうしてスパゲッティがこんな風に折れるのかの
秘密を解いていこう。
毎日もっとスマートになっていこう
♪
もしまだキッチンに行っていなかったなら、
今すぐ行ってきてくれ。 スパゲッティを手に取って、ゴーグルを装備しよう。
これからサイエンスをやるぞ。
一本ずつ、麺を両端で持って、折れるまで曲げる。
気が付くと思うが、たいがい三つ以上に分かれる。
「たいしたことないじゃん」と思うかもしれないが、
これは「たいしたこと」なんだ。
一本の棒を割ったら二つに折れるという事を
理解するのはとても簡単だ。
下の部分が圧縮されて、上の部分に張力がかかる。
上の部分の張力が抗張力の
限度を超えると、棒は真ん中で折れ、
二つにしか割れません。
なら、どうしてスパゲッティは違うんだろうか。
ここでは何か別のことが起こっている。
スパゲッティを折るだけのことが 何年も、リチャード・ファインマン博士を含む
偉大な科学者たちを困惑させました。
ご存知かもしれないが、ファインマン博士は マンハッタン計画の頃、
理論物理学会に属していて、1965年には
ノーベル物理学賞を受賞している。
誰もがファインマン博士を天才と認めているし、
「なぜスパゲッティが複数本に折れるのか」 についての彼の説に
筋が通っているのは驚きではない。
もし自分でやってみたなら、折ったときに
指先に細かい振動を感じることに気が付いただろう。
彼は、「この振動が充分強ければ、
折れた時に残ったスパゲッティを 再び折らせるだけの
負担を与えることが可能かもしれない」 と考えた。
この説を証明するために、ファインマン博士は友人と一緒に
水の中でスパゲッティを折って振動を和らげてみよう、 と考えた。
驚くべきことに、水中で折ったスパゲッティは
それでも複数に折れた。
さあ、ここだ。
ファインマン博士のような天才にも 解けなかった謎になんて、
僕たちが敵うだろうか?
じゃあ、僕の台所で謎を解いてみよう。
さあ、やってみるぞ。
僕の頼みで妻はいろんな種類のパスタを
買ってきてくれた。
それをここに出して、ハイスピードカメラで撮る
実験をしてみる。Phantom V1610 だ。
ランプをセットして座って、
麺を折って観察する。
ネットで検索してみたけど、 最も速くて毎秒4,000フレームまでの
研究用映像しか見つからなかった。
ならば科学的進歩のためには、
少なくとも毎秒18,000フレームから始めないとね。
少なくともちょっとは新しい情報が得られるだろう。
【ボキッ】
ひえ~
速いな。
どっち側が先に折れたかも見えなかったな。
ちょっと巻き戻して、一コマずつ見ていこう。
【ボキッ】
うん、やっぱり速すぎる。
両方の決裂が同時に起こってるようにしか見えない。
もう一本、今度はもっと複雑に折れたものを見て、
何かが見えてくるかどうか見てみよう。
【ボキッ】
何っ?!
まるですべての決裂が全く同時に 起こってるようにしか見えない。
もう「ミリ秒」なんていう単位をはるかに超えて撮ってるのに
なんてことだ。
ほかの研究者が毎秒4,000フレームで何が見えたのか
知らないけど、僕には見えないね。
それじゃあ、毎秒40,000フレームに 切り替えて撮ってみよう。
僕の読んだ研究の十倍の速さだ。
【ボキッ】
ふむ。少しは何かが見えてきたようだ。
少なくとも右側が先に折れたのが見える。
だけどそれでも二つの決裂は100マイクロ秒以下の 間隔で起こっている。
ものすごく速い。
ここで、折れた部分の回転の方向を見ていこう。
もう一つ見て、振動が二つ目の決裂に
関連しているかどうか見てみよう。
【ボキッ】
いいや。
むしろ、長いほうの両端は
同じ率で震えているようにも見えない。
でも、これを見て。
小さく折れたところが回り始めるとき、
必ず一回目の決裂から離れるように回っている。
それに対して後ろ側は、下に向かって折れている。
まるでスパゲッティが直線状に戻ろうとしているのに
自らの質量に耐えきれなかったかのようだ。
しっかりつかまってな。 これから毎秒250,000フレーム行くぞ。
【ボキッ】
いやあ、この答えにたどり着くために 思ってたよりも遥かに高速で撮らなきゃいけなかったけど、
やっと見つけた。
「振動」ではなかった。
スパゲッティがまっすぐになろうとするときの「曲率」だ。
こういう風に考えてみよう。
スパゲッティ全体にトルクがかかってるだろう?
そのトルクのために、弧になる。
そして決裂が起こるとき、折れたところに近いほうの端は
トルクから解放されるわけだ。
しかし、反対側にはまだ対のトルクが残っているわけだ。
左側から先に、右に向かって真っすぐになろうとする。
上に向かって回転をかけながら、直線状に戻る。
そこで左側の部分はすでにまっすぐになっていて、
右側のほうはまだ曲がっているため、
その二つの状態が合わさるところでさらに曲がる。
そこで「最小障害半径」を超えてしまう。
これが決裂の原因になる。
まるで片側にはメッセージがまだ届いてないみたいだ。
もしも棒全体が同時に放ったらいいのだが、
そうはならない。
途中で壊れていってしまう。
それで、新しく折れたところでまた同じプロセスが始まる。
このような物理現象は「カスケード決裂」と言われる。
ごく最近まではこの現象の裏にある数学は
あまりよく理解されていなかった。
けど、僕はフランスの研究資料で面白いものを見つけた。
ノルウェーの石油エンジニアが作った シミュレーションも見つけた。
でも僕の知っている限りでは、たった今見た映像は、 これまでこの現象についてほかの人が行った
どんな研究よりも洞察のカギになったと思う。
毎秒250,000フレームで撮っただけだ。
凄いことだ。
そんなわけだ。
スパゲッティ折りの秘密はただのトリックではない。
今度スパゲッティをゆでるときは気をつけな。
科学的知見の最先端を探ることになるからな。
今回も Smarter Every Day を見てくれて、どうもありがとう。
ファインマン博士が勉強したいろんなことについて 書かれている本が読みたければ、
Audible で聞けるオーディオブックで、 『ご冗談でしょうファインマンさん』
という本をおすすめします。
今それを聞いているんだけど、とても面白いよ。
もし、Smarter Every Day をサポートしたかったら、
audible.com/smarter にアクセスして、
『ご冗談でしょうファインマンさん』を ダウンロードしていただけたら
とてもうれしいです。
どうもありがとうございました。
僕の名前はデスティンといいます。
毎日もっとスマートになっていこう
元気でな。
イエーイ!
デスティン「リチャード・ファインマンを知っているか?」
子供たち「いや。全然。」
‐全然?
‐全然誰だか知らないけど、聞こえはいいね!
‐(笑)確かに偉い人だよ。
お父さんとはちょっと違うけど、 頭が良くてカッコいいやつだよ。
3つ。
少なくとも4つ。
このビデオによって僕のチャンネルに 登録してもらえたかな。
そうでないなら、まあ、この戸惑っている魚でも見てくれ。
ありがとう。