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最初の出会いは ある雑誌から
大阪の彫師、二代目彫常 その作品は鮮烈だった
彼に手紙を出し 知り合って5年後の今
彼に会うために5回目の日本へ 目的は背中の刺青の完成と
刺青制作や仕事仲間との再会 そして旅
名はロブ・アドミラール
和彫りを愛する アムステルダムの彫師
温故知新
その1 二代目彫常
1度目の大阪は 道案内が不便すぎて
道の通り名も 分からなかった
英語もあまり通じない
もう慣れたけどね
よし、上に行こう
ヘイ、師匠! ―ヘイ!
ここまで90時間は 費やしたと思う
あとは3色のぼかしと 龍の眼で完成
宮蔵の背中の龍は 凄い迫力なんだ
背中には彫常作の あの龍の顔が欲しかった
怒龍ではなく 温和な龍を
深遠な龍の瞳は 本当に見事だ
今まで見たことのない 背景も少しある
ほんの僅かだけど そこが本当に格好良い
ここまでの仕上がりだけど
まさに名人技 そして自由で
そう、自由奔放だ
衝撃を受けたのは 伝統的な刺青の抽象性
つまり和彫りの表現は
本物よりも本物らしく 描くことで
本物らしさを高めていると思う
現実そのもの または写実表現のように
光や遠近法や質感で 本物に見せることを
拒否した表現技法だ
そこが本当に格好良い
現実が抽象化された世界だ
首尾一貫して追求すれば
現実を超越した 何かを得られる
別次元の世界に 導くような何かを
そう感じたのは 和彫りだけだ
少し寒いな 何か食べないと
ああ、お腹減った
龍の眼はまだ作業中
眼を仕上げないと
眼で完成ですね
あとは眼だけ
眼だけ
食事にする? ―そうだね
よし、食事に行こう
さて、次回は...
これがBurst誌
字幕翻訳: 成田忠昭 & ヒルト・ファンブレーメン
ほら!
まだヤギ髭が無い