Tip:
Highlight text to annotate it
X
【ダフトパンク】
ファーストアルバムから 彼らは異彩を放っていた
別格だ
何を聴いてもダフトパンクだと 分かる 独特の音だ
【ランダム・アクセス・メモリーズ】
【ザ・コラボレーターズ DJファルコン】
2人のマネージャーだった ペドロはー
僕の親友で スケボー仲間だった
昔 彼がパリで パーティーを企画したんだ
確か1993年で 僕は18くらいだった
その時 トーマと ギ=マニュエルに出会った
彼らが『ホームワーク』を 制作し始めたばかりの頃
当時 フランスの音楽は あまりメジャーじゃなくー
セルジュ・ゲンスブールくらいしか 知られてなかった
フランスのダンス音楽を 確立した立役者はー
おそらく......
モーターベースだね
エティエンヌとフィリップさ
彼らがクラブシーンに 新しい風を吹き込んだ
それまでは単なる レイヴ・パーティーだった
僕らはディスコの再現というよりー
グルーヴ感を重視してた
仲のいいフェニックスやー
他の連中と やりたいことをやってた
今 思えば 才能の集まりだね
みんな無我夢中だった
めまぐるしかったね
ダフトパンクが成功したおかげでー
フランスの音楽シーンが 注目を浴びだした
僕の初アルバムは トーマのレーベルから出した
トーマは僕のデモテープをー
気に入ってくれてね
アルバム制作を手伝ってくれた
サンプリングについて 意見を出し合ったがー
話し合いには限界がある
個々の感情によるところが 大きいから
いいサンプリング音は 理屈じゃないんだ
僕は1月2日 トーマが1月3日生まれだからー
「間をとって 2.5曲目を作ろう」と言ってきた
トーマは いつだってこんな調子
そういう遊び心を 効かせる
確か2000年だから 13年前だ
ある日 2時間くらい 曲作りに没頭しー
あとは ひたすら踊ったりしてた
いろいろ聴きながら
最高のサンプリング音源に 巡り合う瞬間は たまらない
繰り返されるサウンドの 科学的な要素とー
人間味あるポップさが 融合すれば 絶妙だ
情熱のこもった 深みのあるアルバムさ
完璧な仕上がりだよ
3日かけて パリで収録した
カウントダウン的な音が 欲しいと言うとー
「じゃあNASAに当たろう」と トーマが
ダメ元でね
航空会社に連絡すると いい反応だった
ダフトパンクからの依頼に 興奮してたよ
おかげで2人は 宇宙での通信音をー
このアルバムに使うことができた
子供の頃ってみんな あだ名を持ってるだろ?
僕はなぜか〝ボブ〟だった
仲間内のあだ名
ペドロも僕をボブとして 2人に紹介した
通信記録のなかに 宇宙飛行士がー
「なあ ボブ」と 呼びかける部分が
ビビッときたね
彼らは常に 制作過程を楽しんでる
そういう裏話は あまりしないがー
彼らの曲を聴けば 分かるはずだ
音楽を超えた何かがある
ダフトパンクの音は 本当に独特なんだ
たとえば ファーストアルバムにはー
色んなスタイルが混在してる
ひとつの音楽性に 縛られていない
様々な影響が感じられる
昔 ナイル・ロジャースの作品をー
サンプリングしていた
そういう影響を受けた今作の曲を さらにサンプリングできる
こういう進化って スゴいだろ?
いい意味で 〝リピート〟できるのさ
彼らはいつも 自分たちの音楽を追求してる
シンプルでクールなのに 無邪気なところもある
1作目を今 聴いても 全く色あせてない
常に最先端って感じでー
いつだって感心させられるよ