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この中で 元・現職・将来を含め
教育者の方は?
会場はここで良さそう
私は高校の国語教師で 教育中毒です
本当です
小さい子の面倒を見ている方は?
小さい子の面倒を見ている方は?
会場はここで間違いないですね
ここ25年「失敗校」と 学校「改善」の必要性が
叫ばれていますね
学校を改善したい方は
手を挙げてください
アインシュタインも言いました
問題の定義は 解決より重要です
謹んで申し上げますが
「失敗校」も 改善の必要もありません
必要なのは時代に合わなくなった 制度の「改革」です
「改善」ではありません
なぜ合わなくなったか
単純な事です
今や知識は 特別な物ではないからです
無料です 空気や水のような物
「カーン・アカデミー」を使ったことが ある方は?
「カーン・アカデミー」を使ったことが ある方は?
ほとんど全員ですね
生徒たちが自発的に取り組めば
質の高い教育が受けられる仕掛けですね
高校時代に周期表を暗記した人は
何人いますか?
全員ですか 結構
元素は全部で何個でした?
失礼 聞こえなかった
どの答えもハズレです
先週2つ増えましたから
惑星の数も 増えたり減ったりします
最新情報をチェックしなくちゃ
さて 競争しましょうか
皆さん 50州の州都を暗唱してください
私はグーグルで調べます 誰が早いか勝負しましょう
知識はありふれています
あなたが5年生より賢かろうと
3倍速で仕事をこなそうと どうでもよいのです
3倍速で仕事をこなそうと どうでもよいのです
問われるのは 知識そのものではなく
その知識を使って 何ができるのかです
教育の課題が 完全に変わったのです
今日 問われるのは
知識を使う「スキル」があるか
知識を使う「意欲」があるかどうかです
ここで私の話をしましょう 知的発見の旅です
『フラット化する世界』を 読みましたが
お読みになった方は?
死ぬほど怖い話でした
フリードマンの描く世界では
単純作業の類は急速に
海外委託 または 自動化が進みます
職種は関係ありません
先日フリードマンと話していたら
「一つ間違えた」と言うので
何かと尋ねると
「変化のスピードが 予想よりはるかに速い」と
グローバルな知識経済の世で 良い仕事に就くために
子どもたちに必要なスキルとは どんなものでしょうか
そのスキルは市民の社会参加や
継続的学習にも有効でしょうか
様々な革新者に話を聞きました
アップルやユニリーバ 重役に陸軍
地域の指導者や大学教授
皆に尋ねました 「いま最も重要なスキルは何か?」
すると高校卒業までに生徒全員が
必ず習得しておくべき 主要な能力があると
分かったのです
就職だけでなく 継続的な学習のためにも
行動的で教養ある21世紀の市民にも 必要な能力です
簡単にご紹介します
1つ目に批判的思考と問題解決力
批判的思考とは
正しい質問をする力
的確な質問をする力です
2つ目はネットワーク間の協力と 人を動かす力
3つ目は機敏さと適応力
4つ目はイニシアチブと起業精神
5つ目は会話や文章における 高いコミュニケーション能力
6つ目は情報を入手し分析する力
最後の7つ目は 好奇心と想像力です
3年半前に 世界の学力格差の本を出してから
いくつかのことが起きました
まずは 文字通り世界中から 肯定的な反応が届きました
まずは 文字通り世界中から 肯定的な反応が届きました
仰天しましたよ
台湾からシンガポール ヘルシンキからマドリード
それ以外にも各地から
タイやバーレーン イングランドのバーミンガム
ウォールストリートに ウエスト・ポイント
「まったく同感だ」と 言ってもらいました
なかなか良い気分でした
その後 別のことが起きました
経済の崩壊です
大学を卒業した子達は
せっかく必要なスキルを 身に付けても
就職できなくなりました
スキルはあるんです
何かがおかしい
現在 大学卒業者の半数が
完全失業または 不完全雇用の状態です
3分の1が親に頼って暮らしています
皆さんの中にもいるかもしれません
何が間違っていたのでしょう
私はこの経済崩壊の本質を
捉えようと考えました
そして分かってきたのは
これはクレジット・デフォルト・スワップや
超インフレ経済や不動産市場
それどころの話じゃない
皆さんはご存知かな
私は知りませんでしたが
我々の経済活動の70%は 消費で成り立っています
国民にとって最大の恐れは
消費者がお金を使わなくなって
職がなくなることです
こうした消費支出を
支えているのは人々の借金です
家にあったお金をせっせと
クレジットカードに注ぎ込むのです
2007年の貯蓄率はマイナス2%
私の結論はこうです
経済というものは 人々に
持ってもいないお金を使わせ
欲しくもない物を買うように仕向け
いつの間にか世の中をおかしくする
そういう仕組みを我々は作ってしまった
もはや明らかだと思いますが
こうした経済は続きません
ジェレミー・クラウドが言うように 環境的にも持続しなければ
経済的にも持続しないのです
現在の貯蓄率は約4%です
消費者はお金を使うよりも
貯蓄に回しています
これでは精神的にも持ちません
方向転換が必要です
グローバル経済における代替策
足掛かりとなるものは何か
そこで繰り返し出てきた言葉が
「革新」でした
STEM分野での 大掛かりな革新だけでなく
国中から良いアイディアを どんどん生み出すということです
多岐にわたる問題を解決し
仕事を作り出し
解決が望まれている根深い問題 あらゆる問題について
アイディアを出し合うのです
皆さんご存知の通りアメリカは
非常に革新的な国ですが
教育制度は革新の 役に立っているでしょうか
邪魔をしているでしょうか
重要な点です
インフラは整っています
研究開発や著作権保護法
立派な移民政策に
お金をかけています
教育はどうでしょう
クイズです グーグルで調べる暇はないですよ
B. ゲイツ ポラロイドを発明したE. ランド
B. ゲイツ ポラロイドを発明したE. ランド
フェイスブックのM. ザッカーバーグ
歌手のB. レイット 共通点は?
(観客)大学中退
中退では不正解
正解は「ハーバード大の」中退
生憎ですが大違いです
S. ジョブズもM. デルも中退です
「ハーバード大の」中退です
作戦変更です
若者たちの能力を伸ばし
彼らを革新者に育てるには
何を変えなければならないか考えました
親として 教師として 彼らの心の師として
雇用する側として 何をすべきか
20代の革新者たちに 話を聞きました
とても若い人たちです
恵まれた人もいれば 貧しい人も
地域もバラバラです
分野はSTEMから芸術まで
社会革新者や起業家など 様々でした
彼らの親にも話を聞いて
子育てに何か特徴があるか 探りました
子育てに何か特徴があるか 探りました
全員にこう聞きました
「人生を大きく変えた 教師や心の師はいますか」
「人生を大きく変えた 教師や心の師はいますか」
回答者の3分の1 は
思い当たる教師はいないと 答えました
3分の2は教師の名前を 挙げました
3分の2は教師の名前を 挙げました
いないと答えた人も 心の師ならいました
いないと答えた人も 心の師ならいました
重要な事です
師弟関係は我々が考える以上に 大切です
私は師として名前の挙がった人全員を 訪ね 話を聞いてきました
すると驚くべき発見がありました
話を聞いた先生方は異口同音に ―
小学校の先生から大学院の教授まで
立場は様々でしたが
どの先生に聞いてみても
彼ら自身が皆 職場では異端児だと言うのです
5つの大学に行きました ハーバードにMIT
スタンフォード カーネギー・メロンにチューレーン
各校の先生方は皆
才気溢れる革新者を 生み出しましたが
誰も終身教授職になく
そうなる気もなかった
何が問題なのでしょう
私が感じたのは
我々が経験してきた 「学校」という文化は
革新者を生む「学習」の文化と
根本的に相性が悪いということです
「学校」の持つ次の5つの 特徴のせいです
1つ目 我々は 個人の成果を褒め称えます
それも大事ですが
革新はチームプレイなのです
革新者を育てた先生方は しっかりとした共同作業や
協力関係を育むような課題を 生徒に与えていました
2つ目 米国の教育は 専門性を絶対視しています
高等教育で 教育課程を仕切る ―
「カーネギー・ユニット」が できたのは115年前です
「カーネギー・ユニット」が できたのは115年前です
「これは化学」で 「あれは生物」と
でも革新は 多分野にまたがるもので
問題解決型学習の領域です
グーグルのJ. ギルバートに言われました 「学問分野の ―
グーグルのJ. ギルバートに言われました 「学問分野の ―
枠組みの中では 問題の解決はおろか ―
何が問題かも判らない
このことを教育者に 理解しておいていただきたい」
3つ目 学校という文化は
リスク回避と失敗を咎めることに 必死です
生徒は先生の要求を探り
それに合わせるのが仕事です
先生は面倒を避けるのが仕事
教育者はリスクを取りたがりません
リスクなくして
革新はありえません
失敗をして そこから学ぶ
IDEO という 革新的なデザイン会社がありますが
IDEO という 革新的なデザイン会社がありますが
会社のモットーは 「早めにどんどん失敗しよう」
試行錯誤なくして 革新はありません
IDEOのD. ケリーが作った Dスクールは
スタンフォード大の 素晴らしい学際プログラムです
成績について こんな話を聞きました
「 Fは“最新型のA”って感じだよね」
皆さんの学校でも やってみてください
オーウェン大の学生と話しました
おそらく今オーウェンが
国内一優れた大学でしょう
全てのコースが学際的で
チーム基盤 プロジェクト学習 素晴らしい学校です
オーウェン大の学生によると
失敗についてはほとんど話さず
話すのは やり直しについてだそうです
5年前なら意味が 分からなかったでしょうが
今や私にとって とても重要な言葉です
学習に「失敗」はなく あるのは「やり直し」なのです
皆さんの中で成功より
失敗から多くを学んだという方は?
失敗から多くを学んだという方は?
私もそうです 失敗は辛い
しかし辛いからと言って
私たちは学校でも家庭でも
子どもをかばっていますね
四六時中 監視して
子どもが失敗しないように
完璧な成績に汚点がつかないように
しかし失敗し 挽回が可能だと学ばなければ
真の自信はつきません
35歳でやっと気づいた日には 深傷を負いますよ
35歳でやっと気づいた日には 深傷を負いますよ
4つ目は「学習」というものの内容が
受動的な消費に終始していること
学校は良き消費者としての姿勢を
習う場所と言ってもいい
一日中座って 教えてもらうのですから
革新者を育てる教室では 創造が第一です
実際の客に向けて 実際に創造する
最後に いちばん重要なことですが
我々は学習の動機付けとして 外的なものに頼りがちです
飴とムチ 成績が良かったらお小遣い とかね
革新の世界では 若手の革新者たちに聞くと
皆もっと内的なものに
動機付けられていました
彼らは世の中に貢献したいのです
彼らの親や先生がどうやって
こうした内的な動機を促したか
調べてみたところ あることに気づきました
「遊び 情熱 目的」というパターンです
親も先生も 探求型の遊びを多く与え
与えるなら電動でない玩具 テレビはあまり見せず
自由な時間をたっぷり そして外で遊ばせていたのです
学生時代に情熱を見つけ それを追求することが
成績なんかより大事だと説いた親
どの授業にもプロジェクトや調査や 実験の時間を取り
生徒たちが知的または芸術的な
情熱を見つけ 追求することを奨励した先生
こうした環境にあった子どもには 情熱が芽生え
それが形を変え やがて
強い目的意識へと 発展していったのです
親も先生も口を揃えて こう言っていました
「恩は社会貢献で返しなさい」
こうした価値観を持つと
何とかして社会に貢献したいと 思うようになります
さて 我々教師も考えましょう
どんな制度改革が必要か 延々と議論するのも良いでしょう
どんな制度改革が必要か 延々と議論するのも良いでしょう
そういう本も書きました
しかし結局は 一人一人に何ができるかです
授業や指導の中で まず我々が革新者になる
原点はそこです
革新の価値や特性を
身をもって示さねばなりません
教える側が リスクを取らなければなりません
進んで失敗から学ぶのです
同僚とも もっと協働しましょう
しかし私にとって
たぶん何よりも重要なのは
教師あるいは心の師という立場から
「遊び 情熱 目的」を
何処でどうやって 子ども達に促していこうかと
常々よく考えるようになったことです
ありがとうございました
(拍手)