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前回話したのは—
君がアフガン取材から 帰還した直後
イギリス軍を追い 少々ドジをやらかした
今はドバイから帰還したと
中東の拠点を目指す ドバイだがー
なにを取材したんだ?
建設労働者の実態だ
世界有数のビルを タダ同然で建ててる
奴隷のように 扱われてると
ああ 過言じゃない
これは現地で気づいたことだ
借金奴隷さ
[ドバイの奴隷たち]
まずバングラデシュ人に注目
現地民にとってー
ドバイの魅力は 月300ポンドの稼ぎ
現地じゃ大金だ
ドバイまで行くのに 2000ポンドかかるがー
半年で払い戻せる計算だ
仕送りもできるし 店もすぐに持てると
実際は 旅券を没収され—
給与は1/2 週6日 12時間労働
タコ部屋での ひどい生活だ
セレブな生活がしたい人の 憧れの的 ドバイへー
パック旅行
参加したのは ファーストグループ社ツアー
普段とは違う ドバイが見れるらしい
仲介人は言う 従業員を優遇されると
労働者のケアは万全?
- ええ 社員寮も与えてるわ みな幸せのはずよ
近隣国より稼げるし
問題ないわ
- しかし...
問題ない
オレが行った時も 同じように言われた
彼らは幸せだと
- 実際は真逆なのに
それでも幸せと言う
内部潜入は難しいから 仕事後の労働者を掴まえる
そしてドバイ一話題の ビルの建設について聞く
それを3ヵ月だ
監視が厳しくて 部外者は立入禁止
- 労働者と話せない?
ムリだった
- 見つかったら?
監禁されて 多額を払わされた記者も
宿舎だと知らなければ 倉庫と見間違えるほど
街灯もないし 汚水の匂いも
掘ったて小屋の列は まるでスラム街
いるのは8人?
- 9人
取材直前 監視員が
英語は? - ああ なにしてる?
何の用だ
- 取材させてくれ
- ダメだ
- 出てけと? - ああ
- わかった - 行け
労働者たちは怯えて 話そうとしない
バレたら 強制送還だ
私が見たドバイは こんな感じだ
輝く超高層ビルと 一寸先の闇
その狭間に 労働者はいる
これは?
- インドの元仲介人
彼女は長年 労働者を 送り込んでいた
でも労働者からの不満が 絶えずー
調べてみると 実態が見え始めた
そして彼女は激怒 打ち明けてくれた
彼女はあの建物を指さした
家畜舎よりひどい
移民労働者は ドバイの暗部
観光客の多くが なにも知らない
生活環境は最悪
人が住める場所じゃない
これを見て ひどいでしょ?
トイレかい?
45人でトイレ2つに シャワー1つ?
この現実を 知って欲しい
華やかさに 潜む闇を
雇用側に道徳があるかって?
[元仲介人 アルマス・パドルディワラ] そうは思えない
どの企業もそう
配慮が欠けてる 人の命は軽くない
ひどすぎる
ガスもないから 焚き火が全てだ
45人分の食事は 焚き火で調理
- 水も 器具もないと
ああ 完全に自力
彼らは 炭水化物しか食べてない
肉や魚は 月に2~3度
台所で見たのは 小魚4匹を調理するところ
それが1ヵ月分だった
労働者は派遣会社のカモ
ドバイで働くには 2000ポンドが必要
借金や土地を売って 費用をまかなう
こうした人々が アラブに300万はいる
2000ポンドはあり得ない
- その内訳は?
ビザと渡航費
実際はもっと安いが そういうことに
派遣会社が 間引きしてしまう
- 実際 ビザ代は必要?
雇用主が手数料を 請求するのは違法だ
- 契約書が送られ
[人権擁護団体 ニック・マクジーハン] ドバイに移送
到着後 契約は破棄
賃金は 時に1/2 ビザは没収される
- 彼は興味深い
元代理人のアルマスは あらゆる機関に知らせた
ドバイ政府も含め 誰も音沙汰ナシ
しかし 彼は違った
石油会社の元職員で 民間人権団体を立ち上げた
彼は返信してきた
- 誰も関心ない - ああ
- 忘れられた奴隷 - 元々知られてない
彼らは移動を繰り返され
今や無職か 契約任期を強要された
家族に仕送りも 免責条項もない
旅券が戻っても 帰る金もない
袋小路だ
契約期間中 彼らは奴隷よ
- 旅券没収は...
違法よ 全部野放しされてる
これが現状だ
たとえば 気温50度以上では 仕事を中断しろという法がある
その結果 温度は常に50度以下
- どうして?
越えても 記録を ごまかされる
労働漬けだ 私には何もない
借金して生きてる もう5ヵ月も無給
常に空腹状態
どうにか生き延びてるが 妻や子供は待ってる
どうすれば...
キャンプまでは1時間
非難したいが 身元は明かせない
ドバイ建設労働者は 借金を負い
約束された賃金は 未払いのまま
隠しカメラを持ち 再度 侵入
いつも隠しカメラ?
ああ インタビューも キャンプ内の映像も
- 捕まったら大変だ
密告者が 紛れてる噂も
ホテルやタクシーでも 注意が必要
キャンプを隔てる大通りは—
トイレの糞尿からできた 深い泥沼
トイレ周辺は ぬかるみと悪臭で最悪
誇張はしてない
汚水だらけで 歩道がふさがってる
労働者は踏み石を渡って 寝床に帰る
- 最悪だった?
ああ 下水は 未処理らしい
最初は疑ったが 近づくと汚臭がひどい
- 糞尿が歩道に?
トイレの間が 汚臭の発生源
水が使えないから 流せない
蛇口を調べたが 取手もない
あっても水が出ないから やはり流せない
そのうち 吐き気が
我慢できない
- 最悪の場所を 行き尽くした男がだ
葬儀屋もやった
- その君が だ
労働者いわく それでも 以前より改善されたと
雇用会社は労働者を非難 衛生管理が悪いすぎると
生活慣習を変えるのは 極めて困難だと
パノラマ社は アラブテックの 衛生管理が問題だと指摘
トイレ撮影の前日 当局はアラブテックに忠告
- 行政は知ってて なにを?
役人も奮闘してるが 会社を罰金しただけ
- で 対処されずか
- 俺たちも会社に申し立てた 彼らは労働者の責任だと
労働組合 団体交渉は違法
国際金融危機が進むなか クレームの影響も深刻化
「来たなら しっかり働け」と
「ミスしたら強制送還」
「会社が成功すれば 報酬を考えよう」
- 改善は期待できる?
- 将来に希望はない
無力だ
- 300万人が連れてこられ 旅券を奪われる
給料も 食べる金もない 劣悪な生活環境にー
汚水も
虚栄の都市から戻ってきて どう感じる?
ドバイの現実は メディアの言う真逆
元仲介者に訊いた—
「ドバイがどう見える?」
「死の街よ」と