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およそ10世紀頃、熱せられた鋼を水で急速に冷却すると 強度が飛躍的に増す事が知られるようになった
この新しい焼入れ技術の発達により、 従来よりも細長く鋭利な剣の製造が可能になった
その優れた焼入れ技術を、どこの天才が発見したのか? 実は誰なのかは分かっていない
長い年月かけて剣を作る間に、世界各地で発見されたからだ
この新技術を採用した二つの伝説的な刀剣が 何千マイルも離れた場所からほぼ同時期に誕生した
ヨーロッパのロングソードと日本の武士が使用した、 いわゆる日本刀のことだ
15世紀:日本刀 使用した戦士:武士 刀身長:約36インチ(約90cm)
日本刀は片側に刃がつき、先端には切っ先があり、 両手で使用する武器だ
刀身が反っているので、一度の動作で さっと鞘から抜いて切りつけるのに向いていた
武術研究家ボブ・グッドウィンに、 日本刀の戦闘時の使用方法について尋ねた
日本刀は一撃必殺、まさに切るための武器であり、 剣の刃同士を叩きつけるような戦い方は避ける
重要なのは足裁きなどの動作、相手を切りつける時でも 常に自分が切られないような位置を取る
昔は日本刀の切れ味を試すため、罪人の死体が使用されていた
当然、現在ではそんな検証は出来ない
キャベツやココナッツをスパッと切るのは気分爽快だ
綺麗に切れたもんだな
では、氷の塊のような硬い物ならばどうなるだろうか?
まるで斧で割ったかのように氷の塊は真っ二つになった
日本で片刃の日本刀が完成しつつあった頃、 ヨーロッパでは両刃を持つ別の刀剣が生み出された
15世紀:ロングソード 使用した戦士:騎士 刀身長:約40から50インチ(約1.2m~1.3m)
ロングソードは十字架型の柄があり、 両手で使用するように作られた武器だ
多くの場合、直線的な両刃の刀身長は約1.2m前後、 重量は4.5ポンド(2kg)程度だった
当時の優れた武器は、別の手で盾や他の武器を扱いながら、 片手で使用できるよう考慮されていた
ロングロードは各部分が戦闘を考慮して作られていた
柄頭で殴りつけ、幅広の刀身で切りつけ、 刀身は突いて鎧を貫通出来るようするため長細くなった
当然、切りつけたり叩きつけたりする時は両手でも使える
なるほど大きく振り回す時だな、 それに刀身は細長いから相手との距離を保てるわけだ
ロングソードは騎士が纏う鎧の隙間を突くのに有効だが、 その両刃は切り裂くような使い方も出来る
これはまた綺麗に切れたな
よし、今日の昼飯だな
この汁をジュースで飲みたいが、それには氷が必要だ
さっき試した日本刀は氷の塊を真っ二つにしたが、 ロングソードではどうだろうか?
氷の塊を真っ二つにするどころか、 レンガを叩いたがごとく破片が飛び散るだけだった
まるで異なる結果だな
日本刀の氷の塊に対する切れ味は見事だが、 しかし実際の戦闘では氷相手に戦うわけではない
実際の戦闘において、一般的な歩兵が よく纏う皮の鎧ではどうなるだろうか?
先程試したローマ時代の鋼製グラディウス剣や 鉄製の剣では、まだ皮の鎧は有効だった
今度はヘビー級同士の対決、ロングソード VS 日本刀だ
肋骨が折れたり胴体に深刻なダメージを与えただろう
次は日本刀で試そう
日本刀で斜めから切りつける袈裟切りを試したら、 ロングソードとは異なり皮の鎧を切り裂いた
疑問の余地はないな
この兵士は腕が切り落とされ、心臓など内臓まで達し、 致命傷を負っただろう、深く切れたな
両方の刀剣は、遠く隔たる場所で生まれ、それぞれの刀剣は 騎士と武士というエリート戦士文化によって持て囃された
そして両方の刀剣は、戦場では最先端の武器であり、 金属製の鎧を纏う敵に対しても使用された
どちらが、より効果的なのだろうか?
少し凹ませたり多少の損傷は与えたが、金属の鎧は切れないな
期待どおりだな
パンチ力のあるロングソードは鎧に小さな穴を開けたが、 それ以外に目立った損傷を与えなかった
次に日本刀を試してみよう
さっきより深く突き刺さったな、0.5インチ(1.27cm)くらいか
よく分かった、この対決でも日本刀が またロングソードに勝ったという訳だな
比較すると日本刀はロングソードより刀身が短く、 撓みが少なく、より深く突き刺さったことが分かる
そして日本刀は切りつける武器としても有利であり、まさに芸術的だ
この対決は、日本刀の勝利だ