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素晴らしいと思わないか もし…
透明人間になれたら!
そう思うでしょう?
だって 気付かれずに誰かの後をつけたり
やりたいことは何だって
やり放題なんだから!
魔術師たちはすでに
大きな鏡で光を反射して
人を消してしまうイリュージョンを 生み出しているんだ
科学者はメタマテリアルを使って
光を小さな二次元の物体のまわりに 誘導することができる
光を小さな二次元の物体のまわりに 誘導することができる
カメラで きみの後ろにあるものを映して その映像を投影し
カメラで きみの後ろにあるものを映して その映像を投影し
前からはきみが透明であるように 見せることだってできる
だけど どの方法も
人間くらいの大きさの物体を
全ての角度や距離から 透明に見せることはできないんだ
動いている間にはね
でも きみが本当に
中も外も透明だったら
思いがけない問題が
いくつか生じてしまうことになる
まず 誰にも気づかれずに動き回るには
素っ裸になる必要がある
外がいくら寒くたって関係ない
それに 何も持ち運べないんだ
財布や鍵だってダメ
さもないと 財布や鍵が
宙に浮かんで見えてしまう
車や歩行者もきみが見えないから
どこかできっと ぶつかってくることになるだろう
そうそう 香水をつけたり
息をする音を聞かれてもいけないよ
そこにいるのがわかってしまうからね
それに 透明になれたからって
ずっとそのままとは限らない
誰かにたまたま
熱いコーヒーをこぼされたら?
雨が降ったらどうだろう?
とはいっても 液体だけが要注意だと思ったら
大間違いだ
ほこりは人間の死んだ細胞や
小さな土の粒子
綿でできた布の繊維など
色々なものでできている
汗をかいているときには 湿った肌にくっついたり
乾いているときには 皮膚の細かい毛にくっついたりするんだ
だから たとえきみが透明でも
ほこりはきみの体じゅうにくっつくというわけ
普段は皮膚にくっついたほこりなんて 気付かないけど
それは肌の色にまぎれて
薄いほこりの層が見えないからなんだ
でも 透明だったら
人間の形をしたほこりの固まりが
すごく汚い足の裏で歩き回っていることになるよね
うぇー!
きみが透明だったら
世界はどんなふうに見えると思う?
答えは 「何も見えない」だ
暗闇で何も見えないのは
光がないからだよね
リンゴを見るには
光がリンゴに当たって
きみの目にはねかえってくる必要があるんだ
それから きみの目の網膜が
光の反射を受け取って
脳がリンゴの像を作り出す
もし透明だったら
当然 光はきみの体を通り抜けるか
体をよけて進むわけだ
反射しないから 人に見られることがない
ということは きみの目の網膜も
光を受け取らないことになり
きみの脳も
イメージを作り出すこともできない
光を受け止めてくれる鏡がないのに
自分の姿を見ることはできるかい?
そう できないんだ
だから 誰にも見られない代わりに
きみも見ることができないんだ
いたっ!
さて 永久に透明でいることができるか
考えたことがあるかい?
もし可能だとしたら けがをしたときに
お医者さんに治してもらえるだろうか?
お医者さんには見えないから
どこに薬を塗ったり 包帯を巻いたりすればいいか
わかりっこない
きみにも見えないしね
病気や感染症になったらどうなるだろう?
色の変化やはれが見えないのに
どうやって診断できるだろうか?
それから もしみんなが永久に透明だったらどうなるだろう?
通りから誰も見えなくなったら
この世界は退屈なものになると思わないか?
テレビからも
家でも コンピュータからも
ほら こんな風にね
透明になるのは寂しいことだよ
さて 今度はどの特殊能力について
物理のレッスンを受けてみる?
体の大きさと中身を変化させる力
超高速
空を飛ぶ力
超怪力
不死の力
それとも
透明になる力かな