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赤ずきん
むかしむかし
小さな村に小さな女の子が住んでいました
村の反対側に住んでいる その子のおばあちゃんが
かわいい赤いずきんを つくってあげたのです
その子はとても気に入って どこへ行くにもずきんをつけていきました
村の人たちも いつもその姿を見ていて
その子のことを 赤ずきんと呼ぶようになりました
ある日 お母さんが赤ずきんを呼びました
赤ずきんや
このかごを おばあちゃんの家に届けてちょうだい
うーん いいにおい
おばあちゃんは重い病気で ベッドから出られないの
赤ずきんはかごを持って 道を降りていきました
急いでね おばあちゃんはおなかをすかしているわ
わかったわ
道で会った人と 話しちゃだめよ
それから 寄り道しちゃだめよ
心配ないわ わかってるから
こうして赤ずきんは 手にかごを持ち おばあちゃんの家へと向かいました
まっすぐ進むと 赤ずきんは森に入りました
森を歩いていると しげみから おおかみが現れました
こんにちは 赤ずきん
おおかみさん こんにちは
そんなに急いで どこへ行くんだい
おばあちゃんの家よ
そうかい そのかごには何が入ってるんだい
パンとワインよ おばあちゃんは重い病気なの
そうなの
君はいい子だね おばあちゃんは家は遠いのかい
遠くないわ 丘の向こうよ 3本のかしの木のとなりよ
おおかみは悪だくみをしながら つばを飲み込みました
うーん
まずおばあちゃんをたいらげて それから赤ずきんを飲み込もう
そして かごのごちそうもいただこう
ハッハッハッハッ
おおかみは赤ずきんの後をついていき また赤ずきんに話しかけました
見てごらん あかずきんや
この黄色いお花 きれいだよ
ほんと きれいね
きれいな花に気を取られ
赤ずきんは おかあさんのいいつけを すっかり忘れてしまいました
近くで見ようと 道から外れてしまいました
アハッハ ばかな赤ずきんには花で遊ばせておこう
その間に 俺はおばあちゃんの家に行こう
おおかみが おばあちゃんの家のドアをノックすると
家の中から 小さな声で返事が聞こえました
誰だい
おばあちゃん 私よ 赤ずきんよ 中に入れて
焼きたてのパンとおいしいワインを 持ってきたのよ
それはうれしいわ 入ってちょうだい ドアは開いてるわ
おおかみは ドアを開けると 中に飛び込みました おばあちゃんは悲鳴を上げます
お前はあかずきんじゃないね おおかみじゃないか
おおかみは 邪悪な笑いを浮かべておばあちゃんに襲いかかり 飲み込んでしまいました
おおかみは おばあちゃんのパジャマ、帽子、メガネで変装し ベッドに横になりふとんをかぶりました
ハッハッハ もうすぐ赤ずきんも 食べてしまえるぞ
赤ずきんはどんな味がするんだろうな
とうとう赤ずきんが おばあちゃんの家に着きました
おばあちゃん こんにちは 私よ あかずきんよ 入っていいかな
ドアは開いてるわ 入っておいで
赤ずきんは 家に入ると おばあちゃんの何かが変わっていることに気がつきました
あれ おばあちゃん どうしてそんなに大きい耳なの
おまえのかわいい声をよく聞くために大きいんだよ
目はどうしたの どうしてそんなに大きくて怖い目なの
おまえのかわいい顔をよく見るためだよ
どうしてそんなに長くて鋭い歯なの
お前を食べるときに しっかりかむためだよ
赤ずきんが逃げる暇もなく おおかみはベッドから起き上がり
赤ずきんに襲いかかり おばあちゃんと同じように飲み込みました
うーん おいしいなあ
おいしい食事を食べたら 眠くなってきたなあ
おおかみはたくさん食べたので おなかがいっぱいになり
大きないびきをかきながら 眠ってしまいました
ちょうどのそのとき ハンターがおばあちゃんの家のそばを通りました
彼は おおきないびきに驚き 何か変だぞと思いました
おばあちゃんの声ではないぞ 動物の声みたいだ
窓からのぞいてみると おおかみが見えました
おっと こいつがおばあちゃんを食べたにちがいない
ハンターは 静かに家の中に入り 眠っているおおかみをライフルで狙いました
ハンターが撃とうとしたとき おおかみの膨らんだおなかが動き始めました
そうか おばあちゃんがおおかみのおなかのなかでもがいているんだ
ハンターはハサミでおおかみのおなかを切り裂きました
おばあちゃんと赤ずきんは けがもなく 元気にでてきました
ハンターさん 助けてくれてありがとう
2人とも元気でよかったよ
でもおおかみはどうしてやろうか
悪いおおかみに思い知らせてやるために おなかに石をつめてみましょう
赤ずきんは外から重い石を取ってきて おおかみのおなかに詰めました
石を詰め終わると おばあちゃんが おおかみのおなかを縫いました
おお おなかが 俺のおなかはどうしたんだ
どうしてこんなに痛いんだ
おおかみのおなかの石はとても重かったので ベッドから起き上がれませんでした
寝返りを打ち ベッドの隅から床に落ちて 死んでしまいました
みんな喜びました
ばんざーい
こうして 赤ずきんは大事なことを学びました
この日から あかずきんは おかあさんの言いつけを守り 知らない人と話をしないようになりました