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よく色んな人に聞かれるのよね。
「Nina、今どこを拠点にしているの?自宅はどこにあるの?」って。
私のホームはどう考えてもロシアよ。
でも最近何回ロシアに帰ったかしら?
ここ2週間で乗ったフライトは30本くらい。
これ結構キツいわよ。
でもすごく楽しんでるし、私にとってこの仕事は最高。
もし楽しくなかったらとっくに辞めてるわ。
プライベートの時間はほとんどないんだけどね。
そこだけがこの仕事の嫌なところ。
でもそれ以外は本当に最高よ。
僕達がNinaをブッキングしたのは今回が初めて。
決めるのに1年間かかったよ、彼女は多忙だからね。
彼女を呼ぶことができてすごく嬉しいよ
でも、彼女みたいなアーティストの暮らしは本当にクレイジーだよね。
生活の半分が飛行機や空港、車、ホテルの中なんだもの。
私にとってDJセットは単に音楽をプレイするってだけじゃなくて、1つのパフォーマンスだと思っているの。
私はダンスが好きだから、プレイ中は自然に踊っちゃうのよね。
ステージに上がると、そこでは何百人、時には何千人もの人達があなたのことを見ている。
中にはあなたのことを崇めている人もいれば、1人の人間として見ている人もいるかもしれない。
ギグやコンサートが終われば、私達は普通の人間よ。
そこらへんは私、現実的なの。
これは単なる幻想だって分かってる。とても誘惑の多い仕事だし、危険なこともたくさんあるわ。
でもこの仕事をやっていくには、そのたくさんの誘惑が幻に過ぎないってことをちゃんと覚えておかなくちゃいけない。
私達DJやアーティストって簡単なものよ。
パーティーが最高だったら当然気分も最高。つまんないパーティーだったら最低な気分になるわよね。
今夜はすごく楽しかった。
これから午前5時のフライトに乗って、私は午後5時には寝てる予定。
そして12時間後には、またプレイするのよ。
私はずっと1人で世界中を飛び回っている。
結構好きよ。たまには1人になりたい時もあるでしょ。
でも、行く先々で素敵な場所を訪れるじゃない。
息を飲むような綺麗な景色を見たり、素敵な人達と食事をしたり。
そういう時たまに、誰か仲の良い人と一緒だったらなって思うことがあるの。
ただ、時間を共有したり、美しいものを一緒に見たり。
でもすぐ、わたしはこの夢のような瞬間を全部独り占めできるんだって考え直すんだけどね。
たまにちょっと辛くなるわ。
ステージに上がる時、私は別の人格になるの。そうね、私の分身てことかしら。
私は機嫌が悪くなる時もあれば、疲れたり、弱ったりすることもある。
でもステージに上がった途端、仕事しなきゃって思うのよ。
この仕事をしてると、女性であることに不便を感じる時もあるわ。
ボーイフレンドができたって結局遠距離恋愛になる。大変よ。
たまに、一晩限りの関係を結ぶ男の人達の気持ちが分かっちゃうのよね。
だって寂しいもの、誰かとコミュニケーションを取りたいのよ。
ショウの後に力を出し切ってホテルの部屋に戻って来ても誰もいないんだもの。
やっぱり誰か一緒にいて欲しいわよね。
もしもしママ?
Ninaよ、決まってるじゃない。
今空港へ向かってる途中なの。
ブリュッセルと、その後はニュルンベルク。
ママに会いたくなって電話したのよ。
Pukklepop?うん、ちゃんとできた。すごくよかったわ。
じゃあねママ、大好きよ。
父親と音楽について語り合うことがあるの。
彼はとても音楽の教養のある人で、私が音楽を好きになったのは完全に彼の影響だと思うわ。
よく私の行動について指摘してくるのよ。
電話がかかってきたと思ったら
「Nina、昨夜お前の写真見たよ。何が言いたいのか分かるよな?ああいうのはよくない」とか言われることもあるの。
父親は唯一、私にダメ出しをしてくれる人。
「そんなの上手くいかないよ。俺は好きじゃない」ってね。
まだ電車の中?
僕たちは、今1番旬なDJをブッキングしたかったんだ。
いつ頃着きそうかわかるかな?
最初に思い浮かんだのがNinaだった。今回彼女のブッキングに成功して本当に嬉しいよ。
OK、情報を確認してみるよ。
それじゃあチェックインしに行こう。
ええ、行きましょう。この2週間あちこち飛び回りっぱなし。ずっとツアーを回ってるのよ。
ニュルンベルクへようこそ。
私、前に一度ここへ来たことある気がするわ。
英語とドイツ語、どっちで話した方がいいかな?
ドイツ語を練習したいけど… でもやっぱり英語でお願い。。。
じゃあ両方組み合わせていこう。
自分も仲間のうちの1人だって思えた時は本当に嬉しい。
最高の気分よ。
世界中どこへ行ってもみんな優しくて、何千人もの人達との繋がりを持つ。
1人っきりのようでいて、でもやっぱり1人じゃないのよ。
パーティーが終わってホテルに戻るでしょ。少し余韻に浸って、考え事をするの。
全てが終わった時に、DJとしての自分に残るものは思い出だけ。
ちょっと悲しいわよね。