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みんなが大好きな花火
華やかな光に色彩
そして もちろん爆発音
けれど 花火の歴史は
必ずしも輝かしいわけではありません
花火が花開く はるか昔
中国の化学者が 明るい光を空に打ち上げる
主原料を発明しました
その発明を今では 火薬と呼んでいます
花火の歴史は 古代中国に遡ります
9世紀半ば
初期の錬金術師は
不老不死の薬を作ろうと 苦心していたのですが
代わりに出来上がったのは 可燃性の粉で
自分たちの家を 何軒も焼き払ってしまいました
そのため 錬金術師は
「火の薬」と呼んだ この黒い粉が
永遠の命とは かけ離れた物だと
間もなく気づきました
その当時はまだ
中国の人達は
火薬を爆発させる方法を 知りませんでしたが
何しろ燃えやすいのです
軍隊では火薬を
使った火矢や
火炎放射器も作りました
ひとたび 爆発させるための
正しい配合が分かると
中国は火薬を
邪悪な霊を追い払う 花火としても使いました
そして モンゴル軍の侵攻に対する
自衛手段として 爆弾を作ったのです
おそらく このモンゴルが
火薬の発明を世界中に広めたと
言っていいでしょう
モンゴルは中国を制圧した後
製法を学んで 自ら火薬を作り
これを用いて
ペルシアやインドを征服しました
ウィリアム・ルブルックという
ヨーロッパの特使がモンゴルから
ヨーロッパへ 1254年ごろに
火薬を 持ち帰ったと 言われています
エンジニアや発明家はこぞって
破壊兵器を創り出しました
爆弾、銃、大砲
火薬は世界中に ひどい爪跡を残しました
火薬は世界中に ひどい爪跡を残しました
空中で開く美しい花火とは 対照的ですね
空中で開く美しい花火とは 対照的ですね
ところで 黒色火薬はどうやって
花火を空に打ち上げるのでしょうか?
昔の西部劇やマンガで 見たことがあるでしょう
火のついた導火線が
火薬が詰まった 大きな樽につながっていて
炎が樽に達すると
ドカーンと爆発します
では なぜ導火線自体は 爆発しないのでしょうか?
火薬は燃える時
エネルギーとガスを放出します
導火線が燃える時は
空気中に自由に広がっていきます
しかし 火薬が
樽の中に詰められている場合は
エネルギーとガスは逃げ場がなくて
溜まっていき とうとう―
ドカーン!
花火の容器は
上向き一直線の方向へと
この爆発エネルギーを導きます
芯から火薬に点火すると
そのエネルギーが
容器の出口から放出され
花火を高く大空へ打ち上げます
そして 炎は
花火の容器を通っていき
樽と同じ反応を
遥か頭上で起こします
中国の錬金術師が
不老不死の薬の代わりに 発明したものは
あらゆる文明に 影響を及ぼし
あらゆる文明に 影響を及ぼし
人類史上数えきれない 悲劇の元になりましたが
人類史上数えきれない 悲劇の元になりましたが
その一方で
お祝いのときに夜空を彩る
希望も与えるものでした