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古代のギリシャ人には 素晴らしい考えがありました
彼らの宇宙は シンプルで
全てのものは たった4つの元素から 出来ていると考えました
全てのものは たった4つの元素から 出来ていると考えました
「土」「空気」「火」そして 「水」です
「土」「空気」「火」そして 「水」です
「土」「空気」「火」そして 「水」です
「土」「空気」「火」そして 「水」です
理論としては 美しく
シンプルでエレガントです
4つの元素をいろいろ組み合わせて
4つの元素をいろいろ組み合わせて
宇宙の素晴らしい多様性を作り出すのです
例えば「土」と「火」は
乾いた物質を作り
「空気」と「水」は 湿ったものを作る という具合です
でも理論としては 問題がありました
この理論では測定できるものを 予測できません
実験科学では測定することが 基本なのです
その上 理論は誤りでした
でもギリシャには 偉大な哲学者がたくさんいました
紀元前5世紀になると
ミレトスのレウキッポスが
その後 長いこと信じられることになる 科学の概念を思いつきました
目に見える全てのものは
小さくて目には見えない 「原子」から出来ているという概念です
この理論はシンプルでエレガントな上
この理論はシンプルでエレガントな上
「土」「空気」「火」「水」の理論よりも
ずっと正しいものでした
その後何世紀もの 科学的探求や 実験の結果
今日の元素である
水素とか炭素 鉄も
水素とか炭素 鉄も
水素とか炭素 鉄も
原子に分割できるとわかっています
レウキッポスの理論でも原子とは
これ以上 小さくしたら 水素、炭素、鉄とは識別できない
これ以上 小さくしたら 水素、炭素、鉄とは識別できない
分割不可能な最小単位でした
分割不可能な最小単位でした
レウキッポスの考えに欠けていたのは 原子は更に小さいものに 分割できるということ
レウキッポスの考えに欠けていたのは 原子は更に小さいものに 分割できるということ
また 彼に始まった原子の考え方では
この宇宙を作る ごく一部のものしか 説明できない事が分かったのです
この宇宙を作る ごく一部のものしか 説明できない事が分かったのです
我々の考える宇宙にある通常の物質は 実は稀なもののようなのです
我々の考える宇宙にある通常の物質は 実は稀なもののようなのです
レウキッポスの原子や その原子が作るものは
宇宙全体にあるものの ほんの5%程だとわかったのです
宇宙全体にあるものの ほんの5%程だとわかったのです
物理学者は宇宙の残りの95%を
ダークユニバースと呼んでいます
ダークユニバースと呼んでいます
ダークマターとダークエネルギーから 出来ています
なぜそんなことが解るのか?
私たち物理学者は 物事を観察し 発見するのです
私たち物理学者は 物事を観察し 発見するのです
簡単に聞こえますが 実はとても意味が深いものです
簡単に聞こえますが 実はとても意味が深いものです
原子からできているものは 目で見えます
光が跳ね返るので 見えるのです
宇宙に目を向けると
星や銀河が見えます
私たちの住むような 美しい銀河も
優雅に渦巻きながら宇宙内を動いています
1930年代に科学者が 銀河団の動く速度と
1930年代に科学者が 銀河団の動く速度と
銀河の含む物質の質量を はかりました
するとびっくりすることが わかったのです
観測できる全ての質量を合せても
銀河団としてまとめるには 足りないとわかたのです
後にそれぞれの銀河の測定からも 同じ結果が得られました
後にそれぞれの銀河の測定からも 同じ結果が得られました
目に見えるものだけでは 銀河をまとめる重力がないのです
目に見えるものだけでは 銀河をまとめる重力がないのです
我々に見えるものだけなら バラバラになってしまう でもそうはなりません
我々に見えるものだけなら バラバラになってしまう でもそうはなりません
ということは 何か見えないものが あるはずです
ということは 何か見えないものが あるはずです
そこで それをダークマターと名づけました
ダークマター存在の最も重要な証拠は
「宇宙マイクロ波背景放射」というものの 観測から得られています
「宇宙マイクロ波背景放射」というものの 観測から得られています
このビッグバンの残光については また別の機会にお話しましょう
このビッグバンの残光については また別の機会にお話しましょう
現在ある全ての証拠は ダークマターの存在を証明しています
現在ある全ての証拠は ダークマターの存在を証明しています
そしてそれは 夜空に輝く 美しい渦巻き銀河の ほとんどを占めるのです
そしてそれは 夜空に輝く 美しい渦巻き銀河の ほとんどを占めるのです
そしてそれは 夜空に輝く 美しい渦巻き銀河の ほとんどを占めるのです
それが何を意味するのでしょう?
地球が宇宙の中心でない事は ずっと昔からわかっています
地球が宇宙の中心でない事は ずっと昔からわかっています
我々の住む どこにでもあるような平凡な惑星は
平凡な星を回り その星は
平凡な銀河から伸びる一本の腕に属します
ダークマターの発見は
我々をさらに物の中心でないと意識させます
我々を形作るものは
宇宙全体を形作る ごく一部のものなのです
でもまだあります
今世紀の始めに
宇宙の彼方を研究する科学者が あることを証明しました
宇宙が膨張しているということは
宇宙が膨張しているということは
高温 高密度のビッグバンから 生まれた宇宙では想像できますが
高温 高密度のビッグバンから 生まれた宇宙では想像できますが
その宇宙の膨張の速度が 加速されていることが証明されたのです
その宇宙の膨張の速度が 加速されていることが証明されたのです
何を意味しているのでしょう?
何か特別のエネルギーが この加速を 増大させているのかもしれません
何か特別のエネルギーが この加速を 増大させているのかもしれません
車の加速に必要な エネルギーのようなものです
さもなければ重力の理解が 間違っていた事になります
科学者は大体前者であると考えます
何か未知のエネルギーが 加速の原因になっている
そしてこれをダークエネルギーと名づけました
今日可能な限りの測定から 宇宙の見えないものの割合が計算できます
今日可能な限りの測定から 宇宙の見えないものの割合が計算できます
ダークエネルギーが 宇宙全体の68%
ダークエネルギーが 宇宙全体の68%
ダークマターは27%だと予想されます
残りは5% これには私達と 見えるもの全てが含まれます
残りは5% これには私達と 見えるもの全てが含まれます
ではこの見えない物とは何でしょう?
まだわかっていません
でもこの手がかりになる 超対称性理論(Supersymmetry)というものがあります
でもこの手がかりになる 超対称性理論(Supersymmetry)というものがあります
略してSUSY(スージー)とも呼ばれる超対称性理論は
ダークマターを構成する 新しい粒子の可能性を示唆します
ダークマターを構成する 新しい粒子の可能性を示唆します
もしSUSYが正しいと証明できたら
我々の理解は 宇宙の5%
つまり目に見えるものだけから 3分の1くらいに広がります
つまり目に見えるものだけから 3分の1くらいに広がります
すごいですね
ダークエネルギーは さらに複雑ですが
これにも いくつか有望な理論が存在します
これにも いくつか有望な理論が存在します
中には古代ギリシャのような 理論もあります
中には古代ギリシャのような 理論もあります
数分前に冒頭でお話しした
宇宙はシンプルであるはずだ というものです
この種の理論は たった一つのものが
宇宙の素晴らしい多様性を生み出していると 説明しているのです
「振動するひも」に例えられるものです
この理論によると 今日我々の知る全ての粒子は
単にひもの音色の違いです
残念な事に このひも理論は まだ検証が不可能な段階です
残念な事に このひも理論は まだ検証が不可能な段階です
でも宇宙の理解を深めるために 期待が高まっています
でも宇宙の理解を深めるために 期待が高まっています
こんな話を聞くと 自分の小ささを感じます
その必要はありません
反対にすごいと感じるべきです
我々の知る限り
宇宙の謎を理解し始めている 唯一の生き物なのです
宇宙の謎を理解し始めている 唯一の生き物なのです
そしてちょうど 理解が爆発的に 進む時代に生きているのです
そしてちょうど 理解が爆発的に 進む時代に生きているのです